昔の日本投手は現在のMLBで通用するのか考察してみた!
大谷翔平選手の大活躍で盛り上がっているMLBですが、その試合を見る中で、
私が別な意味で注目した選手がいます。それは長きに渡ってドジャースのエースで
あった、クレイトン・カーショー投手です。身長192㎝、体重102㎏、左投げ
ですが、彼の投げ方、球種が、かつての日本球界の大投手であった金田正一投手に
そっくりだからです。
金田投手の投球は映像がかなり残っており、その為球種や球速も含めて色々分析されています。金田投手は身長184㎝、体重73㎏、体格的にはカーショー投手より一回り小柄ですが、投球フォームは良く似ており、球種もストレート(フォーシーム)と
大きく曲がりながら落ちるカーブ(昔はドロップと呼ばれていた球種)が中心、
その点でもふたりは共通しています。
もっとも時代が違いますから、カーショー投手の方が変化球の持ち球が多く、
スライダーやカットボール、シンカー、チェンジアップ等も投げていますね。
良く、日本プロ野球(NPB)の歴史の中で、誰が一番凄い投手であったか?という事が話題になりますが、実際に投げている映像を見れば、視覚的に分析出来るのではないか?と思い、私なりに考察してみました。金田投手はNPBで通算400勝を上げた大投手ですから、彼をサンプルとして考えれば、過去のNPBの投手が今のMLBで投げたらどの程度通用するかが予想が出来ると思います。
カーショー投手のストレートは球速90マイルから95マイル(約146キロ~152キロ)です。現在36歳なので、もっと若かった頃は98マイル(約157キロ)くらい出ていた様です。映像から解析される金田投手のストレートもほぼ同じスピードなので、
ストレートの威力は互角と見て良いでしょう。決め球の大きなカーブも
両者の軌道は非常に似ており、これも互角ではないかと思います。
金田投手は基本的にストレートとカーブ以外の球種はなかった様ですが、
もし彼が今の時代に投げていれば、当然勉強して他の球種を増やすでしょうから、
ここはあまり比較する意味はない気がします。両者とも制球力は高く、
コントロールは優れていましたので、この点も互角と言えるでしょう。
私は両者の投げる映像を何度も比較しながら見たのですが、
本当にスタイルがそっくりです。なので、今の時代のMLBで全盛期の金田投手が
投げていれば、クレイトン・カーショー投手に近い成績を出すのではないか?というのが私の予想です。彼がドジャースに入団してから2023年シーズン終了までの
16年間の通算成績は、210勝92敗、防御率2.48ですから、
金田投手も文句なしの大投手になるという事になります。
大谷翔平投手の場合、最高球速が100マイル前後(160キロ)、カーブ、数種類の
スライダー、カットボール、フォーク、チェンジアップ等、球種も多彩です。
文句なく素晴らしい投手ですが、課題は制球力でしょう。
彼の投球はストレートの威力と変化球のキレに頼るスタイルで、
制球力はあまり高くありません。その為球数が多く、
肩やひじに負担を掛け易い投げ方であると言えます。
短期間であればカーショー投手や金田投手を上回る成績を上げる事は
可能だと思いますが、長期に渡るとそれは厳しい様に思います。
二刀流が継続出来るのは良くてあと数年、それ以降は打者としての
活躍になるのではないか?というのが私の予想です。
では、それ以外の過去の投手だとどうでしょうか?
古い例から有名な沢村栄治投手を考えてみましょう。
沢村投手の体格は身長174㎝、一番調子の良かった頃の体重は68㎏前後、
今の感覚で見ると、かなり小柄な投手です。
残された投球の映像は少なく、あまり参考になりませんが、
残された映像から球速の測定が出来る、同時代のスタルヒン投手の球速が
95マイル(約152キロ)くらいなので、当時の証言からそれより若干速いと
予想します。体格や投球フォームから見て、彼の球速はおそらく155キロ
前後でしょう。金田投手と同じく球種はストレートと大きく落ちるカーブです。
投球フォームや球速、カーブの変化量から想像すると、元巨人の桑田真澄投手に
かなりに近いと思われます。桑田投手は身長174㎝なので、ほぼ同じ体格です。
これから考えると、カーショー投手、金田投手とまでははいかないまでも、
主戦級の投手として通用はしたでしょう。球種を増やして山本由伸投手の様な
活躍をした可能性があります。山本投手は身長177㎝ですから、
体格的に大きな違いはありません。
お次は故野村克也監督が絶賛していた元阪急の山口高志投手。
身長169㎝と非常に小柄ですが、物凄いストレートを武器に短い期間
大活躍した投手です。彼のストレートを映像解析すると、97マイル(約155キロ)
くらいですね。球種はこのストレートとカーブの2種類。
対戦した事のある故野村監督曰く、『投げるボールの90%はストレートで、
カーブは10%くらい。カーブは殆ど曲がらないから簡単に打てたが、
伸びのあるストレートは来るとわかっていても打てなかった』。
冗談抜きでストレートだけで通用した投手だった様です。
では今のMLBで活躍出来るかどうかと言うと、おそらく無理ですね。
投手の最高スピード記録保持者としてギネスブックに載っている
アロルディス・チャップマンの最高球速は約169キロですが、
彼は今もMLBパイレーツのクローザーとして現役で、
登板すると100マイル(160キロ)を超えるボールを連続投球しています。
でも結構打たれています。
単純に球速だけで勝負出来る程、今のMLBは甘くないのですね。
山口投手はストレート一本に絞って待っているMLBの打者に
滅多打ちにされる可能性が高いでしょう。
お次は江川卓投手。彼の投球スタイルは金田投手とかなり被っていて、
【右の金田正一】と言って良い様な気がします。
ストレートの威力、カーブの変化量も近い。
なので彼も全盛期にMLBに行けば、カーショー投手や金田投手並みに
活躍出来た可能性はあります。ただかなりの練習嫌いなので、
長期間に渡って活躍出来るかは疑問です。彼には金田投手や大谷投手にある
ストイックさが決定的に欠けているのです。
村山実、江夏豊投手あたりも全盛期なら今のMLBで通用したでしょう。
特に村山投手のフォークボールは落ちが大きい上に制球力が抜群で、
かなり多くのフォークを投げたのにパスボールが殆どなく、
それが語り草になっているそうです。但し、それは球速や制球力が
一定レベルにある時期に限られ、NPBの時よりも選手寿命は
大分減ったのではないかと予想します。
アンダースローの投手である山田久志投手はMLBでは無理でしょうね。
球速、変化球の変化量から見て、簡単に打たれそうです。
MLBに変則投球型の投手が少ない一番の理由は、肩やひじの負担ではなく、
そんな投げ方では所詮通用しないからです。
あと私が見てみたいなぁと思ったのは、元オリックスの星野伸之投手。
ストレートの球速は130キロ台前半、それと90キロ台の独特の大きなスローカーブとフォークを武器にする左投手です。この球速ではNPBでも本来厳しいはずなのですが、それでも立派な実績(176勝)を上げているのには、緩急の上手い使い分けと、
彼にしか投げられない魔球カーブがあったからだと思います。
これ、今のMLBでだったらどうなるでしょうね?
私は意外に通用したのではないかと思ったりします。
以上が私の考察ですが、皆さまは如何思われるでしょうか?
今のMLBの投手で通用する為には、平均的に150キロ以上の球速(ストレート)
+キレが鋭く変化量の大きい、威力のある複数の変化球をストレートと
同じ投球フォームで投げる事、そしてそれをかなり制球出来る事が
基本条件なのだと思います。
そう考えると昭和時代のNPBの投手で現在のMLBに通用するのは、
歴史に名を残す様な一部の大投手だけという事になりそうですね。
皆さんだったら、MLBでどの投手が投げるのを見てみたいですか?
尚、別のお話で書いたサチェル・ペイジ投手の場合、
対戦した事のあるMLBの殿堂入り選手、チャーリー・ゲリンジャー氏曰く、
『今のMLBに居れば毎年30勝は軽い』のだそうです。
彼は身長191㎝、体重82㎏なので、カーショー投手とほぼ同じ体格です。
どんな化け物だったのでしょうね?
あと、私が実際の映像を見て【おおお!!!】と思ったのは、
サンディー・コーファックス投手。この人の最高球速は見た感じ、
金田投手より5キロ以上は優に速いと思います。
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