第52話 38ぱい

 エルフェリーヌに婚約指輪の意味を教えてやり、また、結婚式は女神像の前で誓いを立てる等の話をした。そして、女神像の前で誓いを立てると、俺の嫁には全員にエリセーヌが加護をくれると言う話をしておいた。


「えと、タチ…、マサキ様?女神エリセーヌ様が実在しているのは、私も知っています。ですが、呼び捨ては如何なものかと……。」


「大丈夫だ。俺はエリセーヌを愛してはいるが、信仰はしていない。」


「女神様を愛している?お会いになった事があるのですか?」


「ああ、暫く神界で一緒に暮らしていたんだ。」


 エルフェリーヌは、少し待ってくれと言った。

「申し訳ありません。理解が追いついて行きません。」


「あーそっか、じゃぁ、後で俺の屋敷に行こう。そこで、みんなに色々聞くと良い。今は、フェル。お前が欲しい。フェルの私室へ行こう。」


 エルフェリーヌは、顔を真っ赤にして、頷いた。

「こちらです。」

と、執務室を出て、私室に向かった。




 エルフェリーヌの私室も広かった。簡易的なキッチンまであった。自分の事は自分でと言うのは本当なのだろう。そう言えば、エルラーナも自分で料理するもんな。こういう王族には好感が持てるな、と思うマサキなのだった。


 何か飲みますか?と言うエルフェリーヌを抱き寄せ、唇を重ねると、そのままベッドに押し倒した。


 極上の女体を心ゆく迄堪能し、2回戦して満足したマサキは、エルフェリーヌを抱き枕にして、眠ってしまった。寝る前に、エルフェリーヌには、『F65』のブラと『M』のパンツをプレゼントしておいた。正にボンキュッボンなのだ。


 3時間位熟睡したマサキは目を覚ますと、エルフェリーヌを抱き締めて寝ていた事に気が付いた。

「あ、悪い。痛かったか?フェル。」


「大丈夫ですよ。ずっと、お尻を撫でられていただけですから。」


「おお、俺は寝ていてもケツが好きらしい。しっかしなぁ……」


 マサキは、自分が異世界から来た事や、過去何があったか等、今まであった事の全てをエルフェリーヌに話していた。何故か、エルフェリーヌに聞いて欲しかったのだ。そんな魅力が彼女にはあった。


「不思議なんだよ。今まで、ある程度信用が出来る事が分かってから、好きになる事はあったんだけどな、フェルに惚れるのは早かったなぁ。自分でも驚いているくらいにはな。」


「何と言って良いか分かりませんが、マサキ様の愛情が伝わって来て嬉しいです。」


「まあ、フェル程、魅力的な女を俺は知らないかもしれん。かもしれんと言うのは、ひょっとしたら、俺はまだちゃんと見ていないのかもしれない、と思うからなんだけどな。」


「お優しいのですね、マサキ様は。」


「優しい訳じゃない、と思う。多分、女が偉大なだけだ。」

 と、言いながら、エルフェリーヌに襲い掛かり、もう1回戦した。




 ベッドから起き出したマサキは、魔石の粉とインクを用意すると、部屋の隅の床に魔法陣を描き始めた。エルフェリーヌは、ただジッと見つめていた。描き終わったマサキが魔法陣を乾かし、魔力を流し込むと、魔法陣が光り内側の文字が回転を始めた。

その魔法陣の横に日本語で、『2番』と書いた。


「マサキ様?この魔法陣は何でしょう?中身が回転してしまって読めません。」


「回転しているのは、態とさせているんだ。読めない様にな。これ転移魔法陣だから、読まれると行先がバレてしまう。だから、読ませたくないんだ。あ、エルフェリーヌにって意味じゃないぞ?」


「分かっていますよ。どこへ行っているか、知られるのは良くないですものね。エルガイズみたいなのも居ますし。」


「これで、俺の屋敷に対になる魔法陣を刻んで措けば、仕事が終わったら帰って来られるだろ?」


「まぁ!では、いつでもお会いできるのですね?」


「ああ、俺がフェルに会わずにいられない。多分。なぁ、ちょっと屋敷に行ってみないか?」


「どうやってですか?この魔法陣はまだ使えないですよね?」


「こんな魔法もある。」

と言って、マサキは【ゲート】を行使した。その中に、エルフェリーヌを押し込んだマサキは、後ろから抱いてついて行った。




 そして、屋敷に出ると、くノ一3人娘が集まって来た。霧が言う。

「上様。どちら様ですか?」


「エクルラートの女王、エルフェリーヌだ。惚れちゃったから連れて来ちゃった。テヘ。」


「上様、テヘではありません。女王様ですよ?」


「エルラーナの姉ちゃんだぞ?」


「そう言われてみれば……?」


「エルラーナに威厳なんてないからな!で、エルラーナは?」


「先程お帰りになって、お部屋で着替え中です。呼んで参りますね。」


「ああ、頼む。」

そう言って、エルフェリーヌをリビングへ連れて行った。


 マサキは、ソファにドカッと腰掛けると、エルフェリーヌを横抱きにして、膝の上に乗せた。

 そこへ、エルラーナが急いで来た。


「お姉様?」


「あら、エルラーナ。元気そうで何より。」


「女王の威厳は何処に?」

と、エルラーナは首を傾げながら言う。


「そんな物いりません。私は、マサキ様にメロメロです。」


 マサキは言う。

「エルラーナ。俺が超惚れちゃったもんだから、連れて来ちゃったんだ。」


 エルラーナは仕方ないなぁという顔で言った。

「多分、そうなるなぁと思っていたわ。私がお姉様に勝てるのなんて、魔法くらいだし。人柄と言い、容姿と言い、気が利くところと言い、完璧超人なので。私も、女として尊敬している位だもの。」


「いやねぇ、エルラーナ。褒めても何にも出ないわよ?」

と、エルフェリーヌは微笑んだ。


「まあ、私も姉様は大好きなので、文句はないわ。一緒にいられるのでしょう?」


「譲位するまで待ってね?」


「え?譲位するの??」


「するわ。マサキ様のお手伝いをする方が、エクルラートの為になると思うの。このまま通い妻でも良いのだけどね。」


 マサキは言う。

「急ぐ必要はないぞ。フェルの力が欲しい時は言うしな。」


「はい。お任せを。」


「エルラーナ。エルフェリーヌをフェルって呼ぶことにしたから、エルラーナをラナって呼んでいいか?」


「ええ、うん。嬉しいわ。」




 この後、マサキは隣の執事室に魔法陣を追加し、エクルラートの城のエルフェリーヌの部屋と繋いだ。1度テストをして、往復してみたが問題なかった。


 エルフェリーヌの存在は、セレスティーナやシャルロットにも色々勉強になる事が多い様で、話が盛り上がっていた。良い女を捕まえたと言って良いだろう。本当にこんなロクデナシに良い女が集まってくれるものだ。


 何処かで報いてやらねばと思うのだが、どうすれば良いのかサッパリ思い浮かばないのだ。大分前にソルティアーナに言われた事を思い出す。男なんだから、女心は分からなくて当たり前だと。確かにそうなんだけど、女の喜ぶ顔が見たいと思うのは我儘なのだろうか。子供が出来れば喜ぶのだろうが……。


 などと考えていたが、マサキは、我が家自慢の温泉にエルフェリーヌを入れるべく、剥いていた。一瞬で下着姿にされていたエルフェリーヌは目を丸くしていた。


「なんか、凄いのですね。抵抗する間もなかったです。」


「数少ない俺の特技だな。愛するフェルを自慢の温泉に入れたくてな。」


「まぁ、愛するだなんて。私の方が先に愛したのですよ?」


「俺の方が愛が深いぞ。多分。」


「そんな事分かりませんよ。私だって、深く愛してますから。」

 などと、バカップルプレイをしていたが、全員風呂に入ってきた。何故か、弥助以外全員いた。霧よ、お前もか。


「フェル、ラナ、セレス、シャル、シリル、ルティ、シルティ、メイ、リザ、ユリア、セリア、ミレーナ、桜、椿、霧、ユイ、ルミエール、ヘルミナ、メアリー。と俺で総勢20人か。なんかすげーな!19人38おっぱいか!」


 霧がすっと寄って来た。

「上様。それは少し下品では?」


「俺が上品だった事があったか?つーか、なんで霧がいるんだよ。」


「私は仲間外れだと?」


「いやいや、弥助の手前、俺に見られる事に抵抗はないのかよ。」


「そんな物はありません。上様でしたら、抱いて頂いても構いませんよ?寧ろ抱いて下さい。」


「お前には、弥助がいるだろう。」


「弥助にも、もう1人くらい娶る許可を頂けませんか?」


「ん?駄目と言った覚えはないし、俺の許可などいらんだろ?」


「いえ、上様の許可なくば、そう言う気にもならないでしょう。」


「で、弥助の嫁増やしてどうすんだ?」


「弥助を任せて、上様の元に参ります。」


「何言ってんだ、お前は。俺は弥助とは仲良くしたいんだよ!」


「上様。私は今日の屈辱を忘れません。」


「どんな屈辱だよ!」


「今朝、寝不足の上様を捕獲したのに、騙し討ちにして、お出掛けになられました。私だけ寝かせたまま。それもみんなに起こすなと厳命されて。」


「霧が無理してたから、寝かせただけだろ?」


「上様。そうではないのです。上様は、私が付いていないと死んでしまいます。夜、全然寝ていませんよ?理解していますか?平均の睡眠時間が3時間です。寝ない日の方が多いのです。」


「霧、お前がそれを知っていると言う事は、お前も寝てないんだよ?」


「ですから、上様は私と一緒に寝れば良いのです。」


「なんでだよ。」


「私でしたら、手をお出しにならないでしょう?そうすれば、朝までしっかり寝られます。」


「いやいや、俺が1人で寝れば良いだけだろ?」


「上様をお一人にしておきますと、誰かしら上様に襲い掛かりますので。」


「だがなぁ、霧を隣に置いて、やらねー自信がねーんだよ。余計に寝られねーじゃねーか。お前が弥助の許嫁でなかったら、絶対に襲っている自信があるぞ。」


「ですから、やっちゃったら、やっちゃったで良いではありませんか。」


「良くねーよ!!」


 霧の暴走が止まらないので、風呂から上がる事にした。なんか疲れちゃったぜ。弥助を捕まえて、酒の相手をさせる事にした。食堂で晩飯を待つ間、弥助と軽く差しつ差されつしながら話をした。


「霧には参ったぜ。」


「はっは。あれは、上様がいけませんや。本人は寝かしつけるつもりでいたのに、逆に寝かしつけられてしまった訳ですから。」


「多少、怒ると思ってはいたけどさ。屈辱とまで言われると思わなかったよ。」


「上様。嫁が増えすぎて、寝る時間を削っているって事はないですか?」


「うーん、特にそういうつもりはないがなぁ。」


「なら良いですが、私らにはちょっと無理をしている様に見えるんですよ。」


「そうか、少し気を遣い過ぎたかもしれないな。俺が寝ないと、霧も寝ないだろうし、睡眠時間には気を付けてみる事にしようかな。」


「そうですよ、唯でさえ忙しいんです。女性達より、上様自身を優先して下さい。」


「うん、そうしてみるよ。だから、霧をちゃんと寝かしてくれよ。」


「承知しました。」




 晩飯の時間になり、全員が揃って食事となったので、少し聞いてみる事にした。

「お前達。子供って欲しいか?」


 やはり全員が頷く。セレスティーナが口を開く。

「どうして、そんな当たり前の事を聞くのです?マサキ様の御子を授かりたいと思うのは、おかしいでしょうか?」


「いや、そうじゃねーんだ。まだ、暫くは作るつもりはないんだ。少なくとも、お前達が卒業するまではな。ただ、正直言って、俺は子供が得意じゃない、と言うか苦手なんだよ。妻が多ければ、子も多くなると思うんだけど、育てられる気がしないんだよな。」


 シャルロットが口を開いた。

「旦那様が、どうしてそれを心配されるんでしょう?人数が多いのですから、当たり前じゃないですか。そんな事は旦那様が気になさる事ではありません。」


「え?そうなの?夜泣きの世話とか、襁褓むつきの交換とか、男親は普通しないのか?」


「ああ、旦那様は一夫一妻の世界からいらしたんですものね、そう考える事もあるでしょうか。ですが、考えてみて下さい。17人の妻に、一斉に子を授かったとしましょう。旦那様はお1人です、17人の子を自分で面倒見ようと思ったら、それこそ霧さんではありませんが、死んでしまいますよ?」


「でもさ、順番に作れば……?」


「17人に1年に1人ずつと計算したとして、17年も掛かってしまったら、私達、おばさんになってしまいます。女がこれだけ沢山いるのです、そんな心配は、旦那様がする事ではありません。その為に、乳母や守役と言う役目があるのです。」


「だが、乳母や守役を置ける様な貴族でもないんだが……?」


「貴族でなければ、乳母や守役を置けない訳ではありませんし、旦那様の稼ぎであれば、問題なく雇えます。雇わなくても、女手はいっぱいいるのです。」


「あ、そうなんだ。女ってすげーな。」


「それにですね、旦那様には、お母様とメイリーナ様がいるではありませんか。経験豊富な女性が傍にいるのですから、気にする必要も、心配する必要もありません。」


「あー、うん。そうする。」


「旦那様の精力ですから、みんな34人は普通に覚悟しておりますよ?お手のついた、愛人の方々にも当然お子は出来るでしょうから、40人以上でしょう。」


「そう考えると、ちょっと怖いな。城でも作らないと、住むとこないじゃん。」


「そうですよ。そんな心配するより、城を建てましょう。旦那様の事です、まだ妻が増えるでしょうし。」


「もう、増やす気はないぞ。お前達以上の女が、そういて堪るか。」


「愛人は増えますよね?メイド大好きですし。」


「それは、ないとは言えないかもしれない……。」


 マサキの妻になる女達もメイド達愛人も、何を気にしているんだと言う顔だ。こんなに女が沢山いるのに、何かしなければならないと思っていたマサキに呆れている様だ。


 でもさ、風呂入れるとか、お父さんの仕事じゃないのかね。こっちの世界では。あー忘れてた、男尊女卑なんだった。まあ、一夫多妻の時点でイクメンは無理なんだな。だって稼がないといけないのだから。


 考えてみれば、こちらの世界では、専業主婦が普通なので、イクメン等存在しないし、要らないのだ。高速情報化社会が齎した人手不足の影響で、女性を社会に引っ張り出したお陰で、女性の負担が増えたが故に、男も家事をしろ、子育てしろと言う事なのだ。寧ろこちらの方が自然かもしれない。


 なぜなら、男は子を産めないし、母乳も出ないのだ。男女平等を謳うのは構わないが、性別を無視したところで、出来る事、出来ない事は厳然とそこに存在するのだ。人間としての権利は、平等であるべきだと思うが、男女の区別は必要だろう。当然、役割も違ってくるはずだ。


 男女平等を声高に言い始めたのは、最近なのだ。バブルの頃に始まって、携帯電話の一般化位から加速した感じだろう。情報伝達が速くなってしまったお陰で、仕事が増えたのだ。だから、男女雇用機会均等法なる法律を作って、女性を社会に引っ張り出したのだ。


 特に、携帯電話の普及による影響は顕著と言って良いだろう。いつでも連絡を取れる様になった事で、仕事量は跳ね上がったはずだ。


 例えば、固定電話しかなかった頃ならば、相手の会社に連絡を入れて折り返し電話を依頼し、帰社してから折り返し電話が入って、翌日の予定として打ち合わせをすれば良かった。が、今はその場で連絡がついてしまう為、直ぐに処理を出来る様になってしまったのだ。


 1日の仕事量が数倍に膨れ上がっているのだ。賃金は然程変わっていないにも関わらず。


 人間の能力は、今も昔も大して変わってはいない。変わったのは、コンピュータの処理速度と情報伝達速度だろう。それ故、人手が足りなくなったのだ。


 その証拠に、少子化で子供の数は昔より全然少なくなっているのに、待機児童の問題が未だに燻っている。働かない女性は悪みたいな、社会構造はどうにかすべきだろう。


 働きたい女性には、働く場所を与えられるべきだと思うが、子供が欲しくて、子育てをしたい女性もいるだろう。女性の積極的社会進出と少子化問題は相反する問題なのだ。1日、目一杯働いて疲れた女性と、男性がいつ子作りをすると言うのだろう、共働きであれば、子育ても1人か2人が限界だろう。


 夫婦2人なのだから、3人以上の子供がいなければ、人口が減少するのは、自明の理なのだ。欲しくても出来ないご夫婦もいるのだから。


 男尊女卑は良くないと思う。しかし、過剰な平等論は、生物学的人間を否定するような気がしてならない。と、マサキは思うのだ。それ故、嫁達の言い分を否定する気にもなれず、甘えてしまうのだ。


 若干、心苦しい気もするが、出来る事を手伝う感じで勘弁してもらおうと、割り切る事にした。やるべき事、やりたい事はまだまだあるのだ。


 明日以降は、大森林の探索に出掛ける事にして、今日は何もせず寝よう、と心に誓うマサキなのであった。







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