第20話 犯人確保
下級悪魔が居たと言う事は、悪魔を召喚した奴がいる筈なんだよなぁ。悪魔を召喚して、その悪魔が扉を作って、出入りする形になるんだから、ソルティアーナが眺めていた時は、中から執事風が出て来たと言っていた。
ならば、それより前からいるんだよなぁ、ソルティアーナが見たのが、王が寝込む前日。と言う事は、少なくとも2日前と仮定すると、宰相一派かなぁ、それをするメリットがないよなぁ……。
ソルティアーナとセレスティーナとミレーナを伴い、ソルティアーナの母ちゃんの部屋に向かった。ソルティアーナの母ちゃんは、ルチアと言うんだそうだ。
ノックして部屋に入ると、取り敢えず、【
(正常……ではないな。心労か、もしかして、ソルティアーナの異変に気付いていた?)
「さて、ルチア妃。ソルティアーナの異変に気付いていたね?」
ルチアは、驚いた顔で言った。
「何故、そう思ったのですか?」
「心に疲労が溜まっている。」
と、言いながら、【
「あー、楽になったわ。ありがとう。」
ルチアはニッコリとした。
「ルチア妃、ソルティアーナの異変は、いつから始まったか、覚えているか?」
「サラビスが倒れた日の前日ですね。」
「うーむ、ソルティアーナ異変の日にちは確定か。だが……。」
「ルチア妃の周りに召喚術師はいるか?」
ルチアは、少し考え込んで、
「居る、正確には居た、ですね。宰相一派と一緒に捕まりまして、今はどうなっているか、分かりかねます。」
「名前は?」
「ガブラと言います。元々は、宮廷魔法師だった様ですが、私の護衛になっていました。何がきっかけかは分かりません。」
「そうか、ありがとう。参考にさせてもらうね。ソルティアーナはもう大丈夫だ。あ、それと、そのガブラは、ソルティアーナの部屋に出入りする事ってあった?」
「あったと思いますよ。」
マサキは考え込んでいた。
「うん、わかった。ありがとう。」
ルチアの部屋を後にしたマサキは、執務室に戻った。ある魔法を気付かれない様に行使して。
「いい加減、腹減ったな。サラビス王、ガブラって言う、宰相一派の魔法師は、どうなった?処刑か?」
「ああ、宰相一派の中でも、かなり中心的存在だったんだ。だから、処刑とした。それでも、一族郎党とはしなかったがな。」
「そうか……、なぁ、ミレーナ。悪魔召喚てした事あるか?」
「いいえ、そんなばあぁぁぁぁぁぁ!!」
「どうした?大丈夫か?セレスに精神魔法使ったのも、ソルティアーナに命令されたんじゃなくて、命令させたんだよな?」
「そんなわけないじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「あ、言うの忘れてた。【
ミレーナは、真っ青になった。
「そんなぁ。」
「残念だよ、ミレーナ。その気があるなら鍛えてやろうと思ったんだがな。記憶操作魔法は、悪魔に教わったな?」
「はい。」
「召喚した悪魔はさっきの奴だけか?」
「はい。」
「召喚自体誰かに頼まれたのか?」
「いいえ。」
「悪魔召喚の危険性は知っているか?」
「およそのところは。正確ではないかもしれません。」
「悪魔が契約社会なのは、知っているか?」
「それは知っています。」
「お前の召喚に応じた、あの悪魔との契約の対価はなんだ?」
「・・・・・・・」
「お前との性交か?」
「はい。」
「何回した?」
「数えていません、10回以上だと思います。」
「妊娠しているか?」
「していないと思います。」
「服を全部脱げ。」
「はい。」
ミレーナは、服を脱ぎ始めた。
「サラビス親父は外で待っててくれ。」
「ああ、わかった。」
サラビスは廊下に出て行った。
服を脱いだミレーヌの体をチェックしていく。綺麗な体だった、勿体ない。
「恥ずかしいかもしれないが、ソファの上で、股を開いて横になってくれ。」
「はい。」
ミレーナは、言われた通り、股を開いて横になった。そこへ、【
「服を着て良いぞ。」
「はい。」
ミレーナは立ち上がり、下着から着け始めた。
「これで、悪魔が腹を食い破って、出て来る事はないだろう。」
ミレーナは、慌てて言った。
「え?そんな事ないですよね?妊娠しても普通に産まれるんですよね?」
マサキは、呆れた。
「そんな訳ないだろ。悪魔は精神生命体なんだぞ?元々は、人間の様に実体がある訳じゃない。人間の胎児に受肉して産まれて来るんだ。いつまでも腹の中にいる訳じゃない。そもそも、人間に擬態してたから、忌避感がなかったんだろ?」
「・・・・はい。」
「セレス。親父呼んで。」
「はーい。」
サラビスが戻って来た。
「どうするよ。まあ、あとは任せるが。」
ミレーナが、言い出した。
「マサキ様。お伺いしたい事があります。よろしいですか?」
マサキは、頷いた。
「ああ、構わないぞ。」
ミレーナは、俯いたまま、聞いた。
「どうして、分かったのですか?私が召喚主だと。」
「ああ、その事か。召喚魔法使える奴って、あんまり多くないんだよ。
でも、いない訳じゃない。
あとは、記憶操作魔法だな。記憶操作は、闇属性じゃない。
でも、悪魔を召喚した奴に教わった場合も考えられる。
あとは確認作業だったんだが、最初に違和感を覚えたのは、魔力渦がクローゼットの中にあったからだよ。女性の部屋のクローゼットの中に出入口を作る指示を出すとしたら、女性だろ?
あれだけ、使用人用の小部屋があるんだ、普通ならそっちだろ?でも、自分の部屋には設置したくなかった。違うか?
あとは最後の確認として、ガブラが処刑されていた事が確認出来たからな。普通、召喚主であれば、逃げられるように悪魔に指示をする筈だ。
でも、すんなり処刑されている。
ソルティアーナの部屋に入ってもおかしくない奴の1人が消えたら、もう1人しかないわな。
ジャッジメントは痛いから、女の子には使いたくなかったから、最後まで色々調べていた訳さ。理解出来たか?」
「はい、わかりました。あともう1つだけ。」
「ん?」
「適正が無くても、魔法使いになれると言うのは、本当ですか?」
「俺が嘘言っても仕方ないだろ?」
「そう……ですか……。」
「魔法が好きなのは、本当だったんだろ?」
「夢でした。魔法使いになるのが。」
ミレーナの目から、涙が零れ落ちた。
「どうして、悪魔なんか召喚しようと思ったんだ?処刑される様な召喚術師である、ガブラでさえしなかった悪魔召喚だぞ?良い事など1つもないのに。」
ミレーナは泣きながら語り始めた。
「魔法使いを諦めた頃、それでも働かないと生きていけませんから、何かしなきゃと思って、メイドの勉強を頑張りました。
その甲斐あって、王城に勤める事が出来たのですけど、王城には宮廷魔法師がいて、それを見ていたら、悔しくて、情けなくて、自分が生きている価値を見出せなかったのです。
ある時、悪魔は甘い言葉で契約を持ちかけて来て、力を貸してくれると言う様な話を耳にしました。私に払える対価等、体しかありませんから、それで契約出来る様ならしようと思って、召喚魔法を使ったのです。
そうしたら、何時でも抱けるのなら、と言う契約で良いと言うので、契約してしまいました。」
「そうか……、セレス、ちょっとやって見せてやれ。セレスには、土の適正はないんだが……。」
セレスティーナが掌の上に土玉を出して見せた。ミレーナは、目を見開いて見ていた。
「セレスティーナも、2週間前までは、適正がないからと土属性の魔法は諦めていたんだ。だが、今は中級までは普通に無詠唱でバンバン撃ってるぞ。
まあ、俺が魔法学校の教壇に立つのもあと数日だがな。」
ミレーナは、涙を拭く事もせず、悔しそうにしていた。
「自棄になってしまった、私の負けなのですね。もう少し早く、マサキ様にお会いできていたなら、何も諦める必要がなかったのですね……。」
「ミレーナ、それは違うぞ。召喚をあと1週間待てたなら、俺がそんな事はさせなかったよ。時間の差異で運命が分かれてしまったんだ。で、ミレーナ。反省しているか?」
「はい。」
「はい。じゃない。どう反省しているか言ってみろ。」
ミレーナは、後悔の念を滲ませながら、言った。
「はい。馬鹿な事して、王女様お2人に迷惑を掛け、酷い事をしてしまいました。もう、2度と魔法は使いません。申し訳ありませんでした。」
マサキは、腕を組み考え込んでしまった。
(セレスやソルティの気持ち的にどうなんだろう……。)
「セレスティーナ、ソルティアーナ、どう思う?」
セレスティーナは、マサキが何を考えているか、想像がついた。
「私はマサキ様が決めた事に否やは唱えません。大体何を考えておられるか、想像できましたので。」
「良いのか?」
「はい。私は貴方を信じています。」
ソルティアーナは、少し考え込んでいる様だ。
「私は、悪魔に隷属させられていた間は、ずっと気分が悪くて、部屋から出られない状態が続いていましたので、ミレーナより、悪魔に対する怒りが大きいですね。でも、マサキ様が殺してくれたとの事ですし、スッキリはしていますよ。
あとは私の全裸を見た責任を、マサキ様が取って下されば、問題ありません。」
「あれ?あれは責任追及案件じゃないよね?セレス。」
「いえでも、婚約者の私も見せた事ない所まで、全部見ちゃってますし……。」
「あれ?お前、俺の味方じゃないのか?」
「多感な16歳の、全裸を見たんですよ?命を助ける為とはいえ、ねぇ……。」
「何か、おかしいよ?全裸じゃないと、助けられないのに、全裸を見た責任を取れと言うのか?まだ16歳だろ?子供じゃん。まだ、お父さんと風呂入ってるだろ?入る訳ねーか、親父がアレじゃなぁ。セレス的にはOKな感じなの?」
「どうせお嫁さん足りなくなりますから、大丈夫ですよ。」
「え?昨日までと言ってる事が全然違うじゃねーか!」
「心を入れ替えましたので。私は、マサキ様の事しか考えておりません。」
「じゃぁ、メイリーナも一緒なら考えよう。うん、そうしよう。」
「駄目です。マサキ様はお母様と通じ過ぎです。目で会話とか有り得ません。」
「俺は、その方が楽なんだけどな。多分、今1番の俺の理解者は、メイリーナだぞ?俺的には凄く色々助かるんだけどなぁ、セレスの暴走ストッパー的にも。
ちょっと話を戻すぞ。セレス的にも、ソルティアーナ的にも、ミレーナに含む所はないのな?」
「「はい。」」
サラビスを見たが、思う所は無い様だ。
「ミレーナ、召喚、精神系、記憶操作系の魔法は、捨てられると断言出来るか?」
「2度と使いません。」
「ならば、選択肢をやろう。1つは、このまま捕縛されて、王国の裁きを受ける事。もう1つは、俺の元で魔法の勉強をし直す事。
但し、俺は裏切りには容赦しない。だから、呪術を掛ける。俺達に害意を持った場合、召喚、精神系、記憶操作系の魔法を使った場合、死ぬより辛い苦痛を伴う呪いが発動する。好きな方を選ぶといい。
一切強制はしない、ただ、俺はエロだからな!そこは考慮しておいた方が良い。俺の理性は紙より薄い。因みにミレーナ、処女に戻してあるからな。」
「マサキ様?そんな事まで出来るんですか?」
「まぁな。メイリーナを生娘にも出来るぞ?」
サラビスが反応した。
「マジか?マジなのか?」
「鼻息の荒い親父だな。出来るって言ってんだろ?裸に剥かんといかんがな!」
当のメイリーナはニコニコしているだけだ。試練のミレーナは考え込んでいる。が、結論は出ている様だが、何か迷っている様だ。
「こんな事をしてしまった私が、再び夢を追いかけても良いのでしょうか。そんな事が許されるのでしょうか?」
「2度は言わないぞ、俺が良いと言えば、良いのだ。それに働かせるからな。魔法メイドが良いだろう、戦闘メイドにメアリーがいるし。まあ、俺んちは治外法権みたいなもんだ。」
「では、お言葉に甘えさせて頂いて、魔法の勉強をさせて下さい。」
「わかった、後で呪いは掛けるぞ?」
「はい。問題ありません。マサキ様は、どの程度まで魔法が使えるのですか?」
「それ、聞いちゃう?ん~、まあ、この世界にあるとされる魔法全部とオリジナルがチラホラな感じ?」
「え?」
「だから~、俺に仕えない魔法なんて存在しないの。」
「どうりで、あんなに高度な魔法をパカパカ使っている訳ですね。」
「ミレーナの魔力操作も、なかなかなもんだと思うぞ。まあ、直ぐに空飛ぶ位は出来るだろ。」
「え?マサキ様飛べるのですか?」
「そりゃ飛べるさ。魔法を最低3つ同時展開出来れば誰でも飛べる。俺は4つ展開してるけどな。危ないから。」
「凄まじいですね。」
「いや~、その凄さが解るって事は、それだけ力があるって事だ。セレス達に見せてやったけど、やりたーい。だけだからな。」
「サラビス王、ミレーナは俺が引き取るが、構わないよね?」
「駄目だと言っても連れて行くのだろう?」
「うん、今回は譲らない。」
「ならば、ソルティアーナももらってくれ。」
「あーきったねー、大人って嫌だわぁ~、16歳なんて子供じゃん?ルチアが悲しむと思うんだ。こんな女誑しの所に行ったら。」
「成人しているんだから、問題ないし、ルチアは反対せんよ。」
「セレスの17歳でも忌避感持っているのに、16歳なんて……。せめて18歳まで待って。婚約くらいはするからさ。」
「良いだろう。コーラルのとこも、もらって欲しいって言ってたぞ。」
「シリル嬢?」
「知ってたのか。」
「いや、今日知ったんだ。メアリーに言われた。メイリーナ先輩の手配のお陰で。やべーな、住むとこないじゃん。どっかに城でも建てるかな。」
大事な事を思い出したと、マサキが言った。
「そうそう、大事な用事があったんだ。悪魔の死体を燃やしたいんだけど、灰も残らない程の高熱で燃やすんだけど、使って良い場所ある?」
「騎士団の訓練場を使えば良い。」
「あとさ、ソルティアーナの部屋なんだけど、悪魔の血で汚れているから、入らない方が良いと思う。」
「承知した。」
「あとはそうだなぁ、ローレル辺境伯が来る予定とかある?」
「直近だとないかな。」
「そっか、仕方ない自分で飛んでいくか。」
「どこへ行くんだ?」
「ん?帝国。1度行って措かないと、ゲートが開かないからね。王国内に入った刺客は全員片付けたから、後は帝国に乗り込んで決着を着けるだけだ。」
「仕事が早いなぁ。」
「あと、今日の悪魔の件は、俺が勝手にやった事だからな。」
「どういう意味だ?」
「自分で考えよう。じゃ、ミレーナついて来い。お前に本当の魔法と言う奴を見せてやろう。」
マサキは、ミレーナを伴って、訓練場に移動した。セレスティーナ、ソルティアーナもついて行った。
「メイリーナ、意味分かったか?」
メイリーナが呆れた顔で言う。
「貴方もポンコツになっちゃったの?マサキ殿が勝手にやったと言う事は、報酬はいらないぞって事。」
「ああ、そういう事か。助かるな。」
「何言ってるの。マサキ殿は、自分が高い事をよく知っているから、勝手に無償であれこれしてくれているのよ?
その位把握しておきなさいよ。勝手にやっているから、報告もしないのよ。
それも、困る前に手を打って行ってくれるから、感謝しかないわ。だから尊敬できるのよ。」
「そうだったのか、王国の至宝だとは思っていたが、本当だな。」
「そうね。」
マサキは、訓練場で悪魔の死体を取り出した。
「ミレーナ、これが奴の本当の姿だ。斜めに切ってあるけどな。」
「気持ち悪いですね。」
「だろ?今度から抱かれるなら、俺にしておけ。」
「そうします。いつでも良いですよ?」
「なん・・・だと・・!!まじかぁ。さてと、やるか。」
マサキは、右手に殆ど白い炎、左手に魔力の塊を出した。
それを見ていた、ミレーナは目をキラキラさせていた。セレスティーナもソルティアーナも目を瞠っていた。
悪魔の死体に向かって、白い炎をぽいっと投げ、左手の魔力塊を投げながら、ドーム状の結界をイメージした。中には高濃度の酸素だ。
透明なドームの中で白い炎が暴れまわる。マサキはドーム状の結界を段々小さく絞って行く。圧縮する事で更に温度を上げるのだ。
20分位そうやって、炎と格闘していたが、結界を絞り切った所で火を消した。
燃え後を確認したが、文字通り灰すら残さず、消滅させた様だ。それを確認して、結界を解除した。
もう夜も更けてきている。いい加減腹が減ったので、みんなで食堂に行って飯を食ってから、帰る事にした。
取り敢えず、ミレーナは行き場がないので、連れて帰る事にした。荷物だけ、取りに行って、異空間に納め、ミレーナの尻を撫でながら帰ったのである。
桜が不機嫌だったのは、言うまでもない。
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