第60話 飛空船準備完了
屋敷に戻ったマサキは、職人達を連れて湖北側の工場へとゲートで移動した。里に帰る職人の荷物と畳を送る為だ。が、畳は別棟の使用人部屋で使うと言うので、異空間に収納した。
俺も和室欲しいな……と呟いたんだ。呟いただけなんだ。勘治達は目を輝かせて、屋敷に和室を作ると言う。
結局帰ったのは、独身男性職人の10名だけで、女性職人は全員残ったらしい。聞いてないけど?残った女職人は、皐月、弥生、睦月、沙織、奈緒、瀬奈。勘治の女房の春、治吉の女房の早苗。皐月と弥生は聞いているし、許可もした。睦月と沙織、奈緒、瀬奈はどういうつもりなのだろう。霧もそうだけど、油断すると間違えてやってしまいそうな気がする。
勘治が、連れて来た畳職人は、三郎とその弟子で息子の三次。それぞれの女房、貴恵と秋世。別棟に住まわせると言うので、了承した。
屋敷に戻って別棟に纏めて畳を出すと、それぞれの部屋に敷いていったようだ。元々、床が板なので畳を置くだけみたいだ。サイズも微妙に合わないしな。それでも生活スペースが畳になると気が楽になるらしい。裸足で生活する方が良いみたいだね。俺もそうだけどな。
人員の出入りも落ち着いたので、庭で、持ってきた花崗岩を使って、便器を作り始める。この屋敷には、全部で10カ所。別棟に4カ所のトイレがある。なので、14個の便器を一気に作り始めた。庭で地面に胡坐を掻いて作業していたら、勘治が1枚畳を持って来てくれて、座ってくれと言うので、使わせてもらった。
庭に工房を作るべきだろうなぁ、毎回帝国へ行くのも面倒だし。と言うか、帝国の家ってもう要らないよね。まあ、向こうの動向を知る為、程度には使えるか。さっき王城で聞いたが、テリウス君の処刑が執行された様だ。エリザの顔を見に行こうかとも思ったが、今はそっとして措く方が良いだろうと思うのだ。
彼は、非常に残念な男であったと思う。甘やかされて育ったとは言え、国外の王のみならず、親父、兄貴、妹まで手に掛ける様になっては、誰も救ってはやれないだろう。王国にしろ帝国にしろ、この世界はこんなにも陰謀が渦巻いているのかと聞いてみたところ、こんな事は滅多にないのだそうだ。有っても困るけどな。
王国の宰相と帝国のテリウス、この2人がいた事で、それに乗った人間が多かった様だ。セベインはセベインで、領主の頭がおかしかったがな。セベインか…王都が、あそこにあれば、王女達の連絡が楽だったんだろうな。セベインなら、帝国ともラーメリアとも隣接している筈だ。前に行った時は、ゆっくりする間もなかったし、1度行ってみるかな、空から見てみるのも良いだろう。
そんな考え事をしながら【
魔石に魔法陣を便器の数分だけ書き込んでいくと、もう昼になろうとしていた。全ての便器に魔石を取り付けて、一旦、休憩する事にした。
今日の昼食は、ご飯と味噌汁と生姜焼きだ。前に教えてやったんだが、俺が作るより美味いね。今日のは、霧と桜が作った様だ。周りを見回して見ると、みんな箸を使っていた。特にシャルロットは、ずっと使っていた様に上手だった。聞いてみたら、俺が使っているのを見て便利そうだと思ったから、桜に教わったんだそうだ。
シャルロットが、それを始めたのを見て、みんなが追随したらしい。でも、使って見たら、掴む、裂く、切る、掬う、刺すと全部出来るので、楽だと言う話になったらしい。刺しちゃいけないんだけどね。言わないけど。
俺は自分がやりたい様にやってるだけで、強制は一切していないんだけど、俺に合わせてくれているっぽい。気にしなくて良いのになぁ。それを言うと、私達がやりたいんだから、放っておいて下さいって言われるんだよ……。食べやすい様に食べてくれれば良いんだけどなぁ。
昼食を摂りながら、セレスティーナに話をしてみた。
「セレス、そろそろ海水浴に行こうと思うんだが、リリア、マリア、ヘカテーの3人に行くかどうか聞いて来てくれるか?」
「はい、聞いて来ますね。行かないとは言わないと思いますけど。」
「本人はそうでも、家として駄目な場合もあるだろ?王家と大公家なんだから。」
「うーん。多分、ないですね。マサキ様のお誘いを断れる、王家も大公家も存在しませんよ?」
「命令じゃないんだぞ?行きたいと思うのなら、連れて行くよ。と言う話だからな?お前達の中にも、海水に入りたくないとか、水着になりたくないとか、焼けたくないとか、色々あるだろ?そしたら、無理しなくて良いしな。なんでもかんでも俺に合わせる必要はないんだぞ?」
「そんな事は解っています。ちゃんと聞いて来ます。でも、あの3人はマサキ様と一緒にいられる時間が少ないですから、行くと思いますよ。」
「ふむ。みんなは、海と川ならどっちが良い?俺はどっちかって言うと、泳ぐなら川、魚介類を食うなら海って感じなんだけど。川は水が冷たいけど、塩がない。海はそんなに冷たくないけど、ベトつく感じなんだよな。俺はまあ、お前達の水着姿が見られれば、どちらでも良いんだけど。」
そんな質問を投げてみたが、王女達は川も海も行った事が無く、くノ一と女職人衆は川しか行った事が無い、メイド達も海水浴をした事は無い様で、全員が、どちらかと言うと海で遊んでみたいとの事だった。
そんな訳で行先は海で決まったんだが、睦月、沙織、奈緒、瀬奈は一緒に行くのか、どういうつもりで残ったのか、聞いてみた。そうしたら、みんな海にも連れて行って欲しいが、傍仕えがしたいとの事だったが、そんなに傍仕えは要らないよね。そんな事は本人達も分かっているそうで、逆に理由付けに困っていた様だ。
つまり、皐月と弥生に抜け駆けされて、頼み辛くなったんだと。まあ、ここに居たいと言うのなら、それは構わないし、屋敷の事をしてくれれば良いと言って措いた。俺の何が良いのかねぇ、あ、もしかして、俺が良いのではなく、許嫁が嫌だ事件の再発か?と、思ったりしたが、どうも違う様だ。良く分からないが、追々聞いていけば良いだろうと思うのだった。
昼飯を食べ終わったので、便器の交換をしていった。男共には、小便も座ってしろと命令しておいた。便座も汚れるし、飛び散るからね。便器の中にさえ収まってくれれば浄化で綺麗になるので、トイレが汚れないのだ。便器掃除も要らない優れものなんだぜ?良いだろう?
うちの女性陣には、大好評だった。まあ、今までが壺ではないが、壺の上に板を張って穴を開けただけの物だったからな。椅子に座る間隔で、臭いもなく、拭かなくても綺麗になるのだ。特に月の物が来ている女性には、気持ちが良い様だ。
みんなが、これは売れると言っていたが、服屋に置く訳にもいかないので、新たに店を構えるか、商会を買い取るか、傘下に置く必要がある。店を構えるとなると、人手が必要になるので、時間が必要だろう。職人娘達にやらせても良いが、職人なので勿体ない様な気もする。あ、施工要員には良いのか。
まあ、今は考えても仕方ないので、考えに蓋をした。
夕方、出掛けていたセレスティーナが屋敷に帰って来た。3人とも一緒に行くと言うので、3日後に出発する事とした。その前に、もう1度飛んでテストしておこうと思ったマサキは、皐月と弥生を伴って船に乗り込んで気が付いた。
ベッドは作ったが、布団がない。方位磁石も積んでいない。急いで王都の布団屋を探したが、小さい店だと在庫が非常に少ない。キングサイズの布団は、1組で良いのだが、2段ベッドを20部屋に各2台ずつ設置してあるのだ。80組とは言わないまでも、40組程度は必要になるだろう。
何しろ、増えた女職人まで入れると、嫁、愛人合わせて29人もいるのだ。改めて数えてみて、馬鹿じゃねーのかと自分で思ってしまった位なのだ。まあ、まだ、手を付けていない女が、7人もいるので、自重しようと心に決めたのである。
布団屋に関しては、王城御用達の商会なら沢山持っている筈だと、メイリーナが言うので、急いで商会を探して行ってみた。シングルの布団の在庫が50組程あったので、全部寄越せと言ったら、難色を示されたので45組で我慢してやった。船長室用のキングサイズの布団は、1組で良かったので問題なく手に入った。
方位磁針は、売っている筈もないと鉱石屋に行って、永久磁石を購入した。磁石を形成して、大き目の丸い木枠を弥生に作って貰い磁石を固定して、直径30cm程度の方位磁針の完成だ。これを操舵室の舵輪の前方へ設置したところで、夕方になってしまったので、テスト飛行は明日にする事にして、船の操縦方法を皐月と弥生にレクチャーした。後は、危ないのは離陸と着陸なので、飛行中に練習させようと思うのだった。
一通りの操船の方法を教えたが、後は体で覚えるしかないだろう、と言う話をしたら、何故か真っ赤になっていた。気にしても住方がないので、風呂に入って晩飯にしようと風呂に向かった。湯舟に浸かりながら色々考えたが、どれも今考えても仕方がない事ばかりが頭に浮かんでくるので、考える事を止めて、目を瞑って湯舟の縁に後頭部を乗せていたら眠ってしまった様だ。
気が付いて周りを見ると、みんなが注目していた。なんだろう、この羞恥プレイはと思ったが、みんなが心配していた様だ。沈まない様に見ていたのだと。
みんなのぼせてないだろうなと心配しながら風呂から上がって、冷たい水を一杯飲んだ。疲れてんのかな?と自分で考えたが、ここ最近は、ちゃんと睡眠も取っているし、疲れもない筈なんだけどなぁ。まあ、3日後までやる事ないし、ゆっくり寝ようと心に決めたのである。
晩飯の時にそんな話をして、朝起こすなよ、と桜とヘルミアに伝えておいた。軽く寝酒を飲んで、寝ようと思って寝室へ向かい、ベッドに入って目を瞑った。睡魔は直ぐに、深い眠りへとマサキを連れて行った。
それがまた、1回もせずに寝たという事実が、体調が悪いのではないかと言う憶測を呼び、朝起きたら大変な騒ぎになっていた。しない日が有っても俺は良いと思うのだが、普段の行いの所為だな、これは。何ともないから心配するなとだけ伝えて、寝なおした。
目を覚ますと昼になっていた。テスト飛行をせねばと起き上がり、1階に降りて昼飯を食べた。なんか眠気が取れていない気がするんだよなぁ。疲れてはいないのだけど。食事をしていたら、なんとなく眠気が抜けていくのが分かったので、大丈夫だろうと判断した。
精霊達と念話をしてみたら、どうやら精霊達が、俺の体調を気にしながら睡眠を誘導していたらしい。寝不足になった時の為に実験していたんだと。次からは、言ってからやってくれと頼んで措いた。大精霊達も心配性な様だ。
皐月と弥生を連れて、テスト飛行に行く事にした。女2人位なら落ちたとしても何とでもなるからだ。皐月も弥生も小柄で慎ましい体つきなので、多分、両脇に抱えられる程度なのだ。それだけに2人とも可愛いのだが。船室に布団を運び込み、船長室にも布団を運んで、準備が出来たので、魔力を流し込んで、船を起動した。
ゆっくりと船を上昇させて、高度300m位まで上がったところで、水平飛行に移った。ここで、弥生に舵輪を任せてみた。マサキは甲板に出て、障壁の状態と推進器の砲筒近辺に問題がない事を確認すると、操舵室に戻った。推進力を最大まで上げてみた。自分で飛ぶより遥かに速い。王都からセベイン上空まで2時間程度だった。と言う事は、時速500km程度は出ていると言う事か?
セベイン上空まで来た時、速度を落として皐月に操舵を交代した。マサキは甲板から下を見て、街の周辺の景色を確認してみた。街の北側の、少し離れた森の中に湖があった。澄んだ綺麗な水だった、その北側の山から流れ出る水だろう。そこから川が流れている様だ。
こんな良い土地にあの領主か、サラビスの目も当てにならないと言う事か?先代以前からだよな、世襲だし。まあ、国造りは、1からやるつもりなので、セベインを寄越せと言うつもりはない。差別意識の抜けない奴は、入国させるつもりがないのだ。弥助達日本人もエルフも人間も、一緒に笑って酒が飲める国にしたいのだ。だから、既に人が住んでいる所は、有り得ないのだ。
弥生のケツを撫でながら見ていたら、ムラムラしてしまったので、帰ろうと思ったのだが、海水浴場も見ておかなければと船を南に向けた。速度は徐行で、皐月に操舵を任せたまま弥生を船長室に連れ込み、弥生を頂いた。小柄で細身なのだが、脱いだら凄かった。ボンキュッボンとは言わないが、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んで、バランスの取れたプロポーションだった。
弥生を美味しく頂いた後、不公平もいけないだろうと、皐月も頂いた。こちらも小柄細身で見事なプロポーションをしていた。ともに1回戦しかしていないが、美味しゅう御座いました。
操舵室に戻って、スマホの地図を確認すると、もう少しで海が見えるはずだった。海へ出たら海岸線を飛んでみるつもりなのだ。砂浜が見えたので、舵を左にとり、船を東に向けた。
海岸線を飛びながら下を見ると、海水浴をしている人間がいない。これは、港町マイルの近くまで行かないと駄目かな?とも思ったが、港町に海水浴場があるとは思えないしな。だって、港だから深いだろ?でも、街から近くには有り得るか。街から行くもんな。そう思って、マイルに向けて全速とした。
1時間位でマイル上空へ来たが、甲板に出て下を見ると、やはり漁船が多く、泳げるような場所はなかった。しかし、船の前方へ目を向けると、長い砂浜が続いていて、そこに小さな集落が見えた。
そこは、屋台が沢山いて、泳いでいる人間も多数いた。ここが海水浴場だろうと思ってしばらく見ていたが、魔物がいるかどうかだけ確認しようと思い。砂浜に着陸する事にした。
無事着陸すると、階段を降ろさないで、マサキは2人に留守番を頼んで飛び降りた。屋台がある所まで歩いて行くと、イカ焼きの醤油が焦げる良い匂いがした。イカ焼きを3本購入して、屋台の親父に海の魔物について聞いてみた。
海にも魔物はいるそうだが、大型なので、深い所に行かなければいない、との事だった。およそ泳げる様な場所にはいないそうだ。体内魔力を暴走させた獣の様に、同じく暴走させた魚がいるかと思ったら、小型の魚は魔力を持たないんだそうだ。ここで言う小型には、200kg級のマグロも含まれる。
大型の魔物とは、全長20m級のシーサーペントと呼ばれる大海蛇や10mを超えるクラーケンと呼ばれるイカともタコともつかない魔物がいるそうだ。何れにしても相当沖まで出ないといないから、充分に遊べると教えてくれた。
屋台の親父に礼を言うと、イカ焼きを持って船に戻った。2人とも嬉しそうに食べていた。イカが肉厚で醤油が効いていて実に美味い。これは、沢山買って帰ろうかと思ったが、みんなで来た時に買えば良いと思い直して、船を上昇させた。
そこから、全速で1時間で王都に帰る事が出来た。庭に着陸すると、みんなが迎えに出て来た。
「「「おかえりなさーい。」」」
と言う声が沢山聞こえて、シャルロットとセレスティーナに腕を組まれて、屋敷の中へ連れて行かれた。
リビングへ連れて行かれ、シャルロットが膝枕をしてくれて、
「少しお休みください。」
と言われてしまった。まあ、精霊の実験とも言えず、シャルロットの尻と足を撫でまわしながら、横になっていた。
この日は、シャルロットとセレスティーナを1回戦ずつ可愛がって、大人しく寝た。そして、次の日は完全休養日としたが、暇なので、1日中、誰かを捕まえては、エッチをしていただけだった。
そして、海水浴へ行く日を迎えたのである。
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