第5話 Aランク?
ちんたらちんたらと冒険者ギルドに向かって行くと、視線を背中に感じた。魔力感知は広げっ放しだし、丸見えなんだけどね。背中に向かって【
こうやって魔法が使えるのに、小柄が欲しくなってしまうのは、贅沢なんだろうか…。贅沢だよなぁ、魔法ならタダだしな。
そうこうしていたら、ギルドに到着した。
「セリアちゃん。ギルマスいる?」
「マサキさん。今、呼んで来ます。」
セリアが2回へ走って行った。階段を走る、セリアの太腿が堪らんと思いながら、もうちょっとと凝視してしまった。
この世界は、16歳で成人するらしいが、中世の欧州や日本の江戸時代の様に、18歳より前に結婚するって事は、政略結婚でもあまりないんだそうだ。
必ず1度は仕事について、社会を勉強するとの事。貴族の子弟や金銭的余裕のある家の子は、学校に行く様だが、高等魔法学校や騎士学校があるそうなんだけれど、卒業が17の年になる為、結婚は早くても20歳前後との事だ。
但し、許嫁とか婚約は早いみたい。婚約は16歳まで禁止らしいが、16歳になるとすぐの様だ。許嫁は年齢関係ないよね。
等と考えていたら、セリアが戻って来た。
「マサキさん、訓練場へ案内しますね、ついて来て下さい。」
「ほーい。」
セリアについて行くと、野球の室内練習場みたいに下は土だけど、建物の中と言う感じの円形闘技場とでも言えば良いだろうか、そんな訓練場に出た。
そこには、エロフの、いやエルフのお姉さんがいた。扇情的なスタイルに、胸が零れそうな、胸の空き具合の緑のドレスで立っていた。
「ようこそ、マサキ・タチバナ様。魔力測定は測定不能だったとの事だったので、ランク試験の手合わせをしたいと思います。私は、冒険者ギルド世界統括グランドマスター エルラーナ・ル・ラ・エクルラートと申します。」
「マサキ・タチバナだ。で、手合わせするのに、その舐め腐った恰好な訳か?ま、目の保養にはなるけどな。それなら寧ろ裸で来いよ。」
「あら、随分自信家のようね。なら、脱がせてみれば?出来れば、ね。」
と魅惑的な笑顔で言い切った。
一方マサキは、内心大興奮だ。
「ほぅ、どうなっても文句はないって事なんだな?」
「どうぞ。お好きなように。」
「お好きな様にだとぅ……、そんな素敵な言葉があったのか!」
「じゃ、始めましょうか。」
「おう、刀は遣っても良いのか?」
「どうぞ。」
「いつでもいいぜ?」
セリアが、「始め」の声を上げた。
エルラーナが、【
マサキが負ける訳がないのだ、神界で体感1年と言っていたが、実際は時間は流れていないので、1年どころではない時間を天使や下級神相手に魔法で戦っていたのだ、勝てるまで。心配性のエリセーヌは、兎に角心配だったようで、マサキが死なない様にする為に、ひたすら修行させていたのだ。それは武神を呼んで剣術を昇華させる程に。
エルラーナは、【
とうとう面倒になって来たマサキは、【
呆然と揉まれている自分の胸を見ているエルラーナ。ええ臭いやなぁと、だらしない顔で胸を揉んでいるマサキ。と言うシュールな光景を目の当たりにしているセリアは、勝負はどうするんだろうと、エルラーナを見た。
「えーと、脱がしちゃって良かったんだよな?」
「ごめんなさい。参りました。」
「話が違うじゃないか!こんな面倒臭い事に付き合ってやったのに!」
「じゃ、じゃぁ場所を変えて頂けないかしら?」
「良いだろう。」
セリアが慌てた。
「ランク決定の試験でしたよね?」
「いや、エルラーナを好きにして良いかどうかの試験だろ?」
しれっとマサキが言い放った。
セリアは半眼になって抗議した。
「そんな訳ないでしょう?指名依頼を受けるかどうかの試験だった筈です。」
マサキはそんなの知るかと言う顔で言った。
「だって、エルラーナが自分から言ったんだぜ?脱がせてみろってな。だったら男の子の目的は1つに決まっているだろう?
それに手合わせだと言っているのに、あんな恰好で来る方がどうかしてる。嫌なら最初からあんな扇情的な恰好で来るべきじゃないだろ。
負けると思わなかったなんて言い訳は聞かないぞ、彼我の実力差が分からないで、試験官なんかするんじゃねー。
そもそも、ギルドの登録時に無属性としか書かなかったから、無属性しか使っていないし、俺は魔法使いじゃなく剣術家だ。その俺が刀を抜いていないんだぞ。」
エルラーナが我に返ったようだ。
「セリア。やめなさい、私は手加減をされていたの。何を言われても、されても文句は言えないわ。まさか【
セリアは諦めきれない様に言う。
「そんなぁ……。エルラーナ様が負けるなんて……。」
エルラーナは、マサキの手を取ると「行きましょう」と促した。訓練場かた出た2人は、ギルドの建物の4階へ上がって行った。
グランドマスターの執務室へと入ると、エルラーナ自らがお茶を淹れてくれた。途中からセリアが代わったが。
勧められるままに、ソファに座った。向かい側にエルラーナとセリアが並んで座った。エルラーナが口を開いた。
「まず、本題から片付けるわね。ランクはSでも良いと思うのだけど、依頼実績が1つもないのも問題なので、Aランクからスタートで良いわ。1つ2つ実績を積んでくれたら、すぐSの案件ね。セリア、カードを更新してあげて。」
「はい。マサキさんカードを下さい。」
マサキは、銅板のカードを出すとセリアに渡した。セリアはカードを持って執務室を出て行った。
「良いのか?いきなりAランクなんて。まだ何もしていないぞ?」
エルラーナは、首を振った。
「良いのよ。と言うかね、これはギルドの利益でもあるの。
貴方程の実力があればね、万が一、悪魔や竜が出て来た時に計算が出来るし、不測の事態が起きた時に指名依頼が出せるもの。
逆に、貴方程の人をCランク程度にしておくと、安遣いされてしまうから困るのよ。他の冒険者に指名依頼が入らなくなってしまうしね。
貴方は、何も知らないで軽くあしらってくれたけれど、冒険者で私に勝てる人なんかいないのよ?例えSランクであったとしてもね。」
「あーそうなんだ。それでドレスのままだったと。まあ、この世界に来て日が浅いもんでな。色々良く知らないんだよ。」
「この世界に来て?どういう事?」
「エルフは長命なんだろ?だったら知ってるんじゃないか?450年位前に大量に転移者がいた事を。」
「あーうん、知ってはいるわよ。それが何か?」
「そいつらと同じ世界から来たんだ、俺。まあ、時代は450年後だがな。
グラマスには、知っていてもらった方が良いと思うから話したが、内緒にしておいてくれよな。」
エルラーナは、大きく目を開けて話を聞いていた。
「驚いたわ、あれから1度も無かった筈よ?今回も大量に来ているのかしら?」
「いや、俺だけだ。詳しい事情は話せないが、後にも先にも、俺だけだと思ってくれて良い。」
「そう、それなら良かったわ。貴方みたいな人が大量に来たとしたら、大変だったと思うもの。なら、この話は私の胸の内に納めておくわね。」
「ああ、頼む。エルラーナは、何歳なんだ?」
「女の歳を聞くのはアレだと思うけど、話の筋に関係するんでしょうから、言っちゃうけど、322歳よ。因みに私はハイエルフだから、人間の年に換算すると17歳位かしらね。」
「20分の1位か、若いんだな。その若さで、そんなに色気ムンムンなのは反則だろう。美人だし。」
「嬉しいわね、そんな事言ってくれるのは。魔女とか言われるからね、普段は。」
「そういう見方もあるか、俺にはただの良い女にしか見えないけどな。それで、指名依頼は来てんのか?」
「少し待ってね。」
そう言って、エルラーナは執務室を出て行った。
マサキは、考えてみた。
(これ、神界で修行したのってやり過ぎてねーか?出来る事が多いのも神様効果なんだろうなぁ、チートではない筈だが……。断じてチートではない筈。)
『エリセーヌ。』
『はい、マサキさん』
『なんかさ~、修行やり過ぎてない?』
『そんな事ないですよ、今のマサキさんで大罪系の悪魔と良い勝負程度です。だから、頑張ってもっと強くなって下さいね。』
『あ~、基準が大罪系悪魔なんだね。分かったありがとう。』
『また連絡下さいね。』
『承知』
(じゃぁ、俺が天災級って事じゃないか……。人外だったね。)
セリアが、カードを更新して戻って来た。
「マサキさん、新しいカードです。ミスリルのカードですから、無くさないで下さいね。カードだけで高いので。」
「うん、冒険者的にカードなしは辛いだろうからな。無くすことはないよ。普段は異空間に仕舞っているから。」
と言って、カードを受け取った。
「異空間収納が使えるんですか?凄いですね。今度やり方教えて下さい。」
「暇な時なら構わないぞ。授業料は体で払ってくれれば良いからな。」
と、笑いながら言ってみた。
「マサキさんのエッチ!エッチじゃなければ憧れるんですけどねぇ、マサキさんみたいに強くて恰好良い人。」
「何を言う。男はみんな野獣なんだぞ?エロは世界を救うんだぞ?そもそも、セリアはどうやって生まれて来たと思ってるんだ。」
セリアは、人差し指を顎にあてて、
「そう言われてみればそうですねぇ。でもなんだろう、マサキさんみたいに恰好良い人には言って欲しくない?みたいな?」
などと訳の分からない事を言った。
マサキは溜息を吐くと、
「俺は自由と女を愛する、解りやすい男なんでな、そんな難しい事を言われても理解出来ないんだぜ?」
と言ってやった。
「解らないフリをしているだけでしょう?」
バレていた。
エルラーナが、執務室に戻って来た。
「マサキさん、依頼来ましたわ。これが依頼書です。これは、依頼料はこれから交渉になる案件ですが、獲れますわね。王家が依頼人ですから。」
「まあ、その辺はエルラーナに任せる。あとギルドで抑えておける風呂付の宿とかないか?今の宿でも悪くはないんだけど、いちいち清算するのが面倒臭い。」
セリアが答えた。
「Sランクになれば、このギルドの5階に、部屋が与えられるんですけどね。広くてお風呂も付いています。どこかに出張依頼の時もギルドと提携している宿のスイートルームが料金ギルド持ちで使えます。早くSランクになって下さい。」
エルラーナが少し考えて、言った。
「うーん、マサキさんなら、ギルドの部屋を提供しても良いと思うのだけど。私の部屋に住んでも良いわよ?」
「おお、なんて魅力的な申し出なんだ!だが、部屋が貸して貰えるなら、その方が良いな。そうじゃないと女の子を連れ込めないじゃないか!」
「あら、私じゃダメかしら?」
「ダメじゃないが、決してダメではないが、俺の理性がもたないから却下だな。」
「そう、残念ね。じゃ、5階に部屋を用意しておくわね。これから王城に行くのでしょう?」
「ああ、そうだ、忘れてたぜ……。ギルドでは、王城で何が起きているか、把握しているか?」
エルラーナは、人差し指を頬に当てて少し考えた。
「なんとなく、程度には把握しているけれど、ギルドは、どの国にも属していないから、国に縛られる事はないのだけど、逆に介入も出来ないのよ。だから入って来る情報も断片的なの。」
「そうか、ま、行って見りゃ解るか。んじゃ、ちょっくら行ってくるよ。部屋頼むな。」
そう言って、マサキは立ち上がり、執務室の出口に向かったが、出る前に振り向いて言い放った。
「エルラーナ、今日の分は貸しにしておくからな。帰って来たら回収すっからな!」
「楽しみに待ってるわ。」
と魅惑的な笑顔を浮かべて、エルラーナは返事をした、マサキはタジタジになって出て行った。エルラーナの方が1枚上手のようだ。
ギルドを出たマサキは、真っ直ぐ王城に向かった。再び視線を感じはしたが、放置しておいた。まずは情報が足りないので、フラットな状態で王城に入りたいと思ったのだ。
王城の門に辿り着き、門衛に依頼の事を告げると中へ入れてくれた。そこには、弥助が執事服で待っていた。
「ご案内します。」
弥助の後をついて行き、玄関を入るとメイド服の桜が待っていた。案内役を桜に代わると、弥助は早着替えをして、消えようとしたので、引き止めた。
「弥助、宿を出てからギルドへ行くまでと、ギルドを出てからここへ来るまで、ずっと視線を感じていた。隠密が動いているようだ。」
「承知しました。探ってみます。」
「頼む。」
短い会話を終えると、弥助は、すぅっと気配を消していった。
桜が何か言いたそうにしていたが、緊急性はないと判断し、先に何処へ行くのか案内してもらう事にした。
桜について行くと、階段を幾つか上がり、かなり奥まで行った。もう迷った自信はあるね、何処だよココって感じだ。
桜が立ち止まった所は、廊下の左側に部屋が並んでおり、右側の窓を見ると眼下に湖が広がっており、見事な景色だった。遠くに見える山脈には、山頂付近に未だ雪が掛かっていた。
左側に並ぶ部屋は、ドアとドアの間隔が異常に広く、部屋がどんだけ広いんだよと思わせる程であった。
その並ぶドアの手前から2番目の部屋のドアを桜がノックした。中から返事が聞こえて、桜がドアを開けるとメイドが2名と王女がいた。
まぁ広いわ、なんだこの広さ、アホか。畳にして50畳位はあるんじゃなかろうか。それに、侍女用と思われる部屋が4つあるんだぜ?
などと考えながら中に入ると、王女がニッコリとした笑顔を向けて来た。女は大好きだし、超可愛いんだけど、王女と思うと面倒臭さしか感じないのな。
一応、挨拶はした方が良いのかと、桜を見ると、頷いたので挨拶する事にした。
「ランクA冒険者のマサキ・タチバナだ。会うのは2度目と思うが宜しく頼む。」
桜が大慌てだ。
「立花様、いくら何でも偉そう過ぎますよ。王女様なんですから。」
「やり直した方が良いか?」
「はい。」
王女が進み出てて、手で制する。
「いいえ、今ので充分です。マサキ様は、そのままで居て下さい。」
「そうか、じゃ、そうする。面倒だからな。」
周りのメイドさんが怒るかと思ったら、笑っていたので、大丈夫なんだろう。
「私は、第二王女セレスティーナ・フォン・フィーベルでございます。この度は依頼をお受け頂き感謝致します。」
「うむ、苦しゅうない近こう寄れ。と言いたくなる様な挨拶だな。」
「うふふ、面白い方ですね。」
「すまんな、権威とかには弱くない方なんでな。俺は人物しか見ないからな。」
セレスティーナは、首を捻った。
「それは、どういう意味でしょうか?」
「ん?分からんか。そうだなぁ、例えば某国の王様が目の前にいたとするだろ?」
「はい。」
「普通の貴族や平民だったなら、王様って言うだけで頭下げたりするんだろ?」
「そうですね。」
「俺は、自分が頭を下げるに値する人物でなければ下げないな。その王様がアホだったら徹底的に見下すぞ。逆に名君であったなら敬意を持って接するかな。」
「そういう事ですか。私はどうですかね?」
「子供を評価しても仕方ないだろ?」
セレスティーナは、膨れっ面をして言った。
「むぅ、これでも17歳で成人しております~。」
マサキは、少し考えて解らないと言った。
「そうだなぁ、めっちゃ可愛いお姫様って処かな。今はな。評価出来る程、見てもいなければ、話もしていないだろ?」
「確かにそうですね。では、まずはこちらにお掛け下さい。」
と言って、だだっ広い部屋の一角にあるソファにマサキを案内した。
マサキは、ソファにドカッと座ると、大きく沈みこんだ為、ソファさら後ろに倒れ込んだ。後ろに桜が居た為、スカートの中が丸見えになっていた。そのまま腕を組んで鑑賞していたら、上から立花様と睨まれたので、仕方なく起き上がった。
桜に詰問されてしまった。
「立花様。今のは態とですよね?」
「そんな訳なかろう?」
「どうして疑問形なのですか?」
「ちょっと何を言っているのかワカリマセンネ。」
桜は王女の目を気にしてか、大慌てだった。
「王女様の前なのですから、もう少しシャキッとして下さい。」
マサキは、鼻くそを穿りながら適当な返事をした。
「あいあーい。」
「余計にだらしなくなってどうするんですか!?」
マサキは、態度を改めた。
「もう良いだろ、弥助が追っ払った様だ。」
桜が真顔になった。
「あ、そういう事ですか。気が付きませんでした。」
「良いんだよ、その方が。誰か突っ込んでくれないと、1人芝居は辛いぞ。これで、ロクデナシが護衛についたと噂が流れる事だろう。ロクデナシに違いはないのだけどな。」
目の前で、お笑いを見ている様な気分だったセレスティーナにも、意味が分かった様で、何か凄い物を見ている様な、キラキラした目でマサキを見つめていた。
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