第2話 2-E篠崎春香/ステンドグラス

勝山泰介は教室を出て、職員室に続く階段に向かって歩いていた。

階段のあるブロックは大聖堂を思わせる。

吹き抜けの天井、ステンドグラスの様な高い窓。

大きな空洞が足音が反響させる。


窓の前を通り過ぎ、階段を数段降りたところで呼び止められた。

教室を出てからずっと追って来たらしい。

生徒は窓の前に立ち、逆光でよく見えない。


「ここって、ステンドグラスみたいだよね?本当にステンドグラスにしちゃえばいいのにな」

偶然か、普段泰介が思ってる事を言われたので驚いた。

「ああ、今お前が天使に見えたしな」

クスクスと笑う春香。


「さっき言ってたやつ、先生の家にあるの?」

「ああファミコンか、あるよ」

「見てみたいな…先生のおうちで」


狭いアパートの中、制服の少女とキスをしようとする泰介。窓から射し込む夕陽が眩しい。

妄想を止め、

「馬鹿…ダメに決まってんだろ、俺を懲戒免職にする気か」


今授業していた2-Eの篠崎春香。

クラスではどちらかというと地味なグループの中に属する。文化部に入りそうなのに何故かバレー部にも属してる。

最近、話す様になって来た。1月位からだったか。


「えー、いいじゃんー」

「ダメ、学校に持って来てやるから」

「それだって校則違反だよー」

「そっちの方が何倍もマシだ」

捨て台詞を三つ程言い放って去って行く春香。



でも二週間後、泰介は春香を家に招いた。

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