月暦10 作戦は念入りに

「つっきー


…疲れちゃったにゃん///」


「待って、ヤバい…死んだ。」



上目遣いの松風が顔を真っ赤にして、照れながら月影に抱きつき一言、そう言い放った。


月影、爆死。



「学校でそういうのはよくないなぁ…

松風、俺の前でしかやらないでね。」


「無理だよ、つっきー

これは罰ゲームだもんにゃん!」


「だもんにゃん…(笑)

…ちょっと、トイレ行ってくる。」



月影はトイレに行くフリをしつつ、物陰に隠れている方々のもとへ。



「月影、トイレはここじゃないぞ?」



山岸の一言。



「松風の破壊力は万物を殺す。」



星合の一言。



「月影が照れてんの初めて見たわ。」



若倉の一言。



「なんでお前なんだ…松風に言われたい。」



大后の嘆き。



「…松風、松風うるせぇな。

お前ら今日一日、(俺の)松風としゃべんな。」



鬼の形相をした月影に、これは本当に怒っているなと察する四名。

ちなみにこれを仕組んだのは世凪と宮浜だ。

世凪と宮浜は二人の時間を邪魔しちゃ悪いと敢えてこなかった。



「「「「すいませんでした…」」」」



みんな、心はひとつなんだ。


"松風がかわいい"



* * *



星合が教壇の上に立ち話始める。

松風は黒板にプリントを参照しながら能力祭関連の話を書いていく。



「ほかの競技のメンバー決めを行います。

特殊競技は5つ。


物体破壊 5人

意識操作 3人

身体操作 3人

空想創造 5人

能力交戦 5人


通常競技は演舞を含めて6つ。


騎馬戦   男子全員

演舞    女子全員

障害物競走 5人

借り物競走 4人

くす玉割り 4人

大玉運び  4人


です。

この間決めた、能力使用禁止の三競技で出場する生徒でも特殊競技、通常競技の参加は可能です。

競技のルールに関してですが、3年目なので言わなくてもわかると思いますがこれだけは守ってください。


攻撃能力は人に向けて発動しないこと。


では、自分がやりたい競技に挙手をお願いします。そのあと放課後に戦力や、能力が偏っていないか能力祭クラス幹部のほうで調整します。なのでクラス幹部は残ってください。」



* * *



〜放課後〜

幹部メンバーの星合、松風、若倉、世凪、門海、黒園、本橋、月影の8人が教室に残って会議を始めた。



「まず意識と身体から。これは使える能力が決まってるし、確定でいいと思うんだけど。」



意識操作、身体操作は自然能力群や飛行能力群なんかの能力者は必要とされない競技であるため、絞ることができる。

星合の考えに幹部のメンバーがうなずく。



「問題は一番得点の高い交戦だよ。まず月影、黒園、星合は分かるけど、私は要らないと思う。予知できたところでって思うよ。それに3年は山中が試合地でしょ。私体力ないよ。」


「いいや、攻撃2人に守備1人、それと先手が読める人間1人っていいバランスだと思うけどな。ただ、あと1人必要なんだよな。攻撃と守備、予知…」


「宮浜じゃね。」



若倉の閃きに黒園が激しく同意した。



「回復もバリアも優れてるし、良いんじゃないか?」


「わたし的には山岸くんの魔眼を使った方がいいと思うけど。彼、オールマイティだし。それに、交戦となると毎年騒がれてるあの3人が今年はAクラスに固まってるし。」



門海の意見は適切だった。"あの3人"


物体だけでなく、動植物も透過できる能力を持つ志間夕錬しまゆうれん


過去、現在、未来のすべての時間操作能力を得意とする神海詩花こうみしか


複数の人間を操作する人体操作能力を得意とする猩々暦しょうじょうれき


の3人だ。



「暦ほんと、かっこいい…私の超タイプのステータス!!」



この通り、門海は猩々を気に入っている。

猩々はなにを言われても笑顔でスルーだが。



「正直、志間、神海に関しては山岸を使ったほうがいいだろう。でも、問題は猩々だ。あいつの人体操作は結界で防げるのか…?宮浜の結界術って、自分は守れないんだろ??」



本橋のその考えにもメンバーはうなずく。

本橋久太、生まれつき色黒で黒髪の少年。根っからのお人好しで、頭の回転も早く、文才だ。運動神経がいいというよりは、行動が早いため足が速い。そのため男子リレーのメンバーだ。



「でも、俺がいるからなあ。俺は全部関係ないけどね。」


「確かに。あっちは月影が来ることが分かっているはずだよな。間接的な攻撃を仕掛けるんじゃないか?」


「そっか。山中での試合となると、上空が一番開けている。飛行能力が有利なんだ!」


「おい、若倉。松風が意図して喋ったのか

わからないけど、反応しなくていいから。」


「だって、飛行能力が有利と有理って(笑)」


「えっ、くだらなっ。」



門海の毒舌。かなり攻撃力高いんです。



「じゃあ、飛行能力とあとは、森林?

植物使いとか、岩石操作?」


「意外と利用できそうなものがあるんだな。」


「門海の物体魂入は??」



再び若倉の閃き。門海の能力、物体魂入は物体に魂を宿らせ、物体を生かすというものだ。



「私はいいと思うけど、Cクラスには精霊使いがいるし、DとEには聖獣を召喚できる人らがいる。Fクラスなんか植物変形家の田城がいんのよ?あんなのが出てきたら物体魂入は無理。私物を持参しないといけなくなる。」


「そうか…難しいな…」


「あ、これはどう??」



世凪の提案は全会一致で採用された。



「じゃあ、提案者の世凪が代表で。」


「ほかのメンバーが良ければ代表でも良いですけど。」




頷かれてしまったので、世凪は渋々代表に。


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