第75話 共和国?じゃないよね?

 屋敷に戻り、風呂に浸かって、明日からの事を考える。壁を建てるのは、俺とノーミードが居れば良い。だが、潜入は1人では手が足りないが、洗脳を解除できる術者がいねー。


 ミレーナは6属性の上級魔法が使えるまでになったが、無属性は教えていないんだよねぇ。それはなぜか。イメージの説明がし辛いのだ。治療系、回復系の無属性は、人体の構造が大雑把にでも分かっていないと、イメージ不足で発動しない若しくは、変な形で発動してしまうので、却って危険なのである。


 要は、血管が切れているのに、表面の皮膚を回復してしまうと、血管繋がってねーじゃん、と言う話になるのである。まあ、大袈裟な表現だけど。実際は、そういう時は、【治癒ヒール】を使うので、問題にはならないんだけど、例えると、と言う話だね。【治癒ヒール】は無属性ではないからね。


 洗脳解除は街の壁の上から、街全体に掛けちゃっても良いかな。だが、魔力的に疲れるんだよなぁ。最悪、戦闘も考えないといけないし。それに、宗主の前に侍っている女の子が、急に正気に戻ったりしたら、危ないよなぁ。どうするか……。


 宗主の所へ行くまでは、隠密行動が必要だな。そうすると、弥助とくノ一を連れて行くとしても、精神魔法対策は必要か。明日、壁だけ作ったら、魔道具作りだな。1日あれば出来るだろう。後は、くノ一の腕の程だが……。それは、後で確認しよう。沙織と瀬奈が良く分からないからな。


 壁を作った後で、大精霊に手伝ってもらって、街まで行って色々見てみよう。その上で作戦を立てる方が確実だな。


 そこまで考えたところで、我に返ったら、おっぱいがいっぱいだった。もうね、顔を見なくても、おっぱいで誰だか分かるもんね。


 なんの自慢か知らないが、御花畑な男である。




 風呂から上がって、晩飯を食べて、リビングのソファで、弥助と酒を飲みながら、くノ一を全員集めてもらった。桜、椿、霧、瀬奈、沙織、睦月、静。あれ?

「睦月って、くノ一?瀬奈からは、沙織しか聞いてないけど。」


「ええ、私は、霧さんと静さんと同門です。」


「て事は、弥助や桜、椿も一緒?」


 弥助が答える。

「まあ、似た様なもんですが、若干流派が違いましてね、道場が違うんですよ。」


「そして、霧は何も言わないと。」


 霧が拗ねる。

「良いではありませんか。どうせ、私だけ仲間外れなんですから。」


「また、そうやって拗ねる。」


「良いです、勝手に夜這いに行きますから。」


「まあいい。話を進めるぞ。正直、相手の戦力が分からん。その上で作戦を立案せねばならんのだが、腕の程をある程度、知っておきたいのだけど、桜を基準とすると、どうだろう?」


 椿が言う。

「桜ちゃんは、かなり腕が立つから、桜ちゃん基準だと厳しい。」


「そっか、みんなが思う平均値って誰?」


 椿は言う。

「平均の意味は分かりませんが、多分、私が真ん中位じゃないかなぁ。弥助さん、桜ちゃん、霧ちゃん、静さんは、少し抜けていて。後は、みんな、私くらいじゃないかなぁ。」


 瀬奈が言う。

「いえいえ、椿さんも相当ですよ。睦月さん、沙織さんと私が同じくらいだと思います。」


 椿はそれでも、と言う。

「上様。そうは言っても、里の忍びの中では、優秀な娘しか、ここにはいないよ?」


「あん?マジで?」


 弥助が笑いながら言う。

「当たり前ですよ。上様にお仕えするのに、役に立たない様なのは、私が置いておきません。」


「何?弥助が選抜してたの?」


「ええ、船造りの時に。」


「考えてみれば、霧も椿も弥助が連れて来て、後は船造りの時に、弥助が連れて来たんだったな。向こうで選抜したのか?」


「くノ一だけですがね。ヒヨッコを連れて来て、上様のお手がついたら、大変ですから。」


「あ、そう。苦労してんだな。弥助。主に俺の節操の無さで。」


「そんなもの、苦労でもなんでもないですよ。」


「もしかしてだけどさ、弥助。くノ一にもブスっているのか?」


「そりゃいますよ。当たり前じゃないですか。」


「それも選抜してんの?」


「当然です。」

 こんな所でも忠義に厚い男だった!




「じゃ、みんな一緒に行く感じ?」


「「「「はい。」」」」


「これからの予定を伝える。明日は、俺と大精霊で、チュゴセンの国境線に壁を構築してくる。明後日は、精神魔法対策の魔道具を1日掛けて作ろうと思う。そこで、作戦を伝える。そして、明々後日にチュゴセンの街に潜入して、忍びの洗脳を解きつつ、宗主の元へと向かう事になると思う。詳細は明日ちょっと覗いてくるから、それから決めたいと思う。」


 弥助に釘を刺された。

「上様。怒りに任せて、1人でやっちゃわないで下さいよ?」


「うん、善処する。」


 霧がキレる。

「上様!!上様の善処するは、全然あてになりません!絶対駄目ですよ?」


「分かった、約束しよう、と思う。」


「・・・・・・上様?」

 霧が静かな怒りを溜めると怖いのよね……。


「はいはい。分かったよ。霧、怒ると皺が増えるぞ?」


「私には皺などありません!上様に抱かれるまで、皺など作りません!」


「うむ、分かった。いつまでも、皺の無い美しい顔でいてくれ。」


「う・え・さ・ま?」


「怒るなよ。霧の美人顔は、いつまでも、そのままでいて欲しいのは、事実なんだから。」


「はい。分かりました。努力します。」


「うん、頑張って。」




 次の日は、昼間はやる事がなかったので、服屋2件を見て回り、順調なのを確認して、店の奥でオリビアとミリアを可愛がって、帰ってから魔道具作りを始めた。今日は寝る時間ないからな、先にやっておこう。


 ネックレスが、1番邪魔にならないかな?船造りの時に、ミスリルを思った程使わなかったので、2/3も残っていた。これで、チェーンを作っていった。一応、9本作った。それから、小さい魔石がない事に気付き、悩んだ挙句、ゴルフボール大の魔石を、ローレルの迷宮に取りに行った。ついでに、肉も大量に獲って来た。


 魔石を女性用に、ハート型に形成して、ミスリルのペンダントトップに埋め込んでチェーンを付けた。弥助用には、考えた挙句、思い付かないので、ただの丸にした。これを2つ作った。


 そして、ここで困ってしまった。魔石に刻む、魔法陣だ。ただの精神耐性だけで良いのか、或は、別の魔法も使って来るのか、だ。静は高位の魔法使いと言っていたが、自称だろうなぁ……。だが、精神魔法を精神損壊なく行使できるのであれば、実力はあると見て良いだろう。


 結果、散々迷った挙句【魔法障壁マジックバリア】を刻む事にした。魔法全般を阻んでくれるのだが、治癒魔法も通らないので、危険と安全が表裏一体となってしまうのだ。まあ、外せば良いのだけど……。


 そんな訳で、黙々とネックレスを作成していった。9個作ったが、マサキは必要ないので、1個は予備とした。魔石の魔力があるうちは、常時展開しているが、魔石の魔力がなくなると、所持者の魔力を吸いながら発動するので、身に着けていないと発動しない。


 ここまで、作業をして、夜に備えて寝る事にした。瀬奈を抱いて。



 夕方、目を覚まし、顔を洗って着替えを済ませると、【ゲート】を開いて、パルミナ王国の王城に移動して、そこから街へ出た。食堂に入って、軽く食事を済ませた。屋敷で食った方が美味かったな、失敗だった。


 大門から、外で出るとスマホで地図を確認し、魔力を使いたくなかったので、シルフィードに前から抱き着いて、運んでもらった。海岸線に沿って飛んでいき、チュゴセンには、僅かしかない海岸に降りた。


 さて、海にも出られない様にしても良いかなぁ……。いいや、マルっと塞いでしまえと、ノーミードと一緒に壁を作っていった。ノーミードは楽しそうにやるんだよなぁ。ノーミードが壁を作る、マサキが【硬化ハードニング】するといった要領で、どんどん作って行った。


 国境で街ではないので、誰に見られる事なく、進めていけた。日が完全に落ちてから始めた作業は、なんとか、朝日が昇る前には終えられた。月が2つあると明るくて良いわ。国境の関所の役人は、眠らせてあるんだけど、日が昇ったら、大騒ぎだろう。


 壁を作り終えたら、少し休憩をして、とは言っても寝てしまったのだけど。シルフィードに抱き着いて、街方面へ飛んでもらった。吃驚したのは、共和国を名乗っているのに、街が首都しかない。後は、村や集落が点在しているだけで、ほぼ首都に集まっている様だ。国?なのか?コレ。


 途中、村や集落を覗いてみたけど、みんな疲弊しているね。村人の1人を捕まえて聞いてみたが、どうやら宗主を神輿としている奴らは、首都にいて。そうでない奴らは、村や集落で農業と狩りをして生活しているらしい。


 ただ、村人も決して善良とは言えず、開口一番、武器を向けて「金を出せ!」だったので、お仕置きしてから喋らせた結果だった。村や集落と言っても、場所によっては、盗賊集団の事もあるのだとか。集落全員盗賊みたいな。


 何とも、くれると言われても、要らないとしか、言えない国だったね。街の入口の警戒は厳重で、並んだとしても、入れてもらえそうにないので、壁の上に上がって見る事にした。壁の上にも兵士が沢山並んでおり、降りられないので、街中へ降ろしてもらった。


 宗主が住んでいそうな、城は直ぐに分かった。中の様子をシルフィードに見て来てもらった。精霊が見ている風景と音声を脳内に流してくれるのだが、これが、気持ち悪い。路地裏に座って、シルフィードに介抱してもらいながら確認していた。


 捕らえられている女性の数が多い、侍らせているのは、10人程度だが、地下牢に数十人単位でいるみたいだ。メイドも当然いるが、精気が有る様に見えない。

ただ、城の中に男の姿が、醜男ぶおとこ1、2、3、しか見えない。男連中は何処にいるのだろう。


 いい加減、見ている風景も気持ち悪いので、街全体に魔力感知を広げて、精霊の感覚を切ってもらった。男がいそうな所を探しているのだが、なかなか見付からない。この街にいる男は、宗主の側近、或は幹部、または、誘拐被害者と言う事になろう。パルミナの女の子が、部下には女を宛がっていると言っていた。と、なれば、宗主と同じ様な事をしている事だろう。でも、城内に男がいないのは、おかしいよなぁ。警戒心の強い独裁者が警備を置かないなんて、有り得るのか?


 考えても、全然分からない。マサキは立ち上がって、城を眺めてみた。ああ、小さい城だから見逃していた。入口が、階段を上がって行くと、玄関だ。つまり玄関が2階だ、マサキが見ていたのは、1階と地下。そうか、その場にいる精霊を使うから入口の考えがないのか。


 改めて、2階、3階の様子を確認した。あーいたいた、忍びは1ヶ所に固まっている。5人、黒目黒髪だね、3人がくノ一、2人が忍びかな。他の幹部達は、それぞれの部屋で女を慰み者にしていた。うーん、1人で突っ込むには手が足りないな。

弥助に怒られるから、今日は帰ってひと眠りしよう。


 マサキは、王都屋敷に【ゲート】を繋ぐと、そのまま風呂に駆け込んだ。眠くなってきたから、さっさと寝るのだ。湯舟に浸かると、寝てしまうのだが、もう大精霊達に任せる事にした。どうせ運んでくれるのだ。気が付いたのは、夕方だった。


 あれ?あの鬼畜宗主達は、そんな早朝から、女達とアレしてたのか?あ、そうか時差だ。多分、向こうとは、4時間程度違う筈だ。それでも、早朝ではないと言いうだけで、午前中だったはず。と言う事は、日がな一日女遊びしてるのか……。


 羨ましい!俺も毎日それがイイ!なんて、思っていないんだからね!!




 それから、転移魔法陣のない執務室の1つに籠り、魔道具作りの続きをしていた。精神魔法対策のネックレスは完成したので、少し魔法陣で遊んでいたのだが、イメージを固めて魔法陣の中身を書いていったら、出来てしまった。と言うか、使えてしまったのだ、日本語が。魔法陣の中身を漢字とひらがなで書いたのだけど、発動する事が確認出来てしまった。


 ある意味危険なので、封印しようと思う。中身が読まれたくない魔法陣には使っても良いかもしれないが、止めておこうと思うのだ。マサキが遊んでいたと考える通り、碌な物を作っていた訳ではないのだが。ただ、売れそうな気もするのだ。


 魔法陣に刻んだ文字は『対象が高速微振動する』とか『対象人物の性的感覚が鋭敏になる』とか『対象の精力が増大する』とか、そんなロクでもない物なのだが、大人の玩具にしか使い様がないなと、一旦、封印する事にしたのだ。


 ただ、これは人に知られてはいけない。洗脳ではないが、惚れ薬代わりに使えたりもするし、それこそ自殺させる事も可能だろう。こちらの文字には、文字そのものには意味がないので、書ききれないのだ。巨大な魔法陣にすれば話は別なのだけどね。でも、そんな巨大な魔法陣であれば使い様がないから、出来ないと同義なのだ。要するに、文字そのものに意味がある、漢字が便利すぎると言う事だ。


 桜達にも、一部は読めてしまうだろう。それは良くないので、見えない所に刻める魔法陣にしか、使わないと心に決めたのである。




 晩飯の支度が出来たと言うので、食事をする事にした。昼夜逆転してしまったので、朝から何も食べていなかった為、食べたねぇ、大量に。食べながら考えていたら、気が付いた。チュゴセンに入ってから、どのタイミングで洗脳解除するのが良いのか悩んでいたのだが、良い方法を思い付いてしまった。


 晩飯を終えて、リビングで弥助と酒を飲みながら、くノ一達を集めた。精神魔法対策のネックレスをそれぞれに渡した。みんなが嬉しそうに首に掛けていたので、良いのだろう。


「で、作戦なんだけどな。現地時間で、午前4時に作戦開始とする。こちらから出向くのは夜中、11時~12時になるだろう。仮眠を取るなり休憩するなりしておいてくれ。

 洗脳解除は、気にしなくて良いから、忍び以外の男だけを制圧してくれ。まあ、寝ているだろうけどな。城の入口が2階なんだが、2階と3階をみんなで頼む。1階と地下に宗主がいるっぽい。一応、高位の魔法使いと聞いているから、俺の方で対処する。まあ、国と言うには、お粗末な国だったから、油断しなければ大丈夫だろうと思う。」


「「「承知しました。」」」


 それだけ伝えたマサキは、再び執務室に籠ったのである。



 執務室から、マサキが出て来たのは、夜も10時と言う中途半端な時間だったので、寝る訳にもいかず、シャルロットの部屋で時間を潰した。シャルロットも久しぶりだとハッスルしていた。が、どうも最近みんな色々な事を試してくるのだ。


 勉強会疑惑再び!とサブタイトルが付きそうな感じなのだよ。まあ、嬉しいし、気持ち良いのだけど、姫達にこんな事を教えているのは、誰だ?と思うのだ。

今まではさ、寝ているだけの姫達に俺が襲い掛かっているの図、しかなかったんだ。だが、今は、挟まれたり、吸われたり、色々されて、おっさん姫に襲われるの図、が多いのよ。


 特に、リリアーナが超エロくなってたのが、ある意味衝撃だったもんなぁ。あれはあれで、超可愛かったけども。シャルロットの我儘ボディでやられちゃうと、もう、出掛けたくなくなるんだけど、良いかなぁ?駄目だよね。


 そんな、断腸の思いでシャルロットのベッドから這い出し、身支度をして1階に降りたのである。



 くノ一が全員、忍び装束なんだけどさ。色気がない。色気は要らないだろって?

要るよ要るよ、俺のくノ一は、美女揃いなので、装束もファッショナブルであって欲しいと思うのだ。帰ったら考えよう。


 そんな事を考えて、【ゲート】をチュゴセン首都の路地裏に繋ぐのだった。









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