シエラとマーラを見つける

 「大丈夫か! シエラ、マール」


  俺は魔力反応があった場所に来てみると二人が倒れていた。二人に近づくと


「あっ! ショウさん」

「ほらね。やっぱり来たでしょ」

「うん、そうだね」


 なんて気楽な会話が聞こえてきた。


「おい、気楽すぎないか。……ところでどうしたんだ? こんなところで倒れるなんて何かあったんだろ?」


 俺は気になり二人に聞いた。すると


「ま、まぁ確かに何かはあったけど」

「もう、終わりましたから」


 と言って俺たちがいるのと逆方向に指を差した。


「ん、どうしたんだ?」

「あそこらへんに魔石が転がってると思うから見てみて」


 とシエラに言われたので見てみると今まで見た中で一番大きい魔石が転がっていた。


「この魔石どうしたんだ!」


 俺は素直に驚いた。そしてその問いかけにマールが答えた。


「さっきオークみたいな魔物がいたんですよ。そして私たちが倒した感じですね。」

「本当か! それはすごいな!」


 俺が二人を褒めるとマールが恥ずかしがり、シエラが誇ったような表情をしていた。

 その後シエラが


「その戦いで魔力使い果たしてもう動けないの」


 と言った。


「あーなるほど。それでそこに転がっていたわけか。でもそんな苦戦するなら、俺も呼んでくれたら戦力にはなってたと思うけど」


 俺はそう思ったがシエラたちはなんで呼ばなかったんだろうか。


「まぁ、呼ぶって言うのも考えたんだけどね……」

「考えたけど?」


 シエラが言い淀んでいるとマールが口を開いた。


「シエラが私たちも活躍したいと言って二人で行くことになったんですよ。そしたら思ったより強そうな魔物がいて逃げられなくなってそのまま戦ったと言うわけなんですよ」

「ちょ、マール! 何を言ってるの! ……でもマールも結構ノリノリだったくせに」

「そ、そんなことないよ」


 そんなやり取りを見せられていた俺は心配する気持ちが何処かに行っていつの間にか安心していた。


「なんだよそれ。まぁ、いいや。二人が死ななかっただけで十分だよ。でも次からは呼んでくれよな」


 そう言って俺は二人に笑いかけた。


「ショウさんはそう言うとこあるからずるいんですよ」

「そうよね。それに、自覚もないから」

「なんだよそれ」

 俺は何がずるいかよく分からなかった。

「ショウは鈍感だからねー」

「そうだね」

「それ、アルルにも言われたぞ」


 そんなに俺って鈍感なのかなー。次からはもっと気を付けてみよう。


「まぁいいや。そろそろ帰るか……って二人とも動けないんだったな。どうするか……」


 俺が悩んでいるとアルルがとんでもないことを言った。


「二人ともショウさんが運んで帰ればいいのではないでしょうか?」

「二人もか! それはさすがに無理じゃないか……」


 俺が弱めに否定すると


「なぁに、私たちが重いって言いたいの?」

 シエラが少し怒ったように言ってきた。

「い、いや、違うって。ただ……ちょっときついかなーって」


 俺はそうすぐさま否定した。そしたらシエラが笑いながら返してきた。


「ふふ、なにそれ。全然言い訳になってないじゃん」

「ご、ごめん」


 俺はそう素直に謝った。そしたらマールが呆れた感じで言った。


「はぁ、シエラダメでしょ。ショウさんをいじめたら。——ショウさん、大丈夫ですよ。もう支えられたら歩ける程度にはなってますから」

「そうなのか」

「はい、私がもうその状態だからシエラも大丈夫なはずです」


 マールがそう言ってシエラの方を見ると


「ばれたかー。もっとショウをからかいたかったんだけどなー」


 と言っていた。


「もう、シエラダメでしょ。——ごめんなさい。ショウさん。そう言うことなので支えてくれると嬉しいです」

「ああ、支えるくらいならへっちゃらだ。じゃあもうそろそろ暗くなりそうだし帰るぞ」


 俺がそう言うと素直に「はーい」と言う声が聞こえてきた。

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