第6話 使い捨て

その日から私は体調を崩してしまった。

頭が痛く、目眩がして起き上がれなかった。


…体が重い…


仕事を一週間休んでしまった。

休みが続けば続くほど行けなくなってしまった。


店長に電話をする。

「長期休み貰ってしまいすみません。まだ体調が戻らずしばらくお休み頂きたいのですが、、、。」

店長は少し押し黙っていた。

「いつ出てこれるかはわからないんだよね?

もしそうならこちらとしては、、、」

気まずそうに押し黙る。

「解りました。ご迷惑おかけして申し訳ありません。」

そのお店は個人店でスタッフの人数も少ない。

1人居なくなるとその分のしわ寄せが他のスタッフにのしかかってしまう。

いつ出てくるかわからないスタッフを待つより新しいスタッフを入れた方がいいと判断したのだろう。


「ごめんね。今スタッフ少なくてドタバタしてて。

お給料は振り込むから、私物は送るね。」


「ありがとうございます。」


電話を切る。

ズキズキ…

頭痛がひどくなってきた。

ベッドに横になる。

目の前にモヤがかかる。そのモヤはどんどん濃くなっていき私を包み出す。


ズキズキ…

頭痛が酷くなる。

目を閉じた。





…ガチャ…


ドアを開ける音がする。


「体調どう?大丈夫?」

彼が声をかける。

「少し寝たから大丈夫、、、。」


「何か食べれる?今作るから待ってて。」

彼はそう言って台所に向かっていく。


数分すると暖かいお粥を持ってベッド脇に座る。

「たてる?」

手を添え座らせお粥を口に運んでくれる。


「ありがとう。」

お粥を少し食べ、横になる。


「ほらね。やっぱり言った通りだったでしょ?体壊すって。だから言ってたんだよ。」

食器を片しながら彼が話出す。


「うん。」

またモヤがかかってくる。


「店長には電話したの?」


「電話した。」

今日電話した内容を伝えた。



すると、私の横に腰掛け

「そっかぁ。やっぱりね。さわは職場には変えのきく人だったってことだよね。使い捨てだね。

こんなに頑張ってたのに、ひどい対応だよね。

引き止めてくれたっていいのにね。

辛かったよね?頑張ってたのに。頑張り損だよね。

そんな職場なら辞めて良かったよ。

いいタイミングだったんだよ。」と肩を撫でながら話す。


「そうだったのかもね。」

本当にそうだったのかもしれない…

そう思いはじめていた。


「明日良さそうな仕事探してくるよ!」

彼が言う。


「うん、、、。」

もう考えることがめんどうだった。

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