バインミーが食べたい

 とある昼下がり、出先にて、突如湧き起こったバインミーが食べたい欲。

 今日は野菜たっぷりごはんを食べようと息まいていたのですが、どうしたものか、この心変わり。


 香菜たっぷりの生春巻、きしめん風の米粉ヌードルのフォー、レモングラスの香りが食欲をそそる鶏の炊き込みご飯、そして、ベトナムのストリートフードと言えばのバインミー。


 どよんとした空模様、湿気が肌に訴えかけます。

 気候は食欲に直結してます。

 食べたさを満たさないと動けないなと観念して、以前訪れたことのあるベトナム料理のお店を検索。


 ……無い……


 ここは移りゆく街。

 無いとわかると、食べたさが募ります。

 では、どうしましょうか。

 そもそも、ベトナム料理レストランでは、バインミーはメニューになかった記憶が。


 軽く焼いた小ぶりのフランスパンに切れ目を入れて、レバーペーストを塗って、ハムミート、甘酢漬けのダイコンとニンジンをぎゅっと詰めて、香菜をふわっとはさんで、シーズニングソースやニョクマムをふりかけて、ささっと出来上がり。

 手早く作って手渡してもらう、コロニアルファストフード。

 コロニアルとは植民地のこと。

 その土地の住人からすれば、うれしくない表現。

 ただ、土地のものと外からのものが融合して、独特の文化が生まれ、それが定着し享受されているものもあると知ると、全否定されていないのかもしれないと感じます。

 ベトナムはかつてフランスの植民地でした。

 その時代が無ければ、バインミーは生まれなかったことでしょう。


 外で食べるのはあきらめて、家で作ることに。

 具材をサンドするパンには、フィセルがよいのだけれど、無かったのでドゥミパリジャンで作ることに。


 できました。

 いただきますの前に、撮影です。

 バインミーに合う器、あったかな。

 青花染付のお皿が目に留まりました。

 ベトナムの北部は中国に接しているので、文化の伝播がありました。

 焼き物もその一つです。

 ベトナム料理の本では、フランス語の新聞で包んでいるのが目につきます。

 紙で包むというのは、気軽なストリートフードのイメージそのもの。


 ひとしきりシャッターをきってから、いただきます。

 ひと口食べて、フィリングを確認。

 あ、忘れてた。

 酢漬けをはさむのを忘れてました。

 ダイコンとニンジンを細切りにして、甘酢で漬け込みなます風にしたものです。

 これをはさむと、よりサラダ感が増して美味なのです。 

 作ってあったのに忘れるとは。

 湿気当たりかもしれません。

 

 雷鳴。

 駆け足の雨音。

 立ちのぼる湿気。


 今年は、スコール風な雨が頻繁に降ります。

 だからなのか、蒸し暑い国の料理が食べたくなったのかもしれません。




 では、皆さま、今日はこの辺で。






 

 

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