レオンのプレゼン!

「一番、レオン=マーレアです」

「へー、一番はレオンからか」

「知ってるんですか?」

「ああ、知ってるって言っても、さっきトイレで少し話しただけだが」

「そうなんですね」


 マールに少し説明して、勝負する事になったレオンのプレゼンをじっくり見る事にした。


「僕が作った物はトランプと呼ばれる物です」

「トランプ!? ——あっやばい」


 俺がそう思った時にはほぼ全員がこっちを見ていた。そして見ていた人の中の一人が口を開いた。


「知っているのか。その"とらんぷ"とやらを」

 領主だった。

 どう答えるか迷ってレオンを見ると

黙って欲しそうな仕草をしていたので


「ああ、いえ、すいません。聞き間違いでした」

「ああ、そうか。まあしょうがないな。——でレオンと言ったか。続きを」

「はい、わかりました」


 レオンはトランプの使い方を説明していた。しかし、元の世界にあったトランプと遊び方が全く一緒だった。ババ抜き、神経衰弱、などの遊び方を次々と説明していった。


 もちろん審査員の反応も良かった。


「ああ、もう。またババが来ちゃったじゃないの」

「がっはっはっ、お前の引きが悪いだけだ。……っと、お前まさか俺にババを渡すために」

「やっと気づいたのね。あなたが、バカで助かったわ」

「何をしているんだ。お前達は……はい上がり」

「「え!!」」


 みたいな感じでとても楽しんでいた。


「はぁ、いきなりレベルが高くないか。これを超えるやつなんてあるのか」

「まぁ、期待してみましょう」

「ああ、そうだな」


 そして点数がつけられた二七点だった。初めだから少し低めにつけられたのだろうか。満点行ってもおかしくないと思っていたが……。

 それにしても、俺もああいうので良かったかもなー。


「ショウさん、さっきの物凄かったですね」

「ああ、そうだな」

「ねえ、ショウってあれ作れないの?」

「「いつの間に!」」


 いつの間にか戻ってきていたシエラに聞かれた。


「まあ、作れるとは思うけど」

「じゃあ、これ終わったら作ってよね」

「まあ、時間があったらな」


 そしてレオンのプレゼンが終わった。終わった時に手を振ってきたので振り返しておく。


 それからも物作り大会は続いた。しかしトランプを超える物は出ることがなく、俺の番になった。


「頑張ってください。ショウさん、シエラ」

「ああ、行ってくるよ」

「うん、マール。見ててよね」

「当たり前でしょ」


 発表の品は二つあるためシエラに出てもらう事になった。

 前に出てみるとみんなが疲れている様子だった。特に審査員が。まあしょうがないよな。あんだけの数を一日でやるんだから。


「千番、ショウ=トリイと」

「シエラ=クエナです」

「これで最後か……。長かったな。大トリを飾る物を期待しているぞ」

「そうね。あのトランプの時に大きな声を上げた子じゃないの?」

「そうだな。だったら意外と期待してもいいかもしれんぞ」

「ああ、そうだな。トランプ以外これといった物が無かったからな」


 俺たちが自己紹介をするといきなりハードルを上げられた。まぁ、いいか。シエラとマーラのお墨付きだしな。落ち着いていこう。審査員三人に見せたいやるぞ! 俺たちの魔道具を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る