荒魂-005 小は大も兼ねる
【概要】
荒魂-005は、紐状のものへ自然法則外の渦を生む微弱な現象です。人の観測を避ける傾向にあり、発生したとしても物質が不可解な運動をした後のように見受けられ、現状、八握星を通してのみ発生中と未知のエネルギーを視認できます。八握星を搭載した当会監視カメラが機材の電源コードを絡ませた対象を映したことで偶然発見され、当初は、人が不可解に感じる紐状の物の絡まりを生む程度で日常的に遭遇しながら怪異との区別がつかない程度との推測から和魂に分類されていました。
後に、水流や雲等の不定形な連なりも紐状とされて渦を生み、それらの集合たる渦潮から台風まで、多くに影響を及ぼすことが判明しましたが、自然法則と区別が困難な程度であり、御霊クラスの引き上げは奇魂に留まっています。
さらなる検証中、男性会員の睾丸内に荒魂-005が発生する事象-005-1を確認。2020年7月31日付『Science Advances』に掲載された研究を受けて、その瞬間に全精子の運動が尾を振るものから渦巻かせての遊泳に変化したと発覚しました。
一度発生すると、以降全ての同じ現象の事実を変える可能性、及び個別がミクロでもそれらの集合としてどこまでも巨大な渦を生む疑いが浮上。DNAの二重螺旋から宇宙ヒモまであらゆる事物への関与が警戒され、銀河の渦への干渉が確認された段階で荒魂に再分類されました。
【事象-005-1を受けた██博士の見解】
「精子への干渉が人類史において早いか遅いかは判断しかねますが、レーウェンフックの初観察より約340年経って初めて荒魂-005が発生したことになります。重要なのは荒魂-005が起きるまでの期間は340年以内と推定できるということ以外不明であり、ミクロのものでも起きる危険があることです。極端な話をすれば、DNAが本当に観測される以前から二重螺旋構造だったのかも怪しいのです。ともすれば、原因不明とされている事故などは荒魂-005が引き起こしている恐れもあります。
ミクロや遠方のもので荒魂-005が発生する確率は低い傾向にあります。ですが観測開始からの██年ですでにミクロの精子に加えて、遠方ではアンドロメダ銀河の矮小銀河一つで発生したのを確認しているのです。
このレベルの不自然な渦が次にいつ起きるかはわかりません。電源コードや精子の尾などのヒモ状のものにも生じたのだから、宇宙ヒモや弦理論なども危うい。その場合、宇宙規模での危機さえ憂慮されます。他にも危惧すべきことは数多ありますが、確実なのは、数億の星の軌道を乱しうる危険が荒魂-005にはあるということです。以上の懸念から、我々は一刻も早くこの事態に対処すべきだということを訴えさせていただきます」
※奇魂-010に伴う地殻変動の主要因が荒魂-005であることが発覚したのは██博士によるこの提案を受けた再調査の結果であり、当初は奇魂-010に連なる現象の一部と認識されていました。
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