【改革】と【変革】の在り方について考えてみた!

今回の衆議院補欠選挙、自民党の完敗に終わりましたが、今日はこの選挙結果から

思う、組織の【改革】、【変革】の在り方を考えてみたいと思います。


この世界に存在する組織で良く叫ばれる言葉に、【改革】とか【変革】という

言葉があります。国家や大きな企業のトップとかが好んで使う、

実に都合の良い言葉なのですが、それが実際に実現される事は稀です。


理由は色々ありますが、まずこの単語自体には具体性がありません。

何となく勇ましく、重要な単語に聞こえますが、

これだけでは何をすれば良いのかわかりませんよね?

このあたりを具体的にするには、まず【改革】とか【変革】をしなくてはならない

内容を具体的に上げなくてはなりません。ですが、世の中の偉い人の多くは、

この部分が抽象的で、現実的ではない事が多いのです。


今回の補欠選挙の時期はかなり前から分かっていた事なのですが、

自民党は保守王国である島根では、いくら不祥事があった所で負ける事はないと、

タカを括っていた節があります。

なので、補欠選挙前における政治資金問題での不正発覚時の連座制の扱いや、

関わった議員に対するお咎めは、客観的に見てもかなり手ぬるいものでした。

もう感覚が一般国民と完全にズレている事に議員の殆どが気づいていない。

この状況では、まず議員の意識の【改革】と【変革】が先に必要になるのですが、

選挙が終わってもそれが行われる雰囲気はありません。


この議員と同じような企業経営者も沢山います。

【効率向上】を声高く主張する企業経営者は多いのですが、

じゃあ、具体的に何をどう【改革】すれば効率化するのか?

企業活動の最大の目的は利益の拡大とその還元です。

これを一番効率的に行う良い方法は、競争者の排除。

どの様な市場でも過半数以上のシェアを持つ企業はほとんどが高収益です。

こうなると大半の人達はその企業と取引をせざるを得ないので、ほっといても注文が入る様になるのですね。反対に競争相手が物凄く多い…参入障壁が低く、

誰でも安直に参入出来る様な市場にいる企業は、収益を上げていない所が大半です。値段の叩き合いになって、労力に見合う収益が得られない。

これはもう経営者のセンスの問題であって、多少の効率向上したくらいでは

改善しません。そうしてそんな企業の経営者に限って効率向上至上主義者だったりします。効率向上を叫ぶ前に、まず儲かる術を熟考すべきでしょう。


学校のいじめ問題もそう。

これは社会性のある動物のほとんどに見られる現象なので、

もう本能と言って良い。力がある者ほど生存や子孫繁栄にとって有利になる訳ですから、当然と言えば当然。つまり、人間の世界でいじめは絶対になくなりません。

いじめはよくありませんという啓蒙活動に意味がないとは言いませんが、

いくら啓蒙してもなくならない以上、いじめはもはやあって当たり前という事を

前提に解決策を考えた方が妥当だと言えます。なのに大半の学校では、

啓蒙活動に力を注ぐ事が中心。もっと人間という生物を研究する所から始めた方が

良さそうです。それの方が【改革的】でしょう?


ロシアやウクライナ、イスラエルやパレスチナの戦争問題を見るに付き、今の時代は猫の額くらいの狭い領土であっても、それを他国から奪うには、その労力に到底見合わないリスクや費用が伴う事は明らかです。そんな所に貴重なお金を使うより、新しいテクノロジーや事業に投資した方が余程有益だし、儲けだって出るに違いありません。領土がそのまま国力になる時代ではないのですよ。ですが未だにそれに拘る

指導者の方が圧倒的に多い。考え方が100年前と大して変わっていません。

そういう政治家の姿を見るに付き、彼らと【改革】や【変革】は

無縁である事が良くわかります。


日本の防衛もそうです。

これは戦争なので、当然ながら相手がいます。2千年以上昔の孫子は【敵を知り己を知れば、百戦して危うからず】と言います。なので、まず相手の実力を詳しく測る必要がある訳ですが、今の野党の先生方、いや、自民党の議員を含め、日本の仮想敵国である中国軍の実態を数字で把握している人は珍しいだろうと思います。相手の実力も知らないのに、自衛隊の装備や戦力の【改革】とか【変革】は出来ませんが、決定権のある人たちがこの体らくである事に呆れてしまいます。


【改革】とか【変革】が、重要なワードの割に、それが実際になされない事が多いのは、今まで述べた様に、ひとつは【具体性の不足】、もうひとつは現実に即さない【夢想】、そして最後は【高い難易度】にあると言えます。


難易度の高さには大きくふたつあります。

ひとつめは…単純にそれが面倒だからです。


今までのやり方を変えて、違う手法を取ると、新しい方法をいちから学ぶ必要があるし、経験がなければミスも増えます。負荷や責任も増えるので面倒でしょう。

だから大抵の組織には【改革】とか【変革】に抵抗する勢力が現れ、

【今までのやり方の方が理にかなっている】などと言い出す訳です。

そして大きな組織になればなる程、トップは適当な管理職に【改革】とか【変革】の旗振りをやらせ、それが上手くいかないとトカゲのしっぽ切りで

担当者のせいにする。世界の歴史を振り返ると、この様な事象だらけですね。


ふたつ目…それは明確な目標と目的の具体的な設定がなされない事。


・競合が多く、薄利多売の市場では企業の存続はほとんど運次第になってしまう。

→なら競合が少なく、利益の得られる市場に商品を投入する。

では、それは具体的にどの市場でどの様な製品になるのか?


・今の時代は猫の額くらいの狭い領土であっても、それを他国から奪う事には、その労力に到底見合わないリスクや費用を伴う…

→なら違う視点で国力を高める算段を講じる…。将来性のあるテクノロジー対する投資等々。では、具体的に何にいくら投資するのか?その根拠は?


こういう事を碌に考えず、権限も与えず下に丸投げする人が世の中には沢山います。

高い地位にいる人ほど、火中の栗を拾うリスクを負いたくないのです。


そして、もっと根本的な問題。

人間というのは基本的に、【自分が一番正しい】と思っている生物です。

そうではないと言う人がいるかもしれませんが、少なくともこの世界を動かしている人達はそうだと断言して良いでしょう。自己否定の激しい人は、人を動かしたり、

新しいテクノロジーの創造という行為に、根本的に向いていません。


でもこの性質は、【改革】とか【変革】とは相いれません。

それは概して他人の意見を肯定するよりも否定するからです。

特に儒教文化の根付いた村社会である日本では難しいでしょう。


こうして【改革】とか【変革】が難しい理由を解きほぐしてみると、それは文化的な問題と、人間性の本質に関わる部分が大きい事がわかります。そしてこの壁を乗り越えられた国や組織が繁栄するのは、ある意味当然だと言えます。

何故なら大半の国や組織はそれをなせないからです。


何だかんだ言ってアメリカが世界で最も繁栄している理由もこれでわかります。

歴史的に様々な人種や文化が流れ込む新興国家だった彼らは、

いつの時代もその壁を乗り超えて、常に【積極的な議論】を尊んで来たからです。

結果、合理的で割り切り上手になった彼らは、最も重要な要素(基軸通貨と軍事力)を支配した上で、世界中を下請けにしてこき使っています。

このアメリカを如何に手懐けるか?

それが出来る国が、次の時代の覇権を握る国家になる事でしょう。

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