とりあえず入れておきますか、おそろいを。
結局その日の夜まで佳桜美は起きなかったので、おじさんが迎えに来ることになった。
実は俺の心ん中じゃ救急車呼ぶべきだったんだろうかともちらっと思っていたが、おじさん的には『はっはっはー寝たらなかなか起きないからねぇー』とか明るく振る舞っていた。ひょいっとお姫様抱っこで持ち上げてそのまま俺たちにお礼を言ってくれながら出ていった。
おばさんも一緒に来てくれていて、紙袋とポシェットと麦わら帽子はおばさんに渡した。
あらかじめ紙袋からは俺とおそろいおそろいとか言ってた青い背景に星柄の方の消しゴムを取って。ぇ、ピンクい方が俺とかじゃないよな?
ポシェットからも俺の鍵と財布と学生手帳を取った。その際ちらっと中が見えてしまったわけだが、小型ながらも中は整理してきちんと物が入れられてあった印象だ。さすがの斉琳寺家。
(カードケースかなんかに一年生の入学式の時に撮ったクラスの集合写真の小型版が入っていたのにはびっくりしたが)
一年生のときは同じクラスだったな。二年三年とクラスは離れてしまったが。
まぁポシェットの中身をじっくり見たかったら、たぶん佳桜美なら頼めばうへうへした顔で見せてくれると思うので、その写真以外は特にじろじろ見ることもなく閉じたが。
俺は消しゴムのシュリンクを外しいつも使ってる紺色に星柄の筆箱……まぁ箱っていうか布製なんだが、のやつに入れた。実はこれも色と柄違いで佳桜美とおそろいである。
(なんだかんだで俺も佳桜美と一緒のやつばっかじゃん)
ちょこっとだけやれやれと思ってしまった。そして月曜に会ったら、ちょこーっとだけ優しくしてやろうかなとも思いながら、筆箱を学生カバンへ戻した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます