第5話 ゲームで地道にレベルを上げても別にいいじゃないですか
先日、私は助けられた彼の告白を断り、逃げ出してしまった。
先日、僕は助けられた彼の告白に嘘がばれてしまうと思い逃げ出してしまった。
そして今日、私は彼にきちんと気持ちを伝えて、逃げ出したことを謝ろうと思う。
そして今日、僕は彼に本当の姿を伝えて、昨日のことを謝ろうと思う。
しかし、
「「どうやって謝ったらいいんだ!」」
私は宿のベッドに座り、起きてからずっと考えていた。
私なりに色んな案を感考えてみたが、コミニケーション力1なだけあって全然案が出ない。
とりあえず良い天気だったので、宿から出て散歩でもしようと思った。
私が宿の扉を閉めて、廊下を歩いていると、度々恥ずかしそうに歩く男性を見かけた。
こっそり下半身の方を覗くと一つだけ、真っ直ぐと飛び出ているものがあった。
私はどうしても気になったため、意を決して聞いてみることにした。
「あの、これってもしかして・・・」
私は飛び出ているものを指を指す。
すると男性はやや怒り気味で、
「朝はみんなあそこが勃つんだよ、何か文句あるか!?」
私は顔が赤くなった。
「す、すいませんでしたー」
とだけ謝り逃げ出した。
一方男性はこんなことを考えていた。
自然と君を見ているとムラムラするとか絶対言えねえ、何とか勃起は言い訳して大丈夫だったけど、次会ったらたまったもんじゃねえ。
男性は急いでトイレに入った。
うわー、私は何を聞いてしまったのだろう、あの人に申し訳ない。
てかそれよりもあの騎士よ、昨日のこと気にしてなかったら良いけど・・・。
私がホテルの出口を開けると目の前にはあの騎士がいた。
私は口を開けたまま、ただ呆然と彼を見ていた。
彼も私が出てきたことをビックリしていた。
「君って、もしかして昨日の・・・」
私は頷いた。
すると彼は安心したように息を吐いた。
「その、昨日はごめん。付き合ってとは言わないから、せめて友達になるだけでも・・・、だめかな?」
彼が昨日のことについて謝る。
どうやら彼も昨日のことを気にしていたようだ。
私は今日ずっと彼のことを考えていたのが馬鹿らしくなってきた。
そうだよな、ごめんと謝る。それでもうこのことは解決だ。
長文の文章を書いていた自分が恥ずかしい。
でも、今はそんなの関係ない。
彼は私と友達になりたいと言ってきている。
なら答えは一つじゃないか。
「いいよ、友達になりましょう。これからは、私のことをかな、と呼んでくださいね」
私は笑顔でそう言って、手を差し伸べた。
「ああ、こちらこそ。僕のことはカナリアと呼んでください」
彼も彼女に手を差し伸べる。
そして、かなとカナリアは握手した。
こうして、かなの一人目の友達が出来たのだ。
「ところでカナリア、何でこんなところにいたの?、別に私を待っていたんじゃないんでしょ」
「いや、それは、その~」
うわー、昨日町の人にかなのことを聞き込み操作して、ここの宿に泊まっていると分かって、ずっと出口で待ってたなんて絶対言えねえ。
「?」
かなは首を傾げる。
「いやー、たまたま通りかかるとかな独特のオーラを感じたから、昨日のことを謝ろうと思って出口で待っていたんだ」
「そうなんだ。て、オーラてあれでしょう?私のフェロモンでしょう?私のフェロモンそんなに感じる?」
「感じるもなにも半径一キロメートルの人たちは普通に感じるよ。ああ、この宿に泊まっていた男の人たちは夜もムラムラして眠れなかったんだろうな」
カナリアがその男たちに対して悲しんだ。
「とにかくフェロモンの話はおいといて、早速狩りにいきましょう」
「いいけど、前みたいなレベルの差があるモンスターと戦うクエストは受けない方がいいよ」
ちなみに前戦ったツンデレックスはレベル30くらい(私はレベル1)で、全然攻撃をしないため(男性の場合)経験値稼ぎとして名を知らせていた。
その経験値稼ぎを倒せないとなると、もう・・・。
弱小スライム討伐
「これくらいしかありませんよね」
「まあ、そうだね」
カナリアが苦笑いしながら答える。
弱小スライム討伐
スライムを何匹か討伐してほしい。
ついでにドラゴンも討伐してくれたら幸いだ。
「ドラゴンというのは、そのまんまの意味で捉えて大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だ。まかせとけ、こう見えて僕は結構強いんだ。ドラゴンくらい一人で余裕さ」
確かに、武器や防具も明らかに強そうなものだし、彼から放たれるオーラはフェロモンとかではなく、強者のオーラだ。
「そうと決まればこのクエストを受けにいきますか」
「そうだな」
私達はクエスト受付さん(クエスト受付さんが休みのため今回はギルド受付さん)にクエスト承認を貰い、スライムとドラゴンが生息するシッチの森まで来たのだった。
「ファイアー!」
すると、杖から炎が放たれ、それがスライムに直撃した。
そして、スライムは倒れた。
倒れた後は水となり、土に吸い込まれ消えていった。
私はこんな風に次々とスライムを倒していった。
「ファイアー!」
スライムに直撃。
そして、スライムは倒れた。
「ふー、これでようやく10匹か、これくらい倒せばもう充分だな」
ところで、カナリアは?
森の奥で竜の叫び声が聞こえたので、急いで行ってみる。
そして、私が来たときはもうドラゴンはいなくなっていた。
どうやらドラゴンも倒されたら水になるらしい。
「お疲れ。カナリア」
「お疲れ、かな。どうだった始めての狩りは」
「楽勝でした」
「僕の方もこのように無傷で楽勝だったよ」
カナリアが手を広げて無傷を証明した。
「あ、それと今日は初狩りの記念にプレゼントがあるんだ」
「プレゼント?」
「はい、これ。お守りだよ」
そう言って、竜の顔の形をしたお守りをくれた。
「これって・・・」
「大丈夫、大丈夫。全然気にしなくていいから、一回つけてみて?」
つけてと言われたので、私は竜のお守りを付けた。
お守りはミサンガみたいな感じで手にはめるやつだ。
「どう?」
私は顔を赤くしながらカナリアに聞く。
「うん、全然ムラムラしない」
「え!」
「このお守りはかなの異常なフェロモンを制御するためのお守りなんだ」
「そうなんだ。ありがとう、カナリア」
彼女は笑顔でお礼を言った。
やはり僕は彼女のことが好きになってしまったようだ。
初めて会ったときから彼女に惚れていた。
彼女がツンデレックスに襲われそうなのを見て、僕は彼女を守らずにはいられなくなった。
彼女はフェロモンじゃなく、一人の女の子として僕は好きなんだ。
そう気づいたのだ、今このとき。
僕は顔を赤くしながら言った。
「どういたしまして」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます