第4話 敵に好かれたって別にいいじゃないですか
騎士さまのおかげで、私は無事に町へついたのだった。
そこで、さっそくクエスト達成の報告をしてきたのだが、
「あれれ~?かなさん、もしかしてあのくそ雑魚少女どもに嫉妬されて、死にそうになったのですかー、うけるんですけど」
クエスト受付が大笑いしながら言った。
その笑いは響き、ほかのみんなの視線は私の方に向いていた。
正直めっちゃ恥ずい。
「あの雑魚ども相手に死にそうになったって、どんな気持ちですかー?、ねえ、今どんな気持ち?」
くそー、あいつ今すぐにでも殴りたい。
ギルドの音楽も完全たる煽りの曲にしか思えないほどクエスト受付の言葉と合っている。
お前らどっかで仕組んでんだろ。
「まあ受付さん、煽るのはそこまでに・・・」
騎士が間に入って気まずそうに注意をする。
「お前は黙ってろ!」
「騎士さまは黙って下さい!」
私とクエスト受付が揃って反抗する。
まあ、こいつとはこれでけりをつけたいからな。
「えっ?あ、ごめんなさーい」
すぐに騎士さまは立ち去った。
そして、端っこで一人体育座りで反省していた。
「俺、何が悪かったのかな?」
そして、私とクエスト受付の戦いはまだ終わっていなかった。
「ねえ、もう一回聞くけど今どんな気持ち?」
クエスト受付が物凄くむかつく顔でこちらに近づいてくる。
私はただ殴りたかった、ただ単に殴りたかった。
そして、私が殴ろうと思うと、間からギルド受付の人が入ってきた。
バン!
ギルド受付の人が渾身のチョップをクエスト受付に決める
「痛ってー」
クエスト受付が涙目で言う。
「シギ、煽りはほどほどにしろ、みんな見てるだろう」
ギルド受付が呆れた顔で言う。
「は!」
クエスト受付が顔を赤らめる。
そして、みんなはこう思っていた。
「あの子可愛い」
「あの魔法使い天使かよ」
「フェロモン、ハンパないっす」
そして、それに気づいてない、かなは平然としていた。
そして、みんなの視線を感じたクエスト受付は、
「キャー、もう死にたーい」
と言い、スタッフルームに逃げ込んだ。
「まあ勝った、てことよね」
それでもかなは平然としていた。
かながギルドを出ると、目の前には先ほどの騎士がいた。
騎士は何か覚悟を決めた顔をしていた。
「あのー、私に何か用?」
すると、彼は私の手をつかみ
「付き合って下さい!」
と告白してきた。
「はい?」
そのいきなりの告白に、私の脳は処理が追いついてなかった。
付き合う?え?まじで何を言ってるのこの人、もしかして、女として、じゃないよね?
「何故だか君をみていると、ムラムラするんだ」
それを平然と言う彼に対して私は寒気がした。
「ごっごめんなさ~い!」
そう言ってその場を立ち去った。
「はぁ、はぁ、フェロモンの力って怖ー」
フェロモンという力は単に男を呼び集めるだけでなく、赤ちゃんを作りたいとまでいくということが分かった。
「もしかしたら私サキュバス向いてるかも」
そう思った。しかし私的にはサキュバスなんてまっぴらごめんだからやらないんだけどさ。
集いの場に来た私は、真ん中にある噴水へと座って空を見上げた。
「もう、夕方かー」
まあとりあえず宿へ泊まることにした。
辻本かなさんがログアウトしました。
「あー、意外と楽しかったな」
今日は色んなことがあった。
ゲーマスが変態だったり、キャラのフェロモンが異常だったり、エネミーには襲われるし散々だった。
でも、こういうのも悪くないな。
僕はそっとパソコンを閉じてあくびをした。
「あいつ、落ち込んでないかな」
それは、ギルドを出たとき、
「やあ」
「よう、騎士何か用か」
騎士は何か覚悟を決めた感じがした。
「君って女の子?喋り方的に男の子だとおもうのだけど・・・さっきの言葉も女の子ぽくないというか」
え?まじでなに言ってんのこの人、もしかして、僕の正体を見抜いたのか?
いや、それはないか。
でもそう簡単には教えられないんだな。
僕はこのフェロモンを使ってお前らと仲間になるからな。
今男の子だとバレたら全てが台無しになる。
だから、
「ちっ違うよバカーーー!」
そう言って僕は集いの場へ逃げた。
そして、ログアウトした。
まあツンデレの女の子ぽく言っとけばもう男の子とは思われないだろう。
この勝負、勝った。
でもこれでもし、僕から離れたらと思うと少し悲しいな。
初めて知り合った人なのに。
僕は明日、その人に謝ろうと決めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます