第6話 積荷『U235』/遣日潜水艦作戦

1945年3月某日 Uボート、艦名不明 遣日潜水艦作戦。

インド洋、深度200m。


林檎にかじりつきながら副長は艦長室へ向かう。通常ならノックをするが、既にドアはあいている。

「艦長、潜音響兵器積んだ駆逐艦はどうやら巻いた様です」林檎を差し出す。

艦長はベッドに横になっていたが体を起こし腰かけ、白いカバーの付いた帽子をかぶり呟く。

「やれやれ、やっとゆっくり眠れそうだ」差し出された林檎を受け取った。

林檎をかじる艦長を見て「ところでU234に乗っていたトモナガ中佐から受け取った『U235』って書いてあるコンテナ、中身は何です?」と副長。

「さあな、最終兵器だとか財宝だとか...実は総統の子供の頃の成績表か、はたまたユダヤ人の血を引く証拠文書だったりしてな」

「U234にはロケット兵器が乗ってたんでしょう?あの積載量じゃ、浮上できなくなりますよ」

「だから俺たちにお裾分けしたんだろう」林檎を副長に返した。





5月某日 U234 遣日潜水艦作戦。

大西洋上。

フェラー艦長は同乗している日本海軍の友永と庄司の部屋へ行く。

部屋の前には見張りがついている。

見張りはドアを開け、中にいる友永と庄司は立ち上がり敬礼をした。

フェラー艦長も敬礼を返し、「トモナガ...どうするかね」

「これまでお世話になったU234ですし、破壊はもう望みません。ですが、連合国への投降はお断りいたします」

「そうか...」フェラーは涙を溜めていた。

「艦長、これまで大変お世話になりました、そして最後に一つお願いをさせて下さい、二人になる時間をください」

フェラーは彼らに黙って軍帽を渡す。


ドアが閉まり、友永は庄司に

「庄司すまん、『U235』の秘密を今連合国に渡す訳にはいかんのだ。今知られたら日本が負ける!」

友永は軍帽からはルガーP08を取り出した。

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