物作り大会始まる!
控え室は大部屋に人がたくさんいるって感じだった。
少し話した後
「ちょっとトイレ行ってくるな」
そう言って俺は用を足しに控え室を出た。
「はぁ、緊張するなー」
トイレでそう呟くと
「そうだねー」
と返してくる声が聞こえた。
「誰だ!」
「僕の名前はレオン。レオン=マーレアさ。君も物作り大会に出るのだろう」
「そうだけど……。あ、俺の名前はショウ。それで何か用なのか?」
俺がそう聞くと少しの間、手を顎に当て考えているような仕草をしていたが、思いついたように手を叩いた。
「そうだ。ショウ、物作り大会、勝負しない? 僕も出るからさ」
「え、勝負」
「ダメかな?」
レオンがとてもニコニコしていた為断ることができず
「いいけど……」
と承諾してしまった。レオンは俺の承諾を聞いてすぐに
「ありがとう、じゃ」
と言ってどこかに行ってしまった。
「なんだったたんだ? 一体……。まぁいいか」
俺は控え室に戻った。
それからシエラ達と話して物作り大会が始まるのを待った。
「……」
「どうしたんですか?」
「……いや。なんでもないよ!」
その時にこの控え室にレオンがいるか見渡してみたがどこにもいるなかった。
そして会場に移動する時になった。会場までメイドさんに案内され控え室にいた人全員が出てきた。
違う部屋から人が出てきたのも見えたので、他にも控え室があるんだなぁと、思いながら移動していた。
「ここが会場かー」
会場はとても広く余裕でサッカーができるようなスペースがあった。
「ショウ、はしゃいじゃダメよ」
「ああ、分かってるよ」
シエラに注意されたのでちゃんと返事をしておく。
それから物作り大会の説明がされた。
審査員はブルセータの領主、冒険者ギルドマスター、商業ギルドマスターの三人らしい。
「バン=ベリアルだ。よろしく頼む。面白い品を期待している」
ブルセータの領主がそう言い終わると歓声が起きた。好かれている領主なのだと感じれた。そしてとても若い。俺とも大して歳が変わらなさそうな位若い。
「冒険者ギルドマスターのトール=ポナールだ。よろしくお願いする」
次はギルドマスターが出てきた。領主の時ほどの歓声はなかったものの、十分すぎるほどの歓声が上がった。
まだ会った事はないので今回初めて見る。とてもごつい男の人だ。軽く二メートルありそうなくらい大きい。
「もう、二人とも硬すぎよ。商業ギルドマスター、ルーシィ=ラナマーリアよ。よろしくね」
軽い感じで行った人が商業ギルドマスターらしい。にわかには信じ難いが、とてもすごい人らしい。どんな取引でも騙されたことがないだとか……。
ルーシィさんの言葉が気になったのか、バンさんが口を開いた。
「硬くないぞ。お前が軽すぎるだけだよ」
「もう……。でももっと軽くてもいいと思うわよ」
「まあ、確かにルーシィの言うこともわかるぞ! ガッハッハ」
「「トール笑い声がうるさい!」」
「まあ、物作り大会という名目だが料理も沢山ある。楽しんでくれ」
そこで今まで一番大きい歓声が起こった。
三人が出てきた時に、場の雰囲気が少し変わったように思えた。緊張感的なものが……。凄い人たちなんだと実感できた。
そして三人が十点満点で点数をつけて最高点が三十点満点というものらしい。よくあるやつだな。
そして発表する順番はくじという事らしい。俺が引いた番号は千番だった……。
「なぁ、マール今回の参加者の人数って合計で何人だっけ?」
「はい。確か千人だったと思いますよ」
「やっぱり、そうだよな……」
「どうかしたんですか?」
「いや、それがなくじで一番最後の番号を引いてしまったんだよ……」
「え……! まぁ大丈夫だと思いますよ」
「軽いな。俺は結構緊張するぞ」
「私も緊張しますが、見てください。あれを」
マールが指差した方向には用意された料理を物色しているシエラがいた。
「確かに。あれ見たら緊張もほぐれるな」
「はい、それに魔道具を作った時点で優勝ほぼ間違いなしだと思いますよ」
「そうか、じゃあもっと余裕を持っておくよ」
そんな感じで物作り大会の発表が始まった。
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