マール視点
「わ、私、ショウさんになんてこと言ったのー」
空を飛びながらそんな事を呟いていた。いつもはあんなこというタイプじゃないのにどうして言ったんだろう。
「本当に恥ずかしいよー。もうショウさんに顔向けできないよー」
そんな事をを呟いていると
「ねぇマールさっきショウと何話してたの?」
凄いスピードで走っていたシエラは止まってそう私に聞いてきた。私も地面に降りてこう答えた。
「え、えっと……言えない、かな」
当たり前だ。言えるわけがない。あんなこと。でもシエラは納得しなかったようだ。
シエラは不思議そうに答えた。
「えー何その反応。もしかして、ショウに何かされたの?」
「いやいや! ショウさんは優しいから何もされてないよ……。でも」
「でも?」
(うーん……シエラになら話してもいいかな)
私はそう思いさっきの事を話した。
「あーなるほどねー。マールってたまにそういうことあるよね。たまに強気になるとこ」
「そうかなー?」
「そうだよ。実際私に対してもたまに結構強気になるでしょ」
「そう?」
「あるよーそういうとこ……。まぁそこはどうでもいいんだけど——」
「よくないよ!!」
シエラがまだ喋ろうとしているところを遮って否定した。しかしシエラはその言葉を無視して話を続けた。
「誰がちゃんとお礼を言ったのが久しぶりだってー」
そう言って私のほっぺを引っ張ってきた。
「いふぁい! いふぁい!」
私がそういうと、シエラは私のほっぺから手を離した。それで余裕が出来た私はシエラに言った。
「だ、だってシエラってツンデレじゃん。よく恥ずかしがってお礼言わないでしょ?」
「誰がツンデレだってー!」
そう言ってまた私のほっぺを引っ張ってきた。
そのまま話を続けてきた。
「べ、別に恥ずかしがってるわけじゃないから! ちゃんとお礼を言わなきゃいけない時は言うよ。……ほら、ショウに初めて助けてもらった時にちゃんと言ったし」
とシエラは、言い訳のような事を言っていた。
私はショウさんに初めて合った時は緊張していて話したことをほとんど覚えていない。
しかし今はそんなことより、もっと大変なことがある。
「ふぇー……ほころで、いふぁいから、ほろほろ手をふぁなしてほしいなー」
私がそう言ったが嫌そうな顔をされた。
「いやーマールのほっぺ思ったより気持ち良くてー」
「ふぉんなー」
「まぁ、マールがかわいそうだから離してあげる」
そう言ってやっと私のほっぺから手を離してくれた。
「良かったよ。結構痛いんだよ、これ」
「ごめんって」
「はぁーそれがどうしてショウさんに出来ないの? ツンツンしてるからツンデレに見えるんだと思うよ」
私は少しずれていた話を戻した。
「ショ、ショウになんてできるわけないじゃない!」
「ちゃんとやったら、ショウさんも惚れてくれるよー。シエラってめちゃくちゃ可愛いんだし」
私は素直にそう思った。
「わ、私別にショウのこと好きじゃないし! ……そう言うマールはどうなの? マールも可愛いしいけるでしょ!」
「え、わ、私なんか無理だよー。それにシエラほど可愛くないって」
シエラが反撃してきて動揺してしまった。
「いやいや、私とマールの違いなんて髪色ぐらいでしょ。もし私が可愛いならマールも可愛いよ」
「そんなわけ––––」
私はそんなことないともう一度否定しようと思ったら近くで大きな音が聞こえた。
「何あれ……」
「オーク……じゃ、ないよね。あんなに大きくないし……」
そう、オークに見えるがオークよりも2倍以上の大きさがある。
「どうするの! やっぱりショウさん呼んだほうが……」
「いや、もう背中向けたら殺される勢いだよ」
シエラがそう言ったので私は恐る恐るオークもどきを見てみるとこっちを見ていた。
「ほ、本当だ……」
「マールは、空から私を援護して。私は隙を見て攻撃するから」
「分かった。絶対に勝つよ!」
「当たり前じゃない」
シエラの自信たっぷりの言葉に私は安心した。
(シエラはやっぱり頼もしいなー)
と思いながら私は地面から足を離した。
私はシエラの強気なところに助けられているんだと実感できた。
そこからは激しい攻防が続いた。
「ファイアーボール!」
シエラがそう唱えるとオークもどきがシエラの方へ向かって攻撃した。その隙を見て私はシエラに支援魔法をかけそれでまた早くなったシエラはすぐに攻撃を避ける。
久しぶりに二人で戦ったけど十分できている気がする。この靴のおかげかな?
そして私とシエラの目があってシエラがなにをしたいのかが分かった。
「任せて!」
と私が言って、オークもどきに弱い魔法をぶつけた。それを見たシエラが笑って混合魔術の準備に入った。
「メテオ!!」
そうシエラが唱えるとオークもどきが少しだけよろめいた。
そんな攻防が何十分も続いた。
そして私たちの魔力が切れる直前だっ
た。
私たちは一旦オークもどきから離れ話した。
「やばいよ。そろそろ魔力が切れる」
「大丈夫、ここで決める。だからもう一回だけあいつをを引き寄せてもらってもいい」
「うん、分かった」
私は最後の力を振り絞って空を飛んでオークもどきを引き寄せた。
「かかった! 今だよ、シエラ!」
「分かった! ……マグマ!」
シエラが放ったのはもう一つの混合魔術だ。いつもはショウさんが地面にいるため使えない。ショウさんは火の魔法が効かないみたいだけど、やっぱり使うのが少し怖いみたい。
その攻撃がオークもどきに直撃しオークもどきが倒れ魔石になった。
「やった! やったよ。シエラ」
「うん、うん! マールやったわね」
そうやって喜び分かち合っていると、私たちはもう動けず下に倒れ込んだ。
「はは、私たちも、動けないや」
「そうだね。まぁ、倒せたからいいじゃん。でもショウさん心配してるかな」
私はそこが心配になった。私たちはショウさんに迷惑かけっぱなしだし
「まぁ、大丈夫でしょ。ショウのことだし私たちを探してる頃じゃない?」
「それ、大丈夫じゃないじゃん!」
シエラは結構簡単に考えてるみたいだ。
私が否定すると
「いいの、いいの。ショウには今までにも迷惑かけてるし今更だよ。だからその分違うところで恩返ししよ」
と返ってきた。恩返しすると言う意見はいいと思ったので
「……まぁ、そうだね」
と返した。本当に今までの分を恩返しできるかわからないけど。
「でしょ。じゃあショウを待つ間色々話そ」
「うん」
そこから私たちは色々話した。色々って言ってもショウさんのことばっかりだけど。それもショウさんが来るまでずっと。時には笑ったり、時には怒ったりしながら。
そしてショウさんが来た。ショウさんが来たのは嬉しかったけど、もっとシエラと話したいとも思った。
でも今日の事があって、もっとシエラと仲良くなった気がする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます