アメリカに見る資本主義の闇。
今日は資本主義の権化ともいえるアメリカでの【資本主義の闇】、
に関して書いてみたいと思います。
資本主義の基本的理念は【投資して利益を得る】の一言に尽きます。
なので、この考えに沿って作られた企業の目的は、【株主への利益還元】です。
企業理念とかお題目の好きな企業経営者が日本には多いですが、それらの理念よりも【株主への利益還元】の方が大事なのです。株主に利益を還元出来ない様な企業は
潰れてしまえ…。これが資本主義というものなのですね。資本主義の権化とも言えるアメリカでは、大半の事業が民営化され、普通の株式会社として
運営されていますが、この中で悪影響が大きいものがふたつ。
ひとつは医療、もうひとつは犯罪に対する対処です。
アメリカの医療業界の最大の問題は、命を救う事より利益追求を優先している所に
あります。医療保険も含め、【利益になるかどうか?】で動いていますから、
お金がないと治療して貰えません。救急車に乗ると20万円かかるとか、
盲腸の手術をすると数百万の請求が来るとか当たり前、
多額の医療費が原因で破産の憂き目に遭う人が大勢います。
日本は医療に関しては完全な国家管理で、医療行為や薬の価格は国が決めています。その上で国民皆保険とし、医療費の自己負担を3割、高額な医療費に対する補助もありますから、国民ひとりあたりの医療費負担はアメリカの4割程度です。
アメリカは高額な医療費の為に病院に行かない人が大勢いますから、
日本並みの医療行為を行うと、国民の負担額はもっと上がるはずです。
それともうひとつが犯罪。
アメリカのオレゴン州の町では、公共の場所に寝泊まりしてはいけないと言う法律があります。なので、ホームレスは犯罪者とみなされます。
アメリカには1994年に成立した連邦三振法なる法律があり、
これは重犯罪を3回犯すと自動的に終身刑になるという法律ですが、
最近は審査が面倒なのか、軽犯罪でもこれを当てはめるケースが多発しています。
なので、ホームレスの人が屋外で寝ている所を3回警察に咎められると、
終身刑になる可能性があります。ホームレスに限らず、軽度な犯罪であっても
この様な感じで犯罪者を片っ端から刑務所に入れますから、
当然犯罪者が大量に生まれ、刑務所が溢れます。
この管理が面倒になったのか、アメリカは州刑務所・連邦刑務所の一部を
民営化します。2023年時点でアメリカには約200万人の受刑者がおり、
仮釈放や出廷待機を含めるとその数は約700万人(令和3年の日本の刑務所収監者は
4万人前後ですから、信じられない数ですね)。この内10%内外が
民間の刑務所に収監されています。これらの民間刑務所は、
受刑者ひとりあたりいくらという感じで政府からお金を受け取り、
それから刑務所の各種管理費用を差し引いて利益を出す仕組みですから、
収監者を増やして管理を手抜けばその分利益が上がる事になります。
それがどういう結果を招いているか…もう皆さんお察しかと思いますが、
それこそ【豚小屋の方がまだマシ】の様な環境に、受刑者を押し込めているのです。
何百人もの受刑者を狭い部屋に押し込め、それを管理しているのは時給わずか
9ドルのアルバイトふたりとか…、
ちょっと日本では考えられない事になっています。
人権って何それ美味しいの?を地で行く訳ですから、
日本人の目からみると、もう異常にしか見えません。
その一方で950米ドル(約10万円)未満の万引きや窃盗を重罪に問わないという
カリフォルニア州の州法によって、同地で万引きが横行し、耐えられなくなった
ドラッグストアやディスカウントストア、スーパーが次々に閉店している様な
実態があります。日中に堂々と大きなバッグに商品を詰め込み、
店員は関わるのを避けて盗み放題とか、ちょっと信じられない
ヒャッハーな光景があるのですね。これは犯罪の増加に警察の予算が追い付かず、
取り締まりが出来ない為、軽犯罪はもう取り締まらないなんて事を
堂々と法律化したからですが、こんなのわざわざ法律化して公開する必要あるの?
と思うのは私だけでしょうか?犯罪が増えるだけですよね?
こういうアメリカの闇の部分は、アメリカの本質である【資本主義】と
【自由放任主義】から来ています。どんな事でもそうなのでしょうが、
過ぎたるは及ばざるに如かず、という日本古来の知恵を今一度思い起こす
時代になってきているのでしょう。外国の戦争に首を突っ込む暇があったら、
警察予算増やせよ…なんて私は思いますが、アメリカはロビー活動という、
政治家に対する賄賂が公然と認められている国ですから、
政治の世界も基本的に資本主義の論理で動いています。
そうしてこの傾向はアメリカに限らず、全世界的な潮流になっている様に思います。
アメリカ社会って、モノポリーゲームみたいなもの…
モノポリーゲームは1929年の大恐慌の頃、せめてゲームの中だけでも
金持ちになりたい…という願望を満たすゲームとして空前のヒットをした商品
ですが、このゲームの特徴は、最後はひとりが億万長者になって、
残りは全員破産するというところにあります。そうして勝つか負けるかは
ルーレットかサイコロの目に依存するので、文字通りの運ゲーです。
それを全て自己責任なんて現実世界でやりだすと、
この世界は間違いなく終末へと向かってしまう…。
それを体現しているのがアメリカ式資本主義だと思うのです。
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