第56話 天然温泉付き宿舎
朝、起きていつもの様に、朝風呂に入って身支度をすると、朝飯を食べて街へ出た。ミニスカメイド服を作らせた、服屋に行くためだ。店に着くと、女店主を呼び出して、あと500着作れと言ったら、そんな事を言うのなら、工房ごと買い取ってくれと言うので、買い取ると言ったら、喜んでくれた。
どうしたのかと尋ねたら、どうも服屋をやるのは、女店主の夢だったらしいのだが、なかなか思う様に売り上げが上がらず、どうして良いのか分からず、店を閉めようと思っていたらしい。工房にも仕事を出せなくて困っていた様だ。専属契約だった為、仕事を出せないと工房も維持出来なくなってしまう等、困り果てていた様だ。
女店主は、ミリアと言う名前で、まだ20歳なのだそうだが、店を出して2年になるそうだ。当座の運転資金として金貨100枚を渡しておいた。
「それで、ミリア。店と工房の買い取りはいくらだ?」
「えっと。工房の設備や建物とお店の建物とか、合わせて500万リルで如何ですか?」
「それは、箱だけか?人間はそのまま雇用出来るのか?勿論ミリアも。」
「え?私は、このまま、お店をやっていて良いのですか?」
「他に誰がやるんだ?」
「でも、私はお店を経営する才能がないみたいで……。」
「商売と言うのは、我慢が必要な時もあれば、新しいアイデアが必要な時もある。時節を読まないといけない時もある。お前が望むのなら、俺がミリアの面倒を見てやろう。」
「それは、どう言う意味ですか?」
「俺が、知恵を出してやると言っている。勿論、俺は約束などと言う曖昧な物は信じないから、契約にするか、俺の愛人になるかを選んでもらうけどな。」
「え?マサキさんの愛人にしてもらえるんですか?では、お願いします。」
「あ、いや、ミリアが望むのなら。だぞ?金でミリアを買う様な真似はしたくない。契約だって、魔法で縛れるから問題ないんだぞ?まあ、ミリアは美人だから欲しいかって言えば欲しいから、後でじっくりと口説くとは思うが。」
「あ、いえ。愛人にして下さい。お願いします。」
「え?そんな簡単なの?」
「え?前から好きでしたよ?そうでなかったら、あんなメイド服を50着も注文受けませんよ?」
「マジ?」
「マジですよ?嘘とか言わないですよね?」
「嘘なんて言わないが、いいのか?俺みたいな鬼畜で。」
「本当の鬼畜は、自分で鬼畜なんて言いません。」
「でも、俺、嫁が17人と愛人7人いるよ?」
「じゃぁ、1人位増えても分かりませんね。」
「あ、そう考えるんだ。じゃ、取り敢えず、店をクローズにして、細かい話を詰めておこう。俺もそんなに暇ではないのでな。今日、全部済ませよう。」
「はい!」
そう言って、ミリアは店を閉めて、鍵を掛けた。
店の奥の生活スペースに入り、話をした。
「それで、工房はこの街にあるのか?」
「はい。王都内にあります。」
「工房のオーナーは、ミリアなのか?」
「いえ、工房は両親がやっていて、従業員が6人います。」
「8人か。この店は、ミリアだけ?」
「いえ、今日はお休みしていますが、妹が1人います。オリビアと言います。18歳になります。」
「10人か。工房は買い取って良いのか?両親に聞かなくて。」
「大丈夫です。家族で、今月も上手くいかない様なら、全部売ってしまう話をしていましたので。」
「毎月の給金はいくら払っているんだ?」
「職人は、1人当たり毎月15万リルです。銀貨150枚支払っています。」
「毎月の売り上げは?」
「大体ですが、良い月で200万リル、悪いと100万リル位です。」
「売り上げでそれか。粗利を考えると、経費がいくらでも赤字だな。」
「ええ。そうなんです。」
「腕は悪くないと思うんだよなぁ。丈夫なミニスカメイド服だしな。ふむ、金貨100枚でタチバナ商会が買取りしよう。従業員はそのまま働いてもらう。給金は1人20万リル支払う。ミリアは、タチバナ商会に所属して、俺の屋敷から、店に通え。これでどうだ?」
「両親にも給金が頂けるのですか?」
「当然だろう。働いた対価は必要だ。オリビア?にも支払うぞ。ただ、ミリアは俺の愛人になるなら、給金は要らない筈だ。俺んところに来れば、生活には困らないし、欲しいものがあるのなら、買えばいい。」
「私は要らないです。お嫁に行くようなものですから。」
「そうなんだよ。嫁でも良いんだけどさ~。嫁がさ、王女だ、女王だ、公爵令嬢だ、大公家令嬢だとかばっかりなのよ。だから、愛人の方が気楽かなと思ってな。嫁が良ければ、俺はそれでも良いぞ?」
「・・・・え?」
「それは、何に対する、え?なの?」
「王女?女王?公爵令嬢?大公家令嬢?のえ?です。」
「じゃ、説明しとくと、王女がエルスロームの王女3姉妹とカステール王国の王女1人とラーメリア王国の王女1人な。女王がエクルラート女王国の女王とその妹。公爵令嬢は、コーラル公爵家の令嬢1人な。大公家令嬢は、パルミナ王国の大公爵家の令嬢1人な。あ、後、ガイザス帝国の皇女が1人いるわ。後な、元王妃1人と元皇妃も1人いるわ。」
「・・・・・・え?マサキさんて何者なんですか?」
「俺は、冒険者だぞ。Sランク主席だが。」
「この街にいる、ちょっとエッチな世界最強の冒険者って、マサキさんですか?」
「そんな呼び方されてんだ?まあ、そうだな。」
「愛人で良いです。跡取りの主張なんか必要ありませんし、妻になるのは一緒ですから。」
「だよなぁ、俺でもそう思うわ。殆ど押しかけなんだぜ?あいつら。まあ、言って措くと、王女だろうが、女王だろうが、ギルド職員だろうが、メイドだろうが、服屋の姉ちゃんだろうが、全員、俺の女。ここに身分差はないと思え。」
「はい!」
「じゃぁ、さっき渡した運転資金の金貨100枚は、買取り金にしてくれ。運転資金は、ここに銀貨を20000枚置いて行くから、これを使ってくれ。当面は、給金もここから支払えばいい。」
と言って、異空間から革袋を出して、ミリアに手渡した。
「え、いつもこんなに持ち歩いているんですか?」
「まあ、異空間に入れているからな。まだ、ギルドの口座に15億はあるんじゃないかなぁ。もっとあるかも?」
「・・・お金持ちなんですね?」
「うーん、どうかなぁ。俺って依頼料が高いから。金持ちかどうかはわからんけど、依頼がなくても頑張れば、1日1億は稼げるからね。」
「そんな世界があるのですね。」
「ミリアが望むのなら、もっと色々な世界を見せてやるぞ。俺の女になるか?」
「はい。お願いします。」
「分かった。じゃ、頂いちゃっても?」
「初めてなので、優しくして下さい。」
「任せなさい。」
そう言って、すぐやっちゃうのだ。シルティーヌに聞いた事も忘れて。ただ、マサキにも打算と目論見はあるのだ。服工房を買収しようかとは考えていたのだ。
優しく、1回戦を終えたマサキは、ミリアを連れてギルドへ向かった。ミリアの歩き方がおかしかった。ギルドの中に入り、セリアの所へ行くと、カードを出した。
「セリア、今日も可愛いぞ。銀貨20000枚と金貨100枚出してくれ。」
「何に使うんですか~?あんまり渡すと、私が霧さんに怒られるんですから。マサキ様は、金銭感覚がおかしいのですから、自覚して下さいね。」
「工房と店を1件買った。愛人も1人もらった。」
「もう!知りませんよ?」
「ほれ、ミリアだ。美人だろ?」
セリアはミリアに向き直った。
「セリアです。マサキ様の妻予定です。平民同盟を組みましょう。」
ミリアは、セリアに笑いかけた。
「ミリアです。宜しくお願いします。」
「なんだ?その平民同盟って。」
「だって~、王女ばっかりなんだもん。」
「俺は差別してないだろ?セリアのケツは可愛がっている筈だが?」
「気分の問題だけです。不満なんてありません。」
と、言いながら、革袋を出した。
マサキは受け取ると、異空間に仕舞った。
「じゃ、屋敷に戻るな。」
「はーい。」
ギルドを出て、ミリアを連れて屋敷に向かった。屋敷の門まで来ると、ミリアは笑った。
「そう言えば、メイド服をお届けに来たのに、今更、驚いてしまいました。」
「まあ、冒険者が住む様な屋敷じゃないからな。」
マサキが、屋敷の玄関を開けると、霧がすっと寄って来た。
「上様。お帰りなさいませ。」
「ああ、ちょっと良いか?」
「はい。そちらの女性は、服屋の?」
「まあな。」
そう言って、リビングへミリアを連れて行った。
「服屋と工房を1件買って来た。で、服屋のミリアだ。愛人にしたので、よろしくな。」
霧が確認する。
「上様。するのではなく、したのですね?」
「ああ、した。」
「承知しました。お部屋は3階で?」
「だな。」
「承知致しました。では、ミリア様こちらへ。」
そう声を掛け、霧はミリアを部屋に案内した。
マサキは、弥助と椿と桜を呼んだ。
「弥助。里に木工職人は何人くらいいるんだ?」
「仕事がなければ、10人はいると思いますが。」
「ふむ…、ゲート繋ぐから、船造りに何人来てくれるか、聞いてきてくれないか?日当は、1日銀貨10枚でどうかなぁ?少ない?」
「いえ、多すぎます。銀貨5枚程度ですよ?普通は。」
「いや、湖の北に工場を作っているんだが、その中に簡易的な住居を作って、当分泊まり込みして欲しいんだよ。だから、10枚でも良いかと思ってな。」
「なるほど、食事とかはどうします?」
「朝昼晩飯は、屋敷で作って持って行く感じで、桜に頼めないかなぁと思っているんだが……。」
「承知致しました。」
「良いのか?」
「上様も、そちらでお仕事をされるんですよね?」
「まあな。」
「では、問題御座いません。」
「じゃ、弥助頼む。」
「承知!」
マサキは、【
「戻って来るまで、繋いで措くから頼むな。職人は、現地でゲートを繋ぐ。」
「承知しました。では。」
と言って、弥助は里に向かった。
霧がミリアを伴って戻って来た。
「上様。ミリア様の部屋は決まりました。お荷物等は如何致しますか?」
「それなんだがな、今日中に済ませておきたいから、霧と椿で、手伝ってやってくれないか?弥助と桜は別の仕事を頼んでいるんだ。」
「でも、私達は、異空間収納が使えませんよ?」
「ああ、それならここにマジックバッグを作っておいた。闘技場程度の大きさまでは、入る筈だ。これを霧に預けておく。」
「承知しました。」
「ミリアは、2人を連れて、家なのか店なのかに戻って、荷物を持ってくるといい。両親と妹と従業員は、タチバナ商会で雇用する。俺が会頭だから、ミリアは副会頭を名乗れば良い。」
「はい。分かりました。」
「明日の朝一で、商業ギルドに行って、手続きをしよう。今日は、まだやる事があるのでな。」
「はい、明日は妹がいますので、お店は大丈夫です。」
「じゃ、その予定で頼む。」
「「承知しました。」」
マサキは、ソファにドカッと腰を下ろすと、桜を横抱きにして膝へ乗せた。桜とチュッチュイチャイチャしながら弥助を待っていると、慌てて弥助が戻って来た。
「上様。人数が20人になってしまいましたが、大丈夫でしょうか。」
「多い分には構わないが、そんなにいたのか?ベッドが欲しいかなぁ?」
「いえ、元々畳で寝てますんで、茣蓙くらいは、てめーで用意するでしょう。」
「それなら構わないさ。じゃ、住居を作りに行こうかね。」
「承知!」
マサキは、【
土で出来た壁だけの工場だが、弥助と桜は見て、唖然としていた。
「上様。これは昨日、お1人で作ったんです?」
「だよ?屋根は作ってないがな。邪魔だから。」
「流石と言いますか、とんでもないですね。」
「そうかなぁ?弥助、20人てのは、みんな1人もんか?男女の別は?」
「男が12名と女が8名です。夫婦者は2組ですね。」
「女も多いのか。力仕事は難しいか?」
「いえ、大丈夫だと思います。術遣いなので。」
「そうか。なら夫婦用を2部屋と1人用を16部屋かな?」
「いえ、男部屋を1つと、女部屋1つで構いませんや。どうせ5日とか10日の話でしょ?」
「まあ、そうだが。逆に一緒の方が安心か。じゃ、そうする。」
マサキは、工場の中に入ると奥の角まで行って、地面に手を付いた。頭の中で、建物の中に仕切りを付けて、8畳の部屋が4つとトイレのスペースが出来る様に、イメージを膨らめて、【
中に入って見ると、田の字に8畳間が4つと、土間とトイレスペースが出来ていた。が、寝るには痛そうだなと思った。
「弥助、これで寝られると思うか?痛そうだが……。」
「これ、8畳間で作ったのでは?なら、畳を持ってくればいいんですよ。」
「あ、そうか。じゃ、女部屋も作ってしまおう。」
そう言うと、反対側の角まで行って、8畳間を2つと、トイレ、土間をイメージして同じ様に、部屋を作った。
そして、工場の入口と正反対の壁に、人が1人通れる程度の穴を2つくり抜き、その向こう側に、もう1つずつ、大き目の部屋を作り、【
ここで、ウンディーネを呼び出した。
「ディーネ。ここに温泉出せるか?」
「この中で良いの?」
「うん、この中と向こうも同じ所に。」
「はあい。ちょっと待ってね。」
ウンディーネは、湯舟の中で下に向かって、手を当てると、親指くらいの穴を開けた。そこから湯気と一緒にお湯が沸き出て来た。それを、反対の部屋でも行った結果、天然炭酸泉かけ流し温泉の爆誕だ!
最初のお湯は熱すぎたので、ウンディーネに頼んだら、近くの水脈の水を少し混ぜて調節してくれた。大精霊最高。ファンタジー最強だ!
見ていた弥助は、
「上様。これは甘やかし過ぎですぜ……。」
と呆れていた。
「だけどさ、女性は喜ぶだろ?」
「そうですね、女は喜びますね。男でも温泉は大好きですからねぇ。」
「夏とは言え、疲れがとれた方が働きやすいだろ?」
「ですがねぇ……。」
「じゃ、ゲート開くから連れて来てくれ。」
「承知しました。」
マサキは、工場の入口の外で、【
続々と畳を持った職人達がゲートから出て来た。桜が男用宿舎と女用宿舎に振り分けていった。
その間に、マサキはニルフェスを呼んだ。
「フェス。トロロアオイってあるか?」
「あるわよ?根が欲しいのね?」
「ああ、頼む。」
「はあい。探してくるね~。」
と言って飛んで行った。
職人達が寝床を確保出来たところで、弥助が全員を連れて来た。
「上様。これで全部です。」
「みんなご苦労さん。今日からここに泊まり込みで仕事をしてもらいたいが、夜は普通に寝てくれよ。風呂も準備出来ているから、使ってくれ。源泉かけ流しの温泉だから、いつでも入れるぞ。男女別にしてあるから覗くなよ?」
「ありがとうございます!」
「で、今日は、昼飯を食ってから始めるが、作る物は解っているか?」
「船で御座いましょう?」
「まあ、その認識で合っている。簡単な設計図を描いてあるから、見て欲しい。協力してやっていこう。宜しくな。」
「「「よろしくお願い致します。」」」
外にテーブルと椅子を土魔法で作り出し、全員が座れる様にした。桜に頼んで、昼飯は、バーベキューをする事にした。鉄板を出して。石で作った足に鉄板を乗せ、適当な薪を置いて、火の管理はイフリータに頼んだ。
「リータ、適当に火を調整してくれな。」
「はあい、主様。」
マサキは異空間から、迷宮でオークから拾った肉を出して、各々に焼いて食べてもらう事にした。みんな嬉しそうに食っていたので、良いのだろう。
女職人と聞いたので、女子プロレスラー位は考えていたが、みんな華奢だった。それも、なかなかの美形揃い。
なんか、あの里ってブスを見た事がないんだよなぁ。王都内は結構と言うか、かなりいるよ?需要がないだろうと思って実況していないだけで。
そんな事を考えながら、肉を食っていたのだが、食い終わったら、作業開始だなと思いながら、マサキは流れを考えていた。
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