第2節 「言ノ葉の箱庭」


 言の葉を紡いで詩を編み。

 音で満ちた箱庭で踊る。


「次はどんな話にしよう」

「次は何を歌おう」


 澄んだ音色に恋をした。

「君の為の物語を書きたいんだ」


 静かな瞳に心奪われた。

「貴方の為に歌います」



 月明かりの下で、紡がれた詩。

 偽物の、恋の歌。

「素敵だね」

「お世辞は要らないよ」


 甘い蜜に溶けて消えるような、一時の幸せに身を委ねて。

「次はこれを読んでくれないかな」

「貴方のお話、とっても素敵よ」



 澄んだ音色に恋をして。


 静かな瞳に恋をして。


 伝わらない思いを綴る。

 この「好き」は、演技じゃないのに。

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