第55話 造船準備

 王の執務室で、資材部に行ってみろと言われたので、資材部に回ってみた。ミスリルは鉱石の状態で結構あったが、精製したら減るんだよなぁ。鉱石の状態で3tくれと言ったら、王に確認して来ると政務官が走って行ってしまった。まあ、役人的に勝手に判断できないわな。


 待っている間に他に良い物は無いかと、資材を漁っていたら、木材の黒檀と紫檀を発見。パクって帰ろうかと思ったが、資材担当政務官に聞いてみた方が良いよな。貴重な物であれば、自分で伐採に行こうと思うのだ。何しろ、 ニルフェスがいるのだ、すぐに見付かる事だろう。


 政務官が戻って来て、3tの鉱石は大丈夫との事だったので、遠慮なく異空間に仕舞った。因みにと言って、黒檀と紫檀は貴重なのか聞いたところ、家具の製作には使うそうだが、建材にする事はないのだそうだ。ここにあるのは、執務室の机を製作する為なんだとか。今は特に必要としていないし、王国内の南部にいっぱいあるから、持って行っても問題ないとの事だった。お言葉に甘えると言って、それも異空間に仕舞った。


 屋敷に戻って、【ゲート】を開き、湖の北側へ移動した。湖畔の眺めの良い所で、土魔法を使って造船用の倉庫と言うか、工場と言うかを建てようと思って、地面に手を付き、【土形成クレイフォーム】の魔法で100m四方の囲いを10mの高さで作った。その壁を【硬化ハードニング】で固めて、入口だけ繰り抜いた。屋根はどうしようか迷ったのだが、飛ぶのに邪魔なので、無しとした。


 さて、材料と思い、ニルフェスを呼び出した。

「なあに?」


「この世界に樫木かしのきってあるか?あれば探して欲しいんだが。」


「あるじゃない。そこに。」

と、ニルフェスは目の前の林を指差した。


「あれ?これそうなの?樫木ってこんなに太いの?」


「そうねぇ、貴方がいた世界のよりは太いかも。でも使い易いでしょ?」


「そうだな。船の外板に使いたいからな。太くて長い方が使い易いね。これ、伐採しても構わないか?」


「大丈夫、根を残してくれれば、接木してすぐ大きくなる様にするから。」


「おう、じゃ派手にやってみるか。」

と、魔力を操り、直径10m位の円盤を風を回転させて作り、超大型の【風刃エアカッター】を前方に向かって撃ち出した。


 結果、300本超の木が切れたのだが、当然、樫木ばかりではなく、色々切っちゃったので、枝打ちして選別しながら湖に浮かべていった。なぜ湖なのか、それは浮かべておいたら楽じゃないかと思うのだ。積み重ねるとか怠いし。まあ、それは本当なんだけど、実際は乾燥させる為なんだよ。


 よく時代劇に出て来る、木場(貯木場)を思い浮かべて欲しい。水の中に丸太があったと思う。今は機械的に乾燥させてしまうので少なくなったが、昔は水の中に浸けて乾燥させていたんだよ。とは言え、そんなに時間は掛けられないので、水の中に浸けたままで、色々処理したいと思う。


 水に浸けておくのは、昔、大工のおっちゃんに聞いた話だと、切ったばかりの木は水分含有率が150%を超えるんだそうだ。だから、水が浸み込む事はなく、樹脂が纏まる事で乾燥しやすくなると言っていた。それに、水に浸けておかないと、木が割れるんだそうだよ。理屈は聞いたけど、覚えてはいない。


 木を湖に浮かべたところで、工場へと入って行き、ミスリル鉱石を全部出した。これをせっせと、【精錬スメルティング】して純粋なミスリルを取り出していった。3tもの鉱石を精錬するのは、面倒だったが4時間位で全部出来た。集めたミスリルを1つの巨大なインゴットにしておいた。約1.2t位になった。これなら盗めないだろう。


 それが終わって、鉱石の中に残っている金属を取り出そうと思ったが、流石に疲れたし、腹も減ったので、ウンディーネに頼んで、少しだけ木の水分を抜いてくれる様に頼んだ。

「ディーネ。丸太が割れない程度に水分抜いてくれ。」


「はーい。皮は剥く?」


「剥けるのか?」


「簡単なのよ。」


「じゃ、頼むよ。」


「はーい。」

 と言って、ウンディーネは作業しに行った。


 喜んで手伝いをしてくれる大精霊……シュールだが、可愛い奴だ。青髪で青ドレスと言うか、青いボディコンみたいな恰好でスカートも短いのだが、見た目は全然人間なんだが、飛んでるんだな。そして、飛んでるから見えちゃうんだな。だから、興奮してしまうのだ。彼女達の服は魔力で構成しているので、裸も同然なのだが……。チラリズムとは斯くも興奮するものなんだなぁと思うのである。


 串肉を食べながら休憩していたのだが、ウンディーネが木の皮をいっぱい運んできた。どうも王との会話を聞いていたらしく、紙を作ってみたいらしい。じゃ、白い紙は難しいかも知れないけど、後でやってみるか?と聞いたら、嬉しそうに頷くので、木の皮を細かく裁断して山にして置く様に言っておいた。


 鍋の代わりに、【土形成クレイフォーム】で土鍋のデカいのを作り、水を入れて、木の皮を入れておいた。そして、ふと思った。別に陶器で作らなくても、【硬化ハードニング】で固めてしまえば、便器に使えるのではないかと。これは、船内用トイレに作って試すしかないだろうと思うのだった。


 あれ?水圧はウンディーネがいれば問題にならないし、風圧は風の精霊がいれば良いのでは?空飛ぶのだって、反重力の魔法がある……。


 強度いらねーじゃねーか!!

 普通の家でも飛ばせる事に気が付いてしまった。着地着水を考えたら船が良いけども。ファンタジーって楽じゃねーと思ったが、ファンタジーって楽だな!!


 ちょっとワクワクしてしまったが、準備だけは進めておかないとなと思い、鉱石に残っていた金属を全部取り出して、残った石材は外に山にして積んで措いた。取り出した金属は、鉄と銅が混じっていたので、【精錬スメルティング】して、インゴットにして措いた。


 紙を作りたがっていたウンディーネには、糊が必要だから、後で小麦粉と水で糊作りをしようと言って措いた。明日は、火に架けないといけないから薪も集めようと言ったのだが、それは任せてと言ってどこかに行ってしまった。ウンディーネは物づくりが好きみたいだな。


 ニルフェスが、全ての木に接木を終えて、ある程度成長させて戻って来たので、聞いてみた。


「なぁ、精霊って物づくりが好きなのか?」


「あの子達は、普段、人間と交流する事がないから、珍しい事が好きなのよ。知識欲もあるしね。ただ、あの子は本当に貴方の事が好きみたいよ?貴方の役に立ちそうな事だから、張り切っているんだと思う。」


「そうなのか。よくやってくれるもんな。だけど、大精霊って普通はもっと偉そうなんじゃないのか?まあ、俺のイメージでしかないんだけど。」


「だから、普段は偉そうよ。恋する乙女になってるんだってば。」


「何それ、超可愛いじゃん。ディーネは元々可愛いが……。大事にしてやらないといけないな。」


「私も、あの子も貴方の傍にいるだけで幸せよ?」


「そう言うものなの?」


「そう言うものよ。」



 そんな話をしていたら、ウンディーネが帰って来た。肩くらいまでの緑髪の美女と、赤髪ポニーテールの美少女を連れていた。

「ディーネ、彼女達は?」


「えっとね、風のシルフィードと火のイフリータだよ。」


「大精霊の?」


「そうそう、連れて来たから、愛人にしてあげて?」


「それは、構わないが……、そんなに簡単なもの?」


「うん、主様の魔力の中に入れてあげて欲しい。それだけでも良いから。」


「いや、俺は構わないんだけど、当人はどうなの?」


「問題ないよ。主様の魔力は最高。」


「あ、そう。じゃ、もう暗くなってきたから、帰るから入ってて良いよ。」


「「「はーい。」」」




 屋敷にゲートで移動して、みんなで風呂に入った。今日は汚れたし、疲れたので、体を洗ったあとの湯舟が最高だった。疲れがお湯に溶けだす感覚は堪らない。ふと、お湯を見て思った。紙を作る時に煮る工程で重曹を入れるんだが、このお湯使えるじゃんと。炭酸泉だからな。


 精霊が2人増えたし、霧も入って来たので、46おっぱいになった。なんか凄い事になってきた。最早、女風呂に侵入した変態状態だな。と、自嘲するのだった。


 ソルティアーナのおっぱいを揉みながら、明日の予定を考える。弥助と里に行って、木工職人を拉致して来る。竜骨から船体の製作に入る。木の成形を俺がして、細かい加工と組み立てをやってもらう。そこへミスリルの細い板を這わせていく。船底の外板をを加工しながら貼っていってもらう。その間に魔石に魔法陣を刻んでいく。船底内側に何枚か仕切り板を入れる。その上に床を貼って船室を作っていくと。

 明日は出来ても、そこまでだな。あー、設計図描いてないわ~。


 額を押え、天を仰いでガックリしていたら、みんながどうしたの?と聞いてくるんだよ。そりゃ聞くわな。


「今日、船を造ろうと思って、材料の準備をしていたんだが、設計図を描くの忘れててな。明日から製作に入ろうと思ったけど、出鼻を挫かれた感じ。」


 ユリアナは言う。

「海水浴で使うんですか?」


「ユリア。海水浴に船はなくても問題なくないか?」


「そうですねぇ。」


 セレスティーナは、じゃぁなんだと言う。

「マサキ様?いい加減秘密主義はどうかと思いますよ?」


「うちには、歩く拡声器がいるからな。」

 と、言いながらニヤッとしてやった。


「それは、私の事ですか?」


「他に誰かいるか?」


「んもう!イジワルです。もうそんな事はしません。」


「まあ、理論的には可能だと思ってはいるんだけどな。作ってみなければ分からない物だから、言わなかったんだよ。要するに、出来るかどうか分からない物を、作っていると言いふらされたら困るんだ。いつも言っている様に、未確定な情報を拡散されるのは、上手くないんだよ。だからいつも、必要最低限にしか話さないのさ。別に、秘密主義って訳ではないんだぜ?愛人作ったら報告してんだろ?」


「そう言えば、そうですね。隠しませんね。」


 メイリーナが助け船を出してくれた。

「セレス、いつも言っているでしょう?マサキ殿がやる事には意味があると。それは、言わないって事も含まれるのよ。言わない事に意味があると考えなさい。桜さんや霧さんがいつも言うでしょう?上様が言わないって事は、知ってはいけない事か、知る必要がない事だって。それが、信頼と言うものよ。」


「確かにそうですね。変な事言ってごめんなさい。」


「別にどこかで喋らないのなら、教えておいてもいいけどな。どうせ、完成すれば見るのだろうし。でも、まあ、楽しみにしておけ。」


「はい。」

セレスティーナは納得した様だ。

 今日はどうしようかなぁ。セレスティーナも良いけど、この前はっちゃけたからなぁ。あ、今日は、シリル……と思ったが、ソルティアーナの目がウルウルだ。あ、ずっと揉みっ放しだった。



 風呂から上がって、体に火を付けたままでは可哀相なので、晩飯前にソルティアーナと1回戦した。じっくりねっとりしたら、ソルティアーナは満足した様なので、夜は、シリルとしようと思う。


 最近は、1回戦で済ます様にしている。寝る時間の確保もあるが、回数だけ熟しても、女の子の体が心配だからだ。まだ、みんな20歳前だしね。メイリーナとリーザロットは関係ないがな。2人の場合は失神するまでやっている。興奮が冷めやらぬ時などは、捌け口にさせて貰っている。2人もそれを容認してくれているので、非常に助かっている。1度、あまりに収まりが付かなかった時、2人を同時に暴れた事もある。2人とも凄く満足そうにしていたのが印象的だった。大人だったね、2人とも。


 晩飯の準備が出来たと言うので、ソルティアーナと降りて行ったんだが、ソルティアーナがつやっつやしていた。溜まっていたんだろうか。


 食堂に行って気が付いたのだが、メイドの数が多い。あれ?と思ったら、メイリーナが教えてくれた。3姉妹の部屋付きだったメイドの中でも、美人だけ選んで連れて来たとの事。6人いれば良いからだと言っていた。が、後でシルティーヌに聞いたら、どうやら原因は俺らしい。


 俺が、どこの誰かも分からない女に手を付ける位なら、メイドにしなさいと言う事らしい。後々になって、厄介な事になりかねないからだと言っていた。その代わり、連れて来たメイドは本人も望んでいるので、いくら手をつけても構わないとの事だった。そんなに節操ないかな?俺。……ないな…。


 メイドで、思い出した。カルロスんところに、ミニスカメイド服を80着だったなぁ確か。販売も考えて、500着位発注しておこう。新しく来たメイド達にも、ミニスカメイド服を支給した。そうしたら、可愛いからと、シリルも着ると言うので、2着あげた。


 晩飯を食いながら話をして、みんなとのコミュニケーションは大丈夫だろうと思い、酒に切り替えて、リビングに移動した。そうしたら、着替えたシリルが見せに来た。破壊力が半端ないですぜ、お嬢さん。それはもうガン見してしまう程に。


 ちょびっと飲んで設計図を描こうと思ったが、予定は変更だ。そのままシリルを抱っこしてシリルの部屋へ特攻したさ。1回でって言っていたのに、興奮して2回戦してしまった。反省反省。まあ、でもシリルも興奮してたし、いいよね。1番固いと言われたシリルがなぁ。美人で可愛いんだから、文句はないのだが。




 その後、食堂の大きいテーブルを使って、簡易的な設計図を描き始めた。文房具は、ビジネスバッグの中にあった物を使い。レポート用紙に描いていった。電卓で計算をしながら、寸法を書き込んでいく。計算のスピードと描いていく速度を、近くで見ていたメイドさんが吃驚していた。


 定規を使って描いていくので、綺麗な直線と曲線が描かれていって、寸法が書き入れられた図面を見て、自分で満足した。床とか筋交いの強度の計算をしていって、柱や仕切りの数が足りる事を確認して、安全率を入れて再計算したが、問題なかったので、終了とした。


「あー、終わったー。」


 ヘルミナが、お疲れ様です。と言った。

「上様は、計算も人間技ではない速さでされるのですね。」


「あれ?ヘルミナも上様呼び?」


「ええ、私も一生、上様のお傍仕えが良いので、そうさせて頂きました。」


「そうか、じゃぁ俺もルミナと呼ぼう。」


「本当ですか?嬉しいです。」


「計算の早さはな、カラクリがあるんだ。これは、俺の世界の電子卓上計算機と言うんだが、計算はこいつがやってくれる。暗算でも普通に出来るが、こいつは間違いがないから、間違えられない奴はこれでするんだ。」


「なるほど。良い物があるのですね。」


「ここまで、この世界の文明が辿り着くには、結構な時間が必要だろうけどな。」


「私は、上様がいれば何も要りません。」


「んまぁ、有難い事だが、幸せになるのに、必要な物があれば言うんだぞ。お前は、メイドではあるが、俺の女なのだから。」


「はい。嬉しいです。」


「さて、寝るか。」


「はい。」


 この後は、シルフィードのつもりだったが、ヘルミナの部屋で1回戦して、自分のベッドに戻り、大人しく就寝した。しかし、夜中に目が覚めてしまったので、シルフィードとイフリータを呼び出して、1回ずつして寝なおした。


 もう、人間もエルフも女神も精霊も、何でもやっちゃう鬼畜なのだ。でも、みんな愛しているから仕方ないのだ。そう、仕方ないのだ。









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