『うた』について想う。
このところ、世知辛い事ばかりの世の中ですが、
そんな時こそ『うた』について考えてみるのも良い事かもしれません。
日本語で『うた』を現す漢字を書くと、
代表的なもので、歌/唄/唱/詩/詞という書き方をします。
これらの言葉の用法が、文法的に厳密に規定されている訳ではないのですが、
ひらがな/カタカナも含めれば、代表的な表現が7つある事になりますね。
この表現を見て感じる感覚は、日本人ならそれぞれ違います。
音楽仲間の募集なんかによく『メロディアスな』なんて表現がありますが、
これは上の7つの内、どれに当てはまるのでしょうか?
私にはさっぱりわかりません。
大抵のCDには歌詞カードが付いています。
初めて曲を聴くときに歌詞カードを見ながら曲を聴く人も多いでしょう。
曲を聴きながら歌詞を見たとき、この様な、同音で意味もほぼ同じで
あるけれど、微妙にニュアンスの違う言葉の用法で、曲の雰囲気が
変わってしまうと思いませんか?
これはひとつの例であって、実際日本語にはこの様な表現が
かなりあります。私って表現(英語のI)でも物凄い表現方法が
ありますよね。これらの使い方ひとつで、作り手の言葉のセンス、
作詞のセンスをある程度理解する事が出来ます。
日本語は世界的に見ても、微妙な語彙が大変多い言語です。
だから非常に多彩な表現が出来る。
他国語に翻訳する時に非常に困る代表的言語だそうです。
他国語には存在しない微妙な言い回しが非常に多いのですね。
日本人として生きていると、あまりにも身近過ぎて、
その多様性と素晴らしさがわからないのです。
例としては失礼ですが、タイ語には氷を意味する単語がありません。
用法的には硬い水と書いて氷を意味する表現になります。
英語だとせせらぎに関し、murmur of a streamという表現を使っている様ですが、
これでは連続したかすかな音…みたいな意味になってしまうので、
日本人の感じているせせらぎの感覚とは大分違う様に思います。
更に日本語にはひらがな、漢字、カタカナという、
3つの武器があります。同じ言葉でも漢字で表現するのとひらがなで
表現するのと、カタカナで表現するのとでは、印象がまったく異なります。
ひとつの漢字をいくつかの方法で読むという事も出来ます。
永久はえいきゅうと読んだり、とこしえと読んだり、とわと読む事も出来ます。
ちなみに中国語の漢字は読み方はひとつしかありません。
訓読みみたいな読み方はないのです。
最近のJポップの歌詞に見るべき物がないのは嘆かわしい限りですが、
日本語の優れた特性を学びもしないで安直な横文字表現に走るのは、
無知のなせる業だと個人的に思います。
己の語彙のなさ、表現の拙さをまずは考えるべきでしょう。
歌詞だけでも曲の印象は大いに違うはずです。
それにしても最近はあじけない、ウタばかり。
歌や唄や詩を作ってくれる、優れた唱うたいさんは、出てこないものでしょうか?
なんて想いつつ、私は日本の代表的な古典文学…
方丈記に曲を付けて唄ってみました。
詩(随筆ですけど)と音楽がサンドイッチの様にひとつになり、
とっても美味しくなる様に仕上げてみたのですが、如何でしょう?
是非ご賞味下さりませ!↓
https://www.youtube.com/watch?v=aa2BVlhhIDk
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