第26話
「大好きだ!」という叫び声が聞こえた。
こういうことは、よくある。特に文化祭というお祭りは、生徒たちの気分を高揚させるようだ。
「教頭先生!」
華道部の生徒が、私を呼び止める。
「これ、よかったらもらってください」
華道部の生徒が、私に花の種を渡す。なんの花か、という説明は書かれていなかった。
「なんの花なんですか?」
「いろんな花の種をまぜたんです。普段は花を使ってるので、たまには花を育てようって宣伝しようと思いまして」
きっと花壇にまいたら綺麗ですよ、と華道部の生徒は言った。
私は、妻の花壇を思い出していました。
妻もそんなふうに賑やかな花壇を作るのが好きな人でした。
ふと、私は思いました。
こんなふうな世界を、私たちは望んでいるかもしれないと。
花壇の中で、色々な花が咲いているような世界を。
17歳、性教育、未講習 落花生 @rakkasei
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