第13話 先生だと?
セレスティーナが城内でお馬鹿さんっぷりを発揮してから、ギルドに届いたパーティの招待状を恵まれない貴族諸氏に配ったり、お見合いの案内を騎士団諸氏に配ったり、セレスティーナを揶揄いに行ったり、桜とイチャイチャしたり、エルラーナを失神させたり、セリアの尻を撫でながら、【
現在は、ギルドの自室でセリアにお説教を食らっているところだ。
「マサキ様。質の良い素材は残して、悪い物ばかりを換金するのは、止めて頂けませんか?赤字まっしぐらなんです~!」
「ちょっと使いたかったんだよ。ちゃんと出すよ今度から。セリアにプレゼントしてやろうと思ってな。余った素材は売っちゃっていいからさ。良い素材って言っても、失敗した時の予備だから、手を付けてないし。
革なんか、ちゃんと鞣してあるぞ。至れり尽くせりだろ?だから、1回いや3回位だけ、ヤラせてくれ!」
「嫌ですぅ~。で、プレゼントって何ですか??」
「ヤラせてくれないと教えてあげない。」
「じゃぁ、ちょっとなら……、チラッ」
「チラッって口で言ったって、色気もなんもねーだろ!大体、専属受付嬢なんだから、シモの世話までしてくれるんじゃないのか?」
「しませんよ!!」
なんて不毛な会話をしていたら、エルラーナが来た。
「エルラーナ様。マサキ様が不真面目なんです。すぐヤラせろって言うんです。助けて下さい。」
「あら、減るもんじゃあるまいし、2・3回ヤラせてあげたら?」
「えーーー!!酷いです、横暴です、鬼畜です~。」
「あら?貴女だって彼の事は嫌いじゃないでしょ?専属は私が~って言ってた位なんだし。この間だって、お尻触られちゃいました~ってヘラヘラしてたじゃないの。」
「え?え?それは、言わない約束じゃないですかぁ。私の純情を返して下さい。」
「いい加減、抱かれてしまいなさい。仕事よ。」
と言って、エルラーナはセリアに依頼書を渡した。
「だって、マサキ様はヤラせてくれても遊びだからなって言うんですよ?」
「貴女も少しは頭を使いなさい。仕事はデキルのに、どうして、そう盲目になるのかしら?セレスティーナ様の件があるからよ。
セレスティーナ様と婚約しているのは知っているでしょう?だから、セレスティーナ様に話しておかないと嫁にするとは言えないの。
それに各国から縁談がいっぱい来ているのは知っている筈よ。それをマサキさんがどうしているか知っている?」
「はい。全然関係ない、貴族や騎士団に配っているとは聞いています。悪戯ですよね?」
「確かに悪戯なんだけれど、『お前達の相手をするつもりはない』って言う意思表示のつもりなのよ。そんな彼がヤラせろって言っているんだから、抱かれちゃえば良いじゃない。人間の花の命は短いのよ。」
横で聞いていた、マサキはいい加減、悶絶しそうになって口を開いた。
「なあ、上司と部下でヤラせる、ヤラせないの話は止めようぜ。本題はなんだ?」
エルラーナはサラッと言う。
「でも、したいんでしょ?」
「愚問だな!セリアのケツは俺のもんだ。だが、ヤレヤレ言われて、するもんでもないだろ?気持ちの問題なんだし。」
「じゃ、私とする?」
「それも良いな!」
「じゃ、行きましょう。」
セリアは大慌てだ。
「え?待って下さい。エルラーナ様がする事ないじゃないですか。」
エルラーナは何でもないと言う顔で言い放つ。
「何を言っているの?私はいつも可愛がってもらっているわよ?凄いんだから、彼。私はもう離れられないわ。だから、彼が何をしようとも許せるわ。捨てられない限りはね、でも彼は絶対に捨てたりしないわ。」
セリアは目が点だ。
「えええええええええ!!2人は既にそういう関係だったんですか!?」
「そんなに驚く事かしら?手合わせした時点で決まっていた事よ。それにね、彼には差別と言う言葉がないの。これは凄い事よ。」
マサキは、耐えられなくなったので、介入した。
「で、仕事ってなんだ?」
「ちょっと待っていて、急ぎじゃないから、先に決着を着ける。」
とエルラーナが怒っていた。なんで???
まあ、上司と部下だし、好きにやらせておいた。俺は桜を膝の上に乗せて、匂いを堪能していた。本当に良い匂いなのだ。別に匂いフェチではないのだが。
どちらかと言うと、ケツフェチな自覚はある。おっぱいは好きだし、色々好きだが、最初に目が行くのはケツなんだよなぁ。なんでだろ。
39年の人生の内14年は、仇の様に女遊びをしていた。今思えば、何をやっていたのかと、我ながら呆れてしまうんだが、似た様な状況にありながらも、愛情を持っている時点で全然違うんだろう。
ただ、チートだと思うのは、39歳の知識と経験を持って19歳になった。最早転生と言っても、過言ではないだろう。
年月と言うのは何にも代えがたい財産であると、俺は思う。知識も経験も時間が無ければ手に入らないのだから。
14年間も女遊びをしていた俺が、下手な訳が無く、絶技とも言えるテクニックを持ってしている訳で、経験の浅い女性は、離れられなくなってしまうのかも知れない。思考にしてもそうだ、相手の考えをトレース出来る事は、やはり女遊びと営業としての経験からだと思う。色々と勉強になったもんなぁ。
そんな事を考えていたら、上司VS部下の不毛な戦いは終わりを告げた様だ。結果を聞くのもバカバカしいので、仕事の話をしてもらった。
「で、仕事はなんだ?」
エルラーナは、やはりサラッと言う。
「先生よ。」
マサキは、目が点だ。
「は?」
セリアが溜息を吐いて、詳細を説明しだす。
「王立高等魔法学校、5年Sクラス10名の担任教師を依頼したいとの事です。報酬は、基本報酬5000万リル。期間は、1カ月。
依頼人は、王立魔法学校長 ルイス・フォン・ボイル。です。」
「1カ月で5000万て少なくねぇ?拒否。」
セリアが膨れた。
「もう、どうしてそうなんですか?」
「んなもん、見合わないからに決まっているだろう?」
セリアが首を捻る。
「どこが見合わないんですか?教師の1カ月の報酬と比べたらとんでもない金額ですよ。」
「比較する対象がまず間違っているし、俺を教職にさせたい訳じゃないだろう?
大方、どこぞの王族かなんかの令嬢が留学に来るとか、暗殺者っぽい新任教師がいるとか、そんな処じゃないのか?
その上で、その令嬢なのか、セレスなのかは分からんが、
エルラーナが両手を挙げて、降参のポーズだ。
「ごめんなさい。騙す訳じゃないのだけど、試しちゃった。依頼内容は、大体その通りよ。帝国から第四皇女が留学して来る。その上で、皇女とセレスティーナ様を護衛して欲しい。それから、Sクラスの10名は優秀だから、魔法について講義して欲しいとの事よ。報酬は0を1つ足して頂戴。」
「エルラーナ、俺は裏切りには容赦しない。今回は許す、次はないと思え。」
冷徹に言い放った、マサキの目には憎悪の炎が灯っていた。
エルラーナは、そんなマサキに戦慄した。
この人の本気はどれだけなんだろうと、手合わせなんて、ほんの遊びでしか無かった事を雰囲気から感じとった、と同時に、馬鹿な事をしてしまったと後悔したのである。
「エルラーナ様、こちらへ。」と桜が何やら連れて行った。
ああ、この間の話でもするんだろうか、言いふらして欲しくないんだけどなぁ。エルラーナなら異世界人て事も知っているし、裏切る事はないだろうから良いけどね。
「5億か、足りないな……。だが……。」
セリアが恐る恐る聞く。
「5億でも足りないんですか?どういう計算なのか聞いても良いですか?参考にさせて頂きたいです。」
「ヤラせてくれたらな!」
「もう!捨てないで下さいね。約束してくれるなら…良いです。」
「お前、エルラーナに何を言われたんだ?」
セリアは顔を赤くして言った。
「エルラーナ様には、隠す必要がない気持ちを、隠すなと言われただけです。ずっと好きでした。でも、セレスティーナ様と婚約した事を聞いていたので、釣り合わないだろうなぁと思って……。」
マサキは嘆息した。ヤラせろ、嫌ですの会話が楽しかったんだけどなぁ、セリアのケツは堪らんが……。
「まあいい、俺は金額に直すと、1日で1億稼ぎ出せる力があると考えてくれ。1カ月32日でいくらだ?」
「32億です。」
「つまり、32億の仕事を5億でやれと言われているわけだ。護衛だけなら、それで受けても良いのだが、授業を受け持てと言う話になると、ちょっと話が違う。
セリアに【
その知識をタダで寄越せと言われているに等しいんだよ。理解出来るか?」
「え?私、そんなに凄い魔法を教えてもらっていたんですか?」
「気付いてなかったのか?」
「私の魔力が少なくて、ちょっとしか入らなかったから、そんなに大した事ないのかと思ってました。」
「いくら優秀だとしても魔法学校の生徒位ではまず、無理だな。あぁ、魔力の問題で少しってのは、みんなそうだから心配するな。俺の魔力は無尽蔵だからな、と言うより制御出来る魔力が膨大なんだ。これはちょっとやそっとでは出来ないから、俺しか出来ないと思っておけば良い。」
マサキは異空間に手を突っ込んで、黒い革製のウエストポーチを取り出した。
「これ、プレゼントだ。ベルトが付いているから、腹に巻いておけ。そのポーチに手を突っ込んでみろ。」
セリアは、ポーチを受け取ると、ボタンを外して開けると手を突っ込んだ。ズンズン入って行き、肩の手前まできて体勢的にそれ以上は、入らなくなった。
「なんで?なんでこんなに入るんですか?」
「空間魔法で空間を拡張しているんだ。それなら、異空間より入ると思うぞ。絶対に盗まれてはいけない物は異空間、普段の荷物はポーチに入れたら良い。
そうだなぁ、大体、ここの訓練場位の物は入るぞ。俺のお手製だからな、大事にするんだぞ。あと、人にあんまり見せるなよ。ポーチ自体に価値があるからな、狙われる元だ。ただ、俺かセリアの魔力がないと、物は取り出せない様になっているからな。」
「そんなに凄い物をもらっちゃって良いんですか?」
「だから、体で払えと言ってるだろうが。」
セリアは意を決した様に、飛び込んで来た。
「もう!抱いてくださーい。」
セリアを受け止めて、尻を撫でながら言う。
「アホ、体で払うっていくらだと思っているんだ。それこそ億だぞ、それ。」
「じゃぁ、一生掛かっちゃいますね!」
と、何故か嬉しそうだった。借金て嬉しくないよね?
「そう、話を戻すぞ。そのポーチにしても億だと言っただろ?そういう知識をタダで寄越せと言っているわけだ。容認出来ると思うか?」
「出来ません……ね。確かにそうですね。」
「だが、それは向こうも承知していると思うんだよ。王立なんだから実際の依頼主はサラビス王だろうしな。これは、真意を確認しに来いと言う事なのかもしれないなぁ……。セレスも絡んでいるし、無視する訳にもいかない……か。」
「うむ、ムラムラしてきた。制服プレイを所望する。」
「もう!好きにして下さい。」
「マジで?」
「私は、マサキ様の専属嬢になりました。」
「ぬ、受付が無くなったか、ならば遠慮なく。いっただっきまーす。」
マサキは、セリアをお姫様抱っこして寝室へ消えていった。
寝室から出て来た、マサキとセリアは何故か、スッキリした顔をしていたと言う。セリアもスッキリだったの?溜まってたんだねぇ。
実況中継がないだろって?自主規制に決まってんだろ?連載が止まってしまったら困るだろ?そう思わないか諸君!!!
セリアとリビングでイチャイチャしていたら、やっと桜とエルラーナが戻って来た。なんかエルラーナが泣いた様な?
「桜。エルラーナに何をしたんだ?」
「お話を少し、しただけですよ?」
「お話なんだな?O・HA・NA・SHIではないな?」
「はい。エルラーナ様が泣いてしまいまして……。」
「あの話しちゃったの?」
「ええ、エルラーナ様はある程度知ってますから、良いと思いまして。上様は色々ご自分の中で消化してしまいますから、少しは表に出しませんと。」
「まあ、桜がする事だから、大丈夫だとは思うが、線は引いておけよ。」
「承知しております。」
エルラーナが申し訳なさそうな顔で、マサキに頭を下げようとした。が、
「謝罪は要らない。俺はエルラーナを信用している。」
とマサキが言った。
エルラーナは大きく目を見開いて、マサキを見ると、
「私は貴方だけを愛しています。」
とだけ言った。マサキには、充分だった。
マサキは少し考え込んで、頭を上げた。
「エルラーナ、この依頼、どう思った?」
「正直、割に合わないと思っているわ。受けないかも、ともね。」
「でも、お前は持ってきた。」
「ええ、セレスティーナ様が絡んでいるし、勝手に断れないと思って。」
マサキは、腕を組み考えた。
「あのサラビス王は予想以上に、デキル親父だな。」
エルラーナは解らないと言う顔だ。
「どう言う事?」
「多分、金額的に見合わないから、受けない事は織り込み済みなんだよ、セレスを絡めている事で、エルラーナが単独で断れない事もね。その上で、真意を確認しに来いと言うメッセージなんだと思うぜ。外部に話せない何か、があるんだろう。
恐らく5億と言う金額にも気を遣っているんだぞ?」
「お願い、その金額の話、私に分かる様に説明して。」
「最初にエルラーナが言った金額、セレスが絡んでるのに5000万程度だったら、俺を敵に回す事になる。
多すぎると気付いてもらえない。だから、護衛だけなら5億でも良い筈だが、授業を受け持てと指示していると言う事は、文句を言いに来いと言う事だ。」
「どうして、5000万だと敵に回す事になるの?自分の娘だから、とかにならないの?」
「セレスティーナの今の立場は、王女と言うより、俺の婚約者なんだよ。俺の婚約者に5000万しか付けないのか?と言う話になるわけさ。
エルラーナがいつも言う様に、Sランクは軽くないし、俺は主席なんだろ?」
「あ!!そうね。私も私の婚約者の護衛代が、1カ月5000万だったらキレてるわね。」
「その絶妙な所を、突いてきている所に、作為的な物を感じるだろ?だから、確認に来いと言う意味なんじゃないかと思う訳だ。」
「貴方の頭脳を分けて欲しいわ。これでもグランドマスターとして、それなりの経験も積んできて、上手くやってきたんだけど、貴方の前では自信なくすわ。」
「一緒にいれば、その内、分かる様になるさ。あと、セリアもエルラーナも依頼人の話は一言一句間違いなく伝えてくれ。
人の話には、本音と建前と言うのがあるが、建前の言葉の裏に、色々な情報が隠されている事が多い。頼むぞ。そうじゃないと仕事が増えるんでな。」
「はい。承知しました。」
「分かったわ。正確に伝える様にするわね。」
「さて、サラビスんところ行って来るわ。」
と言って、マサキは【
「何?それ?ゲート??」
「簡単に言うと転移門だ。それじゃ行って来る。王の執務室直行だがな。」
「いってらっしゃいませ。」
と言う桜の声に送られて、マサキは、ゲートに入って行った。
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