新しい始まり

 「そういえば言語変換マシンを使えばアルルが喋っていることわかるんじゃないか!」


 そう俺はふとこんな事を思った。でもアルルはほとんど鳴かない。

 俺から話しかければ話せるかなそう思いアルルに話しかけてみた。言語変換マシンを使って。


「なぁ、アルル、俺の言葉わかるか?」


 するとこう返事をした。


「はい分かりますよ」


 礼儀正しいやつだな、と思いながらも成功だった事に喜びシエラとマールを呼んで使ってみた。


「ショウこんなもの作ったの! あり得ないわ」

「ショウさん凄すぎですよ」

「ショウ様、すごいです」

「作ったと言ってもちょっと前にだからな」

「じゃあこれ使わないと私たちの言葉もわからないの?」

「ああ、多分だけど分からない。でも勝手に変換してくれてるから大丈夫だよ」

「そうなんですね」


 話して無かった言語変換マシンを話す良い機会だったな。それにいつもの会話にアルルが入るのは変な感じだがこれからもっと楽しくなりそうだ。

 するとマールとシエラがコソコソとで話し始めた。

 そして少しするとマールが話しかけてきた。


「ショウさん今日こんな事が街で呼びかけされていたんですよ。出てみませんか?」


 と言って一枚の紙を渡してきた。

「えっと、【街主催! 物づくり大会。優勝者は一等地の家とその物の価値分のお金をプレゼント】かぁ。」


 と呟くと


「それに出れば優勝できるわよ。ショウなら」

 とシエラが言ってきた。しかし色々疑問がある。


「でもこんなのが街で主催されるのはどうしてだ?」

「それは、この街の領主様は娯楽が大好きだからですよ。今回は物作りでしたが、他にも色々ありますよ。料理対決とかもありましたし」


 それは楽しそうな領主だな。会ってみたい。

「でも、家をプレゼントされても使うのか?」

「持っておいて損は無いと思いますよ」

「そうかもな」

「それに領主様とお近づきになれる可能性もあります」

「それは色々良いことがありそうだな」


 なんか、良いことづくめな気がしてきたぞ。


「じゃあ、出るってことで良いわね」 「ああ、楽しそうだし良いよ」

「やったわ」

「じゃあ頑張りましょうね」

「ではショウ様頑張ってください」

「ああ」


 こうして俺たちは物作りの大会に出ることになった。




 三日後

 「よし作る物が決まったぞ」

 俺はシエラとマールを呼び出し話をした。

「なにを作るの?」

「それはだなー」


 俺は新しく買ったアイテム袋から一つの設計図を取り出した。


「これだ! まぁ簡単に言ったら空を飛べるようになる靴と足が早くなる靴だな」


 俺がそう言うと2人が唖然としていた。


「ど、どうしたんだ?」

「いや、ショウさんってなんだかんだ言って凄いなーって思ってしまいました」

「同じく」

 2人がそう言うと

「同じでございます」


 とアルルも混ざってきた。


「ま、まぁそこまで難しいことはしないから。……それにしてもこういうものって無いんだな」


 俺は呟いた。そう、この世界には魔法は発展しているのに魔道具は全然無いのだ。

「まぁ、発明家みたいなのが少ないからね。魔法は結構進んでる方だと思うけど、魔道具はね」

「まぁ、そんな感じです。でも前に言った通りに無属性は全然進んでませんけど」

「なるほどなぁー」


 俺はまた、この世界の事について知れた気がする。


 「まぁ、作っていくか」

「そうね。家も欲しいし」

「うん、そうだね。シエラ!」

「頑張ってくださいませー。御三方」




 そうして作業に取り掛かった。

  物作り大会の前日


「よし、できたぞ!」


 物作り大会の前日のお昼頃遂に完成した。


「やったわね。ショウ!」

「やりましたね」

「凄いです」


 二人と一羽から祝福された。


「いや、みんなが手伝ってくれたおかげだよ。ありがとうな。シエラ、マール、アルル」


 俺はそう言っていつの間にかみんなの頭を撫でていた。


「えっちょっ! 何してんのよ、ショウ!」

「ショ、ショウさん! い、いきなり何を!」

「おおーショウ様は大胆ですねー」

「あ、ああ、ごめん。嫌だったよな。もうしないよ」


 俺は何て事をしたんだ。よっぽど仲良く無い限りいきなり頭を撫でられたら嫌だよな。今度からもっと気を付けよう。


「べ、別に嫌ってわけじゃ無いの……ちょっとびっくりしただけ……だからまたして欲しいな」


 そう言ってシエラが笑った。それに続いてマールも


「そ、そうです。私もシエラと同じ気持ちです。だから私もまたして欲しいです……。」


 そう言った。


「もちろん良いよ」


 と返してもう一度頭を撫でた。2人が恥ずかしいのか、顔を赤くしながらも嬉しそうにしていて俺も嬉しくなった。(なんか小動物みたいで可愛いな)なんて思いながら。

 その後


「ご迷惑じゃなければ私ももう一度撫でて欲しいです」


 とアルルも言ったためちゃんと撫でてあげた。

 みんなが嫌がらずに喜んでくれて良かったよ。あそこで拒絶されたら結構凹んでたかもな。




 そんなやり取りの後、作った靴をちゃんと動くかなどを確認するためにモンスターを倒しにいく事になった。


「よし、じゃあ試してみるぞ。使いたい人はいるか?」


 俺はそう尋ねた。

 しかし二人とも目を逸らしていた。


「どうしたんだ? 使いたくないのか?」


 俺がそう言うとシエラがこっちを見て口を開いた。


「いや、使いたくないわけじゃないんだけど、この魔道具ができた時はまずショウに使ってもらおうって決めてたの。ショウが頑張って作ったのに、私たちが最初に使うのはおかしいと思って……」


 そんな事を考えていたのか……。なんか気を使わせたいたみたいで悪いな。俺はそう思ってシエラとマールに使ってもらおうと思い、口を開いた。


「気を使ってくれるのは嬉しい事だよ。でも、俺は作ってる途中に何回かは使ってるから大丈夫だよ。まだ使ってない二人に使って欲しいな」


 俺がそう言うと二人は納得したように言った。


「分かったわ。ショウがそこまで言うなら使ってあげる……。いや、違うわね。ありがと、ショウ」

「ショウさんありがとうございます!」


 そう言ったシエラが俺が作った靴を使うため歩いて行った。

 その時にマールがこんな事を言ってきた。


「ショウさん凄いですね。シエラがあんな風にちゃんとお礼を言ったのなんて久しぶりですよ。ほんとに気に入られてますね」

「そうなのか! それは嬉しいことだな」


 シエラがそんな事を思ってくれてるなんてとても嬉しい。そんな事を思っているとマールがこんな事を言ってきた。


「もちろん、私もショウさんのこと好きですよ。いろんな意味で」

「えっ、それってどう言う——」


 俺がそれを言う前に


「おーいマール、早く、早く」


 とシエラに声をかけられたマールは


「うん、分かったー今行くよ」


 そう答えシエラの方に行ってしまった。


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