第5話 泰介、春香を家に招く 2/2-b宮内博樹

「どこ?」

泰介から離れた春香の右手にサーベルが現れた。

「おい、嘘だろ」目で見た光景が信じられない泰介。

「先生、あれは何処?」

春香は右足を引いた。


やられる!

泰介は床を這いずり逃げる。

外の階段を走って登る音を、そして泰介の部屋のドアを開ける音を聞いた、中も外も忙しい。


ドアを開ける音?誰かが来たのか、と泰介は思った。振り向いてドアの方を見るとそこにいたのは2-b宮内博樹だった。

「先生、逃げ方カッコ悪いよ」

「死ぬより何倍もマシだ」

「お前…何しに来た」と春香。

「先生を助けに来た」と博樹。

「嘘をつくな!」と切りかかる春香を盾で防ぐ博樹。


何かがひっかかる。

泰介はここにいる春香と博樹を見て何か意味を感じた。


一太刀を躱され、剣を戻し、スキを探る春香。

次に振り下ろされた剣を、博樹は今度は避けた。

剣は泰介の台所を破壊した。


「うおおおおっ」

三度目の剣を振り下ろす時、普段の春香からは想像つかない野太い声を出した。別人だ。

博樹は泰介を守る為、再び盾で防ぐ。


パトカーの音が近づく。

「呼んどいたよ、篠崎ちゃん」挑発する博樹。

ギリッと音がしそうな顔をした春香。ふと我に返り、左右見回し、見つけた何かに数歩歩いて剣を突き刺した。

「うわー15万もした俺のiPhone!」叫ぶ泰介。スマホが半分に縦に割れていた。


剣を消し、漂う殺気も消した春香は平然と博樹とその後ろにいる泰介に近づく。

好戦的な博樹に全く構わず、

「証拠消えちゃったね」

とだけ言い泰介の後ろのドアから出た。


階段を降り、道路をゆっくりと歩き去る時春香は言った。

「先生、またステンドグラスでお会いしましょ」

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