第2話
その雑誌を開いたのは偶然だった。
人生は時折、思いもよらない、神様のいたずらのような出来事が起こる。
たまたま仕事帰りに立ち寄った本屋で、いつもは通り過ぎるガイドブックのコーナーに何故か足が向いた。
今思うと、私はあの時、現実から逃げ出したかったのかもしれない。
平置きの雑誌を何気なく見ていると、カレー特集をしているものがあり、久しぶりに本格的なカレーが食べたいなと思ったので手に取った。
そしてたまたま開いたページ、そこに掲載されていた1店舗のオーナーの写真に目が吸い寄せられた。
すぐにはわからなかった。
けれど、何か心に引っ掛かるものがあり、紹介記事を読んでいると、私の知る少し珍しい苗字が書いてあり、雑誌の写真と、記憶の中の人が重なった。
「先輩だ…。」
思わず小さく声に出していた。
恥ずかしくなり、慌てて周囲を見回したが、幸い誰もいない。
もう一度、記事と写真を確認する。
突然の出来事と、過去の記憶が目の前に同時に存在することに、鼓動は高鳴り、目眩を覚えた。
間違いない。
この写真の男性は、私の初恋の人…
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