7 鏡
「先ずはどの議題から話す?」
「あー、そうだな。今は男側のデモ隊を抑えることと、デモ隊のリーダーである
「デモ隊より、ワシは女側に雇われた殺し屋が気になるが」
「殺し屋の方だけど、表面上はボディーガードとして雇われている。つまり、女側に近付かなければ今のところは問題ない。それに女側の殺傷能力のある武器の方も上に同じ」
「ふむ、そうか。それもそうやな。 なら、手陽とか言う奴はどうやって仲間にするつもりだ?」
「それは粗野老、お前に任せる。次の作戦会議の時に連れて来てくれ」
「ワシか?ワシは交渉向きの人間じゃないぞ?」
「構わないよ、自由にすると良い。きっと上手くいくから」
「それでええんやな?好き勝手にやるぞ」
「それが最善だ」
「そうか、わかった」
粗野老は疑問を感じていたハズが、一瞬で納得した顔になった。針はそれが不思議でならなかった。
「次に女側の優しくて美人なお姉さん甘やかし大作戦についてだが、安原勝治なら問題ないだろう」
「それはそうかもしれないが、酷いネーミングセンスだな」
「ふざけたネーミングはどうでもよか、ホンマに問題はないのか?ワシが調べたところ十三歳らしいな。神童と呼ばれとるが、まだ乳臭い
「うー、大丈夫だよ。彼を信じて、彼はとても賢い。それにとても彼は行動力がある」
「おい、針。こいつ大丈夫か?喋り方が突然変わったぞ」
「ああ、言ってなかったな。迅は多重人格なんだ」
「そうか…ハァー!?そんな奴に戦略を任せて良いのか?」
「大丈夫、コイツらは天才だから。そこは問題なし」
「コイツら?そこはかとなく不安なんだが…」
「心配するな、なんとかなる」
「…今はそれで納得しといてやる。だが、失敗したら俺はこの組織を抜ける」
「うん、信じてくれてありがとう。失敗はしないよ」
「ハァー、何か毒気が抜けたわ」
「そう?まあ、それよりも針君。むぎゅーってしていい?」
「駄目だ、作戦会議中だぞ」
「むー、ケチ」
「おい、ワシを置いてけぼりにして、イチャイチャするな」
「あー、悪い。会議はこれで終わりにしよう。俺はコイツを家まで送っていくよ」
「えー!もう終わるの?物足りない」
迅は頬を膨らませ、ブスッとした。普通の男性から見ればキュンとくる仕草だ。
「そういうわけだから、またな」
「おう、わかった。ワシはもう少し酒を飲んでから帰る」
ワガママなお姫様のような態度の迅の手を握ると、迅は大人しく針に手を引かれ店を出た。
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