第20話 特訓とイケメンエリート③
○
さらに三日、新しい魔法の開発に成功した。
ヒントはバリーの魔法にあった。
バリーの適正魔法は「闇」で、彼が使う魔法の中に“
「何度も脳内でイメージしながら、自分でつけた名前を唱えていたらできるようになりました」
「自分で魔法を作ったの?」
「左様でございます」
「他の人は知ってるの?」
「冒険者同士で自らの秘技をしゃべることはありません」
気づかないうちにバリーが近くにいるのは、この“
魔法使って近づくとかほんとやめて。
どうにかして雷魔法、“
スタンガンみたいな、触れた相手にショックを与える魔法。
「
前方に電流を放出して相手をはじき飛ばす魔法。
「
「
「姉様。私の目に見えている範囲すべてへ雷を落としまくる
「エリィ、お願いだからやらないでね」
釘を刺したエイミーは必死だった。
「なんかごめんなさい…」
ちょっとやり過ぎたと反省する。
ノートに新しい魔法を追加した。
――――――――――――――――――――――――
炎
白 | 木
\ 火 /
光 土
○
風 闇
/ 水 \
空 | 黒
氷
習得した魔法
下位魔法・「光」
下級・「ライト」
中級・「ライトアロー」
「
「
上級・「ライトニング」
「
下位魔法・「風」
下級・「ウインド」
中級・「ウインドブレイク」
「ウインドカッター」
上級・「ウインドストーム」
「ウインドソード」
「エアハンマー」
下位魔法・「水」
下級・「ウォーター」
下位魔法・「土」
下級・「サンド」
複合魔法・「雷」
「
「
「
「
――――――――――――――――――――――――
○
夕食はいつも通り家族全員で取っている。
ダイエットをしっかり継続し、甘い物の誘惑を断ち、余計な炭水化物は摂取しないようにしている。
「それでエリィ。特訓はどうなの?」
母アメリアがついにしびれを切らしたのか尋ねてくる。
驚かそうと、俺もエイミーも特訓の成果をずっと黙っていたのだ。
「それがお母様……」
とりあえず、わざと残念そうな顔をした。
ピクッと母の眉がつり上がる。
「ダメ、だったのね?」
「そうなんです。
「え? なんですって?」
「今言った魔法しか習得できなかったんです」
母アメリアは目を見開いて愕然とし、父ハワードは持っていたスプーンを落とし、長女エドウィーナはパンをかじったまま動きを止め、次女エリザベスは音を立てて立ち上がった。
「あなた、四種類魔法が使えるように……?」
「そうですよお母様。エリィはスクウェア魔法使いになりました」
エイミーがどうだ! といわんばかりに胸を張った。大きい胸がこれでもかと強調される。
「エリィィィィィッ!」
「うおおおおおおおお!」
「エリィーーーーーー!」
「エリィーーーーーーーッ!」
四人は急に立ち上がって俺に抱きついてきた。
父はどこにそんな力があるのか、俺を抱きしめる妻と娘二人ごと持ち上げてぐるぐると回った。
「く、くるしいッ!」
何か事件か、と食堂に飛び込んできた使用人達は、嬉しそうな俺たちを見て「どうしたんですか!?」とせき立てる。
エイミーが事情を説明し、スクウェア魔法使いになったことを説明すると、一気に集まってきて、ぼろぼろ泣いて「ばんざぁぁい!!!!」と叫ぶ。
しばらくして、ようやく父親から下ろされた。
「わたくしがどれほどエリィのことを心配したか…」
「俺は嬉しいぞ! 嬉しいぞ!」
母と父が口々に言う。
嬉しいときはすぐに飛びつく。
これはクラリスやバリーだけではなく、ゴールデン家の家風のようだった。
ワンピースが破られないようにガードしながら笑った。
ゴールデン家の温かさに、なぜか涙が出てきた。
日本に戻れず、異世界で女になったことで、さすがの俺も精神的に結構きていたのかもしれない。新しい家族の心地よさに身を任せながら、日本のことを思った。
向こうに戻りたい。でもこっちの世界も、悪くない。
「お嬢様。明日からの魔物狩り演習合宿、ご活躍に期待しております!」
使用人の歓声の中から、クラリスのそんな言葉が聞こえたような気がした。
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