第57話 おっぱい乱舞

 大精霊ってやべーな。作業がこんなに楽だとは・・・。ウンディーネに丸太の乾燥を頼んださ。木材が割れない様に完璧に乾燥してくれたさ。シルフィードに柱材と、板材への切断を頼んださ。スリッターも吃驚のスピードで正確に切ってくれるので、あっと言う間に、竜骨の材料が出来てしまった。

 板材も羽目板にしてと頼んだら、見事な凹凸の羽目板を作ってくれた、後は魔法で反りを調整すれば、外板の出来上がりだ。シルフィード優秀すぎる。


 職人達には、竜骨の材料の細かい部分の加工を、設計図を見ながらやってくれと頼んだのだが、設計図が分かり易いと好評だった。まあ、現代知識で描いたしな。


 俺はと言うと、竜骨の加工が出来た場所から、薄くアルミ箔程度までにしたミスリルを竜骨材の船内側に貼っていった。何をしているのかと言うと、魔導回路を形成しようと思っているのだ。要は電気回路を魔力版で作ろうと言うのだ。


 と言うのは、魔石で色々動かすつもりなのだが、魔石と言うのは、それ単体で魔力を持っているので、魔法を刻んでおくと、常時発動してしまう。簡単に例えると、飛空戦が仮に正常に飛んだとしても、降りられなくなってしまうのだ。そこで、魔石には、魔法陣を刻んで、魔力のスイッチをオンオフする事で、制御しようとしているのだ。


 なので、船全体にミスリルの板を張り巡らせる必要があるのだ。制御回路自体は後で論理回路を書いて設計すれば良いので、取り敢えず船全体にミスリルを貼っておいて魔力信号が届きさえすれば、後でどうとでもなると言う考えなのだ。


「ディーネ。紙づくりは、船が出来てからでも良いか?」


「うん、いいよぉ。主様の予定で良いよ。」


「悪いな、手が空かないわ。でも、船が早く出来そうだから、終わったらやろうな。」


「うん~、やろやろ。」


「精霊って凄いのな。今日は、ディーネとシルフィのお陰で凄く進んだよ。明日から、リータにも働いてもらうけどな。」


「何でも言ってね。」


 


 マサキは、床板を張る前に魔石の設置までは終わらせたかったので、作業を一時中断させて、【浮遊フロート】の魔法陣を刻んだ魔石を7ヶ所竜骨に埋め込んだ。【反重力アンチグラビティ】の魔法陣を刻んだ魔石を4ヶ所竜骨に埋め込んだ。それが終わったところで、仕切り板を嵌め込んで船底部は完成だ。


 男性陣には、その間、船底部の外板を組み上げて固定してもらった。かなり厚みのある羽目板だったが、難なく作業は進んだ様だ。この日は、ここ迄で作業は終了とした。




 次の日から、船底部にバラストを積み、船底部の仕切板の上に、床を張り8畳程度の客室を左右に10部屋ずつ作った。その上に甲板を張り、階段を作った。甲板の上に、操舵室、リビング、キッチン、トイレ、風呂、船長室を作り、客室用の2段ベッドや船長室用のキングサイズベッドも作った。


 何に使うかだって?決まってんだろ?言わせたいのか?言わねーよ!


 途中、設計変更をして、付けない予定だった翼を、小さいながら付けておいた。魔力節約の為だ。シルフィードがいるので、航空力学的な物理の力も利用する事にしたのだ。


 最後に、マサキはバズーカ砲の様な形の砲筒を作り、船の後方で4本、船の前方へ2本、前方側面に2本ずつの合計10本を、甲板の縁の水を外へ出す穴を利用して差し込み、設置した。ここまではマサキが携わり、大体1週間掛かった。




 それからは、それぞれの部屋にベッドを設置したり、扉を付けたり、黒檀で机を作って船長室に設置したりと、細かい木工の作業を職人達に任せた。職人が船首に女神像を付けたいと言うので、スマホの壁紙にしてあったエリセーヌの写真を見せてやったら、喜んで作り始めた。


 マサキは、余った木材を使って、ウンディーネ、シルフィード、イフリータをモデルにして、手足可動の実物大マネキンを作成した。サイズ的に3人は比較しやすいのだ。何れも、美女と美少女なんだけどね。抱き枕にするんじゃないぞ、ミリアの店に置こうと思ったのだ。



 その後、マサキは、土の中から珪砂を集めていった。山の方へ行くとわりと良い感じで集まって来たので、温泉から炭酸ナトリウムを取り出し、山から石灰岩を取ってきて砕き、混ぜて溶かす段になり、イフリータに1500℃位で溶かしてくれと、お願いしたところ、喜んでやってくれた。真っ赤になったそれを、少しずつ切り取り、魔法で薄く平らに伸ばしてやって、冷ませばガラスの完成だ。


 小さめのガラスを10枚位、船の操舵室に持って行き、嵌め殺しにした。ワイパー欲しいよなぁ……と考えていたが、何の木材かは分からないが、シリコン状の樹脂が採れていたので、ガラスに塗ってみた。しっかり、水を弾くので、これでいいやと納得する事にした。困ったら、ウンディーネがいるのだ。問題ない。


 大きいガラスを5枚作って、異空間に収納した。手が空いた女性の職人を4人拉致して、作ったマネキンと木材の残りを持って、ミリアの店にゲートで移動した。



 ミリアの店に移動して、店の改装に着手した。入口の横の壁をぶち抜き、木枠を作ってガラスを嵌め殺し、マンキンを置く舞台を作り、ショーウィンドウの完成だ。大きいガラスは3枚で足りた。そこに、マネキンを3体置いたのだが、裸のウンディーネ、シルフィード、イフリータだった為、彼女達が恥ずかしがったが、これから服を着せるんだと言ったら、納得してくれた。


 イフリータのマネキンにミニスカメイド服を着せ、シルフィードのマネキンに迷宮で取って来た下着を着せ、ウンディーネのマネキンにミリアの店の自信作を着せて、外から見てみろとミリアを外へ連れ出すと、目をキラキラさせて「うわぁ~」

と感動していた。


 ついでに、女性用のスーツと白いブラウスとミニのタイトスカート、プリーツスカート、フレアスカートのデザイン画を渡して、工房で3種類のサイズを作っておく様指示をした。この世界、新品の服は全て採寸してオーダーメイドなので、高くて庶民的ではないのだ。既製品と言う概念がないので、そこに付け入る隙があるのだ。


 既製品で商売をするようになると、在庫の減ったものを工房で製作していれば良いので、工房の仕事がなくなる事が滅多にない。職人を遊ばせる必要がないのだ。


 既製品であれば、一般庶民が手に出来る価格で提供できるので、客の入りも増えるだろう。マネキンに着せた服に、新品である事が分かる値札を付けておく様にすれば、女性が見に来る事だろう。流行の発信者はいつでも女性なのだ。女性の入りが増えたら、男性用に手を付けるのも良いだろう。


 本当は、隣の店を買い取って、喫茶店でも開けば良いのだろうが、人手が足りない。王女達が働けば良いと思うのだが、流石に言えないな。無理だろうし。



 ここ迄やって、再び、湖の北側へ移動した。今度は、山へ蛍石を探しに行った。何を集めているのか、それは、蛍石と硫酸、それから、みんな大好きクロロフォルムだ。クロロフォルムはさらし粉から作れるんだが、作り方は教えないぞ~。


 だけど、テレビドラマやアニメで見る様に、クロロフォルムを嗅がされたからと言って、寝てしまう事などないのだ。気分はすげー悪くなるがな。あれだ、よくスタンガンで気を失わせるとか、ドラマやアニメではあるが、あれと一緒。スタンガンでは、気を失ったりしません。のたうち回る程痛いけどね。


 では、何をしているかと言うと、その3つを材料に、フッソ樹脂を作るのだ。船の腐食防止と防水の為だね。よく外人が深夜の通販でやっている「フライパンがこげてな~い」と言う奴だ。これを船体に塗っておきたいのだ、雨と海水から船を護る為に。


 最初は漆を考えたんだ。だが、真っ黒の船体は、ちょっと、悪の秘密結社みたいだろ?俺の中の中二病さんがヤメロと言うので止めたんだ。


 一生懸命、フッソ樹脂を作り、職人達に全体に塗ってもらい、船底は重ね塗りをしてもらいながら、今度は、ウンディーネと紙作りだ。炭酸泉を汲んできて、大土鍋で木の皮を粉砕した物を、煮詰めていく。漂白剤がなぁ……と思っていたんだが、試しに【浄化ピュリフィケーション】を掛けてみたんだ。そしたら、繊維から余分な色素が抜けていた。


 繊維が綺麗になったところで、綺麗な水に替えて、ニルフェスに採って来てもらったトロロアオイの根と一緒に煮だし、湖の綺麗な水と繊維とトロロアオイの糊が混ざった物を、木で作った船と呼ばれる水槽に入れて、木と余った鉄を形成して、A4位の四角いザルを作り、紙を漉いた。


 ウンディーネが嬉しそうに紙を漉くので、見ながら板に貼っていき乾かした。なかなかきめの細かい、丈夫で真っ白な和紙が出来上がった。これ、使えるんじゃね?と思ったのは内緒だ。浄化の魔法を教えるのが面倒臭いなんて、言ってないんだからね!!



 後は、乾くのを待つだけと言う所までやっときた。大精霊達の協力で凄まじい早さで、ここまできたと思うが、半月使ってしまった。夏休みはあと、1週間とちょっとしかない、頑張ろう。船が出来ても、魔力の制御回路が出来ていないのだ。ここからは、誰かに頼む訳にもいかないので、出来た和紙を使って、1人で考える事にした。


 とは言え、職人達を労ってやらねば、と言う事で、屋敷の連中とミリアとオリビアを連れて来て、大宴会をする事にした。酒屋に行って、樽さら酒を買い、迷宮産の肉を用意し、湖で魚を獲り、野菜は流石に買いに行った。土魔法で、10個位のテーブルとそれぞれに椅子を4脚ずつ作って、竈とバーベキューコンロも作った。


 料理はくノ一3人娘とミレーナ、ミリアに任せ、マサキは、みんなで酒を飲みながら、オリビアを揶揄って遊んでいた。


「マサキ様?お姉ちゃんのどこが良かったんですか?」


「ん?美人でスタイルが良いところ?」


「えー?それだけですか?」


「改めて聞かれると、そうだなぁ。憂いのある良い女ってのは、何処が?って聞かれても答えようがないな。」


「そっかー、最近は、お姉ちゃん明るくなりましたよ?」


「そうだな、商売が上手くいかず、悩んでいたからな。気が楽になったんだろう。」


「スタイルなら、私の方が良いですよ?」


「だからどうしろと?」


「私も、マサキ様にエッチな事されたいでーす。お姉ちゃんばっかり、狡いと思いまーす。」


「なんでだよ。愛人になったんだから良いじゃないか。オリビアも俺の女になりたいのか?俺には、もう17人も嫁がいるし、愛人も5人いるから、なかなか相手に出来ないかもしれないぞ?」


「むぅ、私も愛人にして欲しいです~。」


「じゃ、お姉ちゃんに聞いてみろ。ミリアが良ければ俺は構わないぞ。」


「じゃ、聞いて来ます!」

そう元気よく言うと、オリビアは走って行った。



 やれやれ、とマサキが疲れた顔をしていると、弥助が酒を持ってきた。

「上様もモテ過ぎて大変ですねぇ。」


「本当にな。俺みたいなのの、どこが良いんだか。」


「上様の所には、人が集まる様になっているんですよ。職人衆も、次に声が掛かったら、すぐ参上すると言ってますからね。男衆も女衆もね。」


「まあ、里の連中は、みんな来て欲しいがな。俺は、味噌も醤油も日本酒も漬物も好物なのでな。あー、そうだ。畳を100畳位頼んで措け。王都屋敷のホールに敷き詰められる様にな。」


「承知しました。」


 ダラダラ始まった大宴会も、みんなが飲み過ぎて、混沌としてきた頃、マサキは折角だから男衆と温泉に入って行こうと思い、風呂に向かったんだが、女衆に女風呂に連れて行かれてしまい、女風呂に入る事になってしまった。


 そうしたら、女連中がみんな入って来てしまったので、芋洗い状態になってしまったのである。女の職人衆や、オリビアは、俺に裸を見られる事に抵抗はないのだろうか。

 

 色々おかしいと思いながらも、見たいものは見たいので、文句はないのだが、なんだろうなぁ。と思っていると、ミリアとオリビアが近くに来て、ミリアがオリビアも女にしてやってくれと言うので、「まあ分かったけど、今度な。」と言って措いた。


 俺は、俺で明日もやる事が満載なのである。魔道回路の作成と便器の作成とそれぞれのテストと、それが終わったら、飛行テストをしなければならないのである。


 だが、こうも思うのだ。地球にいた頃は、営業しかした事がなく、知識だけは蓄積されていったが、素人の俺が空飛ぶ船、飛空船を作る事が出来る等、魔法と精霊は偉大なんだなと。文明は全然発展していないのに、出来る事が増えている。不思議な物だと感慨にふけるのである。


 ならば、出来る事を考えながらやっていこうと。マサキは、忙しくても、そう思えたのである。今日は、芋洗いだが60おっぱいだぞ?これは、最早、おっぱい乱舞と言っても過言ではないだろう。


 マサキは、男衆とも入りたいと言って、風呂からあがり、男風呂へ向かった。まあ、後ろ髪が引かれなかったかと言えば、引かれたよ?でも、男の付き合いも重要なのだよ、諸君!


 男風呂に浸かりながら、職人衆に話を聞くと、男の職人達は、普段は里でも、なんでも屋の様な感じだそうだ。大工もするが、そんなに需要がなく、精々改築、増築が良い方で、雨漏りの修理とかが大半なのだそうだ。新築なんて滅多にないのだとか。先祖は宮大工だったそうで、技術と道具は伝わっているが、使う所がないと言っていた。まあ、そうだろうな、神社も寺もないしな。日本風の城もないしね。


 木造は火事が怖いから、石造りの家は正解なんだと思う。それでも、木の温もりと畳の気持ち良さは、捨てたくないなぁとも思うのだ。難しいよなぁ、靴を脱いで家に上がる習慣とかないもんな。


 城を作るつもりではいるが、外壁は石でも、中身は和室も欲しいと思っている。居住スペースは、靴を脱いで生活する様にしようかな。公務用スペースは、靴を履けばいいしね。さて、後は土地だけだな。飛空船がちゃんと飛べば、上空から探してみても良いな。ここでも良いけどね。1度は見て回るべきだろう。


 そうそう、流石、宮大工と思ったんだっけ。船首のエリセーヌ像、凄かった。滅茶苦茶そっくりで、恰好良いポーズで船首にいたよ。これだけで値段が付きそうな位によく出来ていた。大精霊3人も彫って貰おうと思ったのである。


 いい加減風呂から出て、ウンディーネに聞いてみた。そう言えば、土の精霊はいないのか?と。答えは、いるけど必要ないかと思ってと言うので、なんでか聞いたら、ニルフェスがいるから良いかと思ったとの事。ニルフェスは女神だから、精霊は必要だろう?と言っておいた。ニルフェスに城壁作りなどさせられないのだ。


 そうしたら、明日連れて来ると言っていた。人材が集まる事は、良い事だ。まあ、主に俺が楽をしたいだけなのだが。


 職人衆は、酒を飲み過ぎたと言う事で、今日は泊って明日帰ると言うので、マサキはみんなを連れて屋敷へ帰った。オリビアは、ミリアの部屋の隣に居座るつもりの様なので、好きにさせておいた。どうせ、あのむっちりボディなのだ、そのうちやってしまう事だろう。


 今日は、桜を労う意味でも桜と一緒にいてやりたいと思い。一晩中、桜を抱いて寝た。この世界に来て、最初に愛した女なのだ。特別感があっても良いだろう。良い匂いなのだ。興奮もするが、安心する匂いでもある。


 桜の良い匂いのお陰で、熟睡出来た俺は、朝から元気ハツラツだったんだよ。主に下半身が。朝から桜と2回戦もしてしまった。


 その後、恒例の朝風呂に入って、その日の予定を考えたのである。今日は、1人で集中して事にあたるべきだろう。フローを書いて論理式にして、魔力の制御回路に変換して古代文字にして刻んでいくのだ。面倒だけど、間違えられないので、1人が良いのだろうな。まあ、大精霊達がいるがな。



 そんな、予定を立てて、マサキは朝飯を食べて、現場に向かうのだった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る