第8話 トモダチ

その後も仕事を探しながら、パソコンのブラインドタッチのゲームをしながら彼の帰りを待つ日々が続いた。

相変わらず体調も良くなく引きこもるような生活になっていった。

そんな時、美容の専門学校の友達から連絡がはいる。



『みんなで集まろ!』


専門を卒業した後それぞれの職種についたが、今でも定期的に集まっている。


久々に胸が踊った。

『いくいく!』


みんなの都合も合い集まる事になった。


彼にもそれを伝えると意外にもあっさりと「いってきなよ!」と答えた。







そしてみんなで集まる日になり、久々の化粧をし髪を整えた。

洋服を選ぶ。早く会いたいなっと胸が踊った。

そして、集合場所へ向かう。




「お待たせ〜!」

久々のみんなの顔に笑顔が溢れた。

みんなでテーブルに座り、お酒を飲む。

楽しくてお酒が進む。

お酒が入り始めると、みんなの話題は恋愛の話になっていった。

今日のメンバーは、既婚者の麻美、彼氏持ちの菜々、独身の亜子、私の4人だった。


それぞれ環境が違うし、考え方も違うのであーでもない、こーでもないと話のが楽しかった。


そして、

「さわはどうなの?」と私の話になった。

ドキッとはしたがあまり暗い話もしなくなかったので、とりあえず彼氏が出来た事と束縛がきつい事を軽く話した。


「えーラブラブなんだねー!」とA美

「ラブラブとは違うよーな気もするけど、、、彼氏久々だからねー。」とはぐらかす

その様子を見ていた亜子が、

「その内監禁されんじゃない?」と笑いながら言った。


…ドクン…

心臓が音を立てた気がした。


笑いながら

「かなぁ…」と言った。


「あんた男運ないし、無駄に母性強いからへんなの寄ってくるんだよ。気をつけなよ。

その人がどうかは解んないけど、寂しいからって誰かと居るんじゃなくてしっかり見極めなよ。」

とビールをグッと煽りながら亜子が言った。


「そう!そう!さわもそうだよね!私も前の彼がさー束縛ひどくて浮気されてさー…」と菜々の話になって行った。


胸のささくれに触れた気がした。

チクンチクン…胸に鈍い痛みが走ったような気がしていた。


何時間か飲みあかし、お開きになった。

「またねー!」

みんなバラバラの方向に歩いていく。



みんなの背中を見送る。

しばらくその場で立ち止まる。



プルプル…

携帯が鳴った


彼だった。




私の足は彼の部屋に向かって歩き出していた。


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