第2話 部屋の鍵
その後、朝から寝るまでメールのやりとりが始まった。
おはようから始まり、今お昼休み、今一服中、今から帰るといった具合に自分の行動の報告が多かった。
会う前の10倍はメールの量が増えたし、相手の返信速度も早まったように思う。
私自身も他に気になる異性は居なかったし、まめに
連絡をしてくれる事は嫌ではなかった。
久々に一日中誰かとやりとりをする感覚が楽しかった。
その後も何度か仕事終わりに飲みに行った。
飲んでいる時は仕事のグチや、学生の時の話、地元の話、歳も同じなので共通の話題も多く楽しかった。
そして何回かの食事の後に、自宅に遊びに来ないかと誘われた。お酒が入っていた事もあり流れで行く事にした。
そこは小綺麗なマンションの1階で少し広めの1LDKだった。
「女の子が来るのはじめてなんだよね!」
と言われ中に入った。
確かに少し乱雑に服がちらかっていたり男の子の部屋といった感じだった。
またそこでコンビニで買ったつまみを食べながらお酒を飲んだ。前の店でだいぶ飲んでいた事もあり酔い潰れて寝てしまった。
…頭が痛い……
次の日朝起きると見慣れないカーテンと煙草の吸殻の臭いで目が覚めた。
頭がズキズキする、、、
気持ちが悪い。
キッチンに目をやると彼が立っていた。
「おはよう。」
と声をかけながら、
「生姜スープ、二日酔いにいいよ。」
と言ってマグカップに入ったスープをテーブルにおく。
「ありがとう。」
重い体を引きずりながらイスに座る。
スープをすする。
お酒で気持ちが悪い胃にもすっとスープが入って行った。
……おいしい………
すると彼がスエットのポケットから何かを取り出した。
「あとこれ、、、」
家の鍵だった。
「あったほうが便利でしょ?はい。」と私の手のひらに握らせた。
最初面食らったが、言葉が上手いタイプではない彼だからこれか付き合ってと言う事なのだと理解し、鍵を受け取り
「よろしくお願いします。」
と返事をした。
これが悪夢のはじまりだったなんて思いもしなかったんだ………
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます