データ:フィアのメモ
・食糧事情
基本的な食料は魚、ローラが加わってからは卵が加わりました。
それを嵩増しするために、芋や雑穀、ヤシの実、ツル植物を加えました。基本的に焼くやり方でしたけど、土器ができてからは煮物や蒸し料理も作れました。
調味料は岩塩、あとは根っこを炒って粉状にしたスパイスが主です。
少量ですが、菜種油も収穫できたので、揚げ物もできるようになりつつありますね。ジャングルには食料が豊富で苦労しません。
・〈第一章〉第二話より、罠の作り方
木や竹の枝をまとめ上げ、蔦で枝束の片側を縛り上げます。その反対側はやや広げて縛り、そちら側の枝を中に折り込む。
そうすると筒状の漁獲罠になるという、カイト様の工夫ですね。
カイト様の世界では、セルビン、ビンドウと呼ばれる罠だったようです。
大きめに作れば、大きい魚もたくさん獲れますよ。
・〈第二章〉第二話より、レンガの作り方
粘土を採集したら、水を加えてこねて、型に押し込み、日干しにします。
それだけでも簡単なレンガになりますが、それを焚火の中で焼成すれば、さらに丈夫なレンガになります。
カイト様曰く、焼成するときの温度が高ければ、それだけ丈夫になるとか。
(縄文土器と弥生土器の違いはそこにある、と仰っていましたが……一体、それは何のことでしょうか?)
なので、レンガで窯を作り、さらに焼く温度を上げてレンガを作り。
そのレンガを使って窯を作ったら、古い窯は壊して、粘土に混ぜてしまいます。それを繰り返すことで、頑丈なレンガができるんですね。
ちなみに、泥でも作れますよ?
・〈第二章〉第八話より、投石器
カイト様が作ったのは、下着のゴム紐に蔦をくくりつけるだけの、簡単な投石器です。トランクスパンツではなく、ブリーフパンツでないとできないらしいです。
私の下着は葉っぱなので、できませんね……。
ちなみに射程距離は百歩(100m)くらいの距離まで届くそうです。カイト様の腕なら、五十歩以内なら百発百中です。
・〈第三章〉第三話より、キキーモラ
働き者で、手先が器用な妖精です。身長は大体、腰くらいでしょうか。
ゆで卵や果物が大好物ですが、非力。子供並みの戦力でしか期待できません。
カイト様曰く、三間半槍と火縄銃を持てば、子供も兵力らしいです。
ちなみに、カイト様の世界ではスラヴに伝わる、善良な妖精だとか。いろんな外見で伝わっているようですが、この世界では愛らしい小人さんですよ。
・〈第三章〉第四話より、ヘジォナウ流
カイト様の世界、地球上の国家、ブラジルに伝わる武術、カポエイラの流派です。足を主体にした蹴り技を中心としています。カイト様はチリで教わったそうですね。
なので、どちらかというとカイト様の体術は、柔術を交えた変則的な動きになっています。余談ですが、ブラジルでは柔術とカポエイラを交ざった武道もある、とカイト様は仰っていましたよ。
・〈第三章〉第九話より、泗川の戦い
カイト様の国の歴史に残る戦いの一つです。西暦1598年のことです。
曰く、国の統一を終えた覇者、豊臣秀吉は他国である朝鮮に出兵したときの戦いだとか。苦戦を強いられながら、一進一退を繰り返す戦場の中、朝鮮には明国の援軍が到着し、日本軍は大分不利になりました。
日本軍の居城、泗川倭城の守将、島津義弘は前線を守るために決戦を決断。泗川倭城を舞台にして、籠城戦を開始しました。
地雷、鉄砲、釘入りの大砲を使用し、出鼻をくじいた後に、敵軍の火薬庫を爆破。大軍故に、指揮官の足並みが乱れたのを見逃さず、徹底的な攻撃を加えることで、統制の取れない敵たちの浮足を立たせ、そこに追撃を容赦なく加えました。
準備を整え、有利な土壌で、奇襲を加え、連携して戦い、伝説的な勝利を収めたそうだとか――すごすぎて、実感がありませんよね……。
・〈第四章〉第六話より、騎士団の戦術
騎士団は隊長がC級賞金首、騎士たちはD級賞金首に定められています。
とはいえ、肩書から一括でそう判断されているだけで、実力はD~E級程度だと判断できます。ただ、連携したときの実力はとても厄介です。
数々のダンジョンが彼らに殲滅されたのは、百人規模における波状攻撃により、休む暇なく魔物たちを殲滅したがためのようです。
休む間もなく、攻撃されれば――さすがにドラゴンやヴァンパイアでも叶いませんからね……。
・〈第四章〉第七話より、七輪から発生させる毒ガス
言うまでもなく、一酸化炭素です。前まで私はそんな毒ガスを知りませんでしたが、カイト様曰く、七輪で炭を燃やすと空気が毒されるそうです。
(その症状を一酸化炭素中毒というらしいです。第四章の第二話で伏線があります)
大気中の酸素比率は21%――それが3%低下するだけで、気分が頭痛、吐き気がします。ちなみに人間の血中酸素濃度は16%。つまり、それ以下の酸素濃度になると、体内の酸素が逆に放出されてしまうのです。
また、一酸化炭素は血液の……へも、ぐろびん? でしたっけ。
それと結びつきやすく、一酸化炭素中毒になるそうです。カイト様って何でもご存じですよねぇ……。
・〈第四章〉第八話より、夷陵の戦い
これもカイト様の元の世界の戦いですね。西暦221年のことです。
義弟、関羽と張飛を討たれた怒りに燃えた劉備は大軍を以て、孫権を討つことを決めました。劉備軍は破竹の勢いで進撃し、巫城、秭帰と次々に前線を突破、夷陵と迫りました。そこを突破されれば、孫権の本拠地は目と鼻の先。
ですが、強行軍による兵站線は伸び切り、兵も消耗していました。
季節は夏。その酷暑から兵を休めようと、劉備は木陰で休息を取ることを指示します。ですが、これが愚策でありました。
孫権軍の指揮官、陸遜はそこに火をかけ、劉備軍を一網打尽にしたのです。
この作戦を、カイト様は真似にされたのですね。
・〈第四章〉第八話より、泥炭
泥炭は、沼などで植物の遺骸が十分分解されずに堆積して、濃縮されただけの状態で形成されたものを示します。石油のなり損ねで、石油より燃えにくいですが、一度火がつくと盛んに燃え盛るとか。
カイト様は最初のうちから、泥だらけの地盤を見越した上で、この策略を考えていたのですね。彼の世界の国、インドネシアではジャングルの地面に溝を作り、水を抜いて乾燥させ、泥炭を作る技術もあるそうです。
そうやって彼は地盤から水を抜き、代わりにタールや樹液を混ぜて泥よりもべたべたの土壌を作り出し、さらに黒色火薬の罠を仕掛けたわけですね。
・〈第四章〉第八話より、黒色火薬。
木炭、硫黄、硝石で、火薬を作ることができます。
では、硝石はどうやって作っていたかというと、洞窟の古土の他に、第一章から作っていた小用を足す、トイレで作っていたのです。
下草を積み重ねるところに、小用をする。そうして何か月もの長い時間が経った後に、土をかぶせて火を焚くと、そこに塩硝土ができるとか。
その土を水で攪拌し、抽出することで塩硝ができるそうです。
まさか、トイレがそんな意味を持っていたなんて、最初は想像しませんでした……。
・〈第四章〉第十一話より、日本の大使
『戦争中、ヨーロッパが逃げるときに、日本の大使がピザをくれたんだ』
カイト様が夢に見たとき、世話になった東南アジアの方々の台詞です。
彼が何者かというと、
戦時中、彼は避難民に心を痛め、彼らのためにペンが握れなくなるまで、許可証を発行し続け、一説によっては10000人以上の難民を救ったというそうです。
彼の英断は語り継がれ、今でも敬意を払われているのですね。彼のおかげで、カイト様は助かったといっても過言ではないのです。
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