9 「意義あり」
コッコッと足音を響かせる。彼女は席に着くと、今日も第一声を放った。
「大帝国鉄学議会を開始します。皆様ご着席をお願い致します。本日の議会は財政悪化のため、財政緩和政策について話し合いたいと思います。意見がある方は挙手の上、お願い致します」
縦ロールでゴスロリの少女が挙手をする。
「はい」
アニメ声の可愛らしくて幼い声が響く。しかし、彼女の性格は可愛くない。
「
煌羅に答弁の許可を得た葵は、立ち上がり弁舌を始める。
「男性が生きていられるのは、私達のおかげですので、男生税とかはいかがですか?収入に合わせて一パーセントを税金として納税させては?」
宮野日向は今日も通常運転である。葵の意見に食い付き、同意の言葉を述べる。
「賛成ー。賛成ー」
しかし、その意見を是としない女性が立ち上がる。
「その意見には反対です」
煌羅は立ち上がった彼女の意見を促す。
「未来防衛大臣」
怒りを露にしながらも冷静に反論をする。
「そんなのは不平等です。男性と女性は仲良く出来る。そうは思いませんか?」
議会の雰囲気が重くなった。
「思わない、全くそうは思わないけどーっ」
しかし、漫画ティーシャツのボサボサ髪の少女の一言が、議会を切り裂く。
「意義あり」
アウェーの中で彼女は異を唱えた。
「
伊達眼鏡をクイッとする。千佳は伊達眼鏡を外すと、地面に叩きつけて踏み砕いた。唖然とする中、どうやらスイッチが入ったようだ。髪を整え、美しく磨かれた刀剣のような鋭さのある雰囲気に変わる。彼女曰く、眼鏡が嫌いで、徹底的に眼鏡を壊すことで、気分がスッキリして頭が回るようになるとのこと。
「貴女方は馬鹿デスカァー?ただでさえ男のデモが多いのに、そんなことをしたら暴動が起きますよ。それよりも現状を改善できる案が御座います」
「馬鹿、本気で言われてますか?それは私達に対する侮辱です。撤回してください」
千佳は涼しい顔で微笑する。
「海老名千佳情報通信技術(IT)政策担当、続けてください」
煌羅はヤジを静止させて、千佳の意見に耳を傾けさせる。
「では、私の案を話させていただきます。現在の税金の使い方ですが、かなり無駄があると感じています。そこで、税金の支出を調べたところ。多額の税金が私的利用に使用されていることが発覚しました」
議会内はざわつき、誰がそんなことを?っと結論を求める。
「梶霧葵国土交通大臣、貴女達ですよ。ですが、現在の法律では貴女達を裁くことが出来ません。ですので、私的利用分の梶霧葵国土交通大臣の給料カットをすることを進言致します」
葵の顔は青ざめた。そして、煌羅は結論を出した。
「梶霧葵国土交通大臣一派の給料カット及び賞与二十パーセントカットを命じます」
煌羅は葵の有能さは知っている。しかし、苦手なタイプだ。裁決を受けた葵は項垂れた。
「そんな…」
葵はキッと千佳を睨み付け、議会が閉幕するまで無言であった。
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