2021年の中国経済を考察してみた!

新型コロナウイルスの蔓延によって世界中の経済が停滞し、

主要国は揃ってマイナスの経済成長となっていますが、

2021年1月18日に中国政府が発表した2020年通期の経済成長率は

2.3%プラスに転じ、中国経済の回復力の強さ…

これが世界にニュースとなって駆け巡りました。


中国経済の動向は、これからの世界経済にも大きな影響を与えると

思うので、今日は中国の経済事情に関し、白狐的に考察してみたいと思います。

まず、中国政府の通年の経済成長率の発表は、毎年1月の初旬、

大体1月の10日から18日の間くらいで発表されていますが、

まずこれがどうやって計算されているのか…知っておく必要があります。

経済成長率…GDPの値というものは、中国国家全体での売上総額と

イコールになるはずですが、中国に存在する何百万社あるかわからない

企業の売上高が、たった2週間前後で集計できるとは到底思えません。

というか、日本の上場企業の場合でも、通期の決算の発表には、

概ね1カ月から1.5カ月程度はかかります。

国家の決算の発表は、日本を例に取ると、速報値の発表でも

通常2カ月近く必要…数字が最終的に確定するまでには3カ月近く

かかっており、これはアメリカなど他の先進国でも概ね同じなのですね。


何でお前はそんなに早く発表出来るんだ!ほんとかよ!

と、中国は実際に他国から何度も突っ込みを受けており、

その都度、人海戦術でそれを可能にしている!と強弁しています。

これをまともに信じているのは、おそらく日本のマスコミくらいのものです。

中国にある各省(アメリカの州の様な存在)は、省毎のGDPも

発表していますが、各省の数値の合計と中国政府発表の数値は

例年一致しないのですね…。

各省の発表している数値を全て合計すると、中国政府の発表数値より

随分大きくなってしまう…これが毎年繰り返されています。


中国No2の李克強さんは、中国政府発表の数値ではなく、

中国の「電力消費量」「鉄道輸送量」「銀行融資」で、経済の実態を測って

いると言われ、これは李克強指数などと言われています。

中国政府のトップ近くにいる人ですら、政府発表の数字をあてに

していないのですから、酷いものなのです。

尚、当たり前ですが、この李克強指数は公式に発表はされませんので、

中国経済の実態を伺い知る事はかなり困難な作業です。

アメリカなんかは衛星を使って、中国の物流量や穀物の作付け面積、

生育状況とかを監視している様ですから、他の国よりは

実態を正確に掴んでいるかも知れません。


では、客観的事実を積み上げて推論するとどうなるでしょうか?

中国国内の事はわからなくても、外国との貿易のやり取りは、

相手国側にデータが残りますので、貿易の実態はある程度客観的に把握出来ます。お金の貸し借りも相手がいますから、ある程度実態に近い数字が把握出来ます。

物価に関しては食料価格や不動産の価格等、ある程度客観的な数字が

収集可能です。これらはその業者から見積が取れますからね…。

これらのデータを推計すると、中国の経済成長率はかなり盛られており、

公式に発表される数字の概ね2割から3割程度が妥当な成長率だと

言われています。昨今のコロナによる問題等も考えると、

中国も他国と同じく、マイナス成長になっていると見るべきでしょう。


もうひとつ正確な事実を挙げると、

日本ではあまり知られていませんが、中国では昨年の10月から11月にかけて、

有力な国有企業の発行した社債にデフォルトが相次ぎ、11月20日までに

国内社債デフォルトは156件、1778億元(日本円で約2兆8200億円)と

既に一昨年の年間記録(1557億元)を大幅に上回り、

国有企業の実に70%の社債がデフォルトというただならぬ状況に陥っています。

さらに直近では、ドイツのBMWと合弁会社を設立した

華晨汽車集団(遼寧省)が社債の元利払いを延滞するといった状況に陥っており、

中国国内では大混乱が起きている様です。


こうした企業はほぼ全てが投資適格格付けを受けており、

誰もがデフォルトなど起きえないと信じられてきたところばかりで、

当局の支援が当然とされてきた国有企業に、金融機関や地方政府が支援を

しなくなって来ているのがわかります。

これまでも非常に経営状態の悪い国有企業は見捨てられることがあった様ですが、ここまで有名な国有企業がデフォルトに追い込まれるというのは間違いなく

異常な状況で、中国本土では何かが起きていることは間違いないと思います。

こうした中国企業は国有企業であっても、社債はドル建てで起債している所が多く、これもデフォルトと関係があるのではないかと見られ始めています。

外貨が足りない…のですね。

ここで知っておく必要があるのは、中国は日本と違って、国営でも倒産が

平気で起きるという事です。国がバックについているのだから、

安心できる投資先… と普通なら考えますが、国が最後まで面倒を見ないのです。

先進国で国営企業がデフォルトしたりすれば、それは国家としての

デフォルト…債務不履行として見なされますから、大変な事態なのですが、

中国ではそれが当たり前に起きています。


これらの企業の多くは、中国の国営銀行や民間企業を相手にした

社債を発行していますが、調べてみると、その金利が異常な状態になっています。一般的な社債の金利が10%から15%と言う、日本では考えられない数字に

なっているのですね。普通、社債の償還期限が近づき、その償還資金が

不足する場合は、新たに社債を発行して資金調達するものですが、

こういた社債の不履行が多発していると言うことは、

15%とかの金利を付けても社債が起債出来ない事を意味します。


中国経済の動向は、中国経済で大きな比率をもつこれら国営企業の

社債の起債がどこまで継続出来るのか…?が大きなカギを持つように思います。

民間のお金を社債で吸い上げられなくなった時が

大きなターニングポイントでしょう。

昨年末の状況を見るとかなりまずい状況になっているのが見て取れます。

社債の金利が20%を超える…この水準になると粗利益が40%以上の

高収益企業でないと損益は赤字に転落しますが、薄利多売の中国系企業が

そんな高収益を上げているとは到底思えません。

この収益水準…超優良企業でも難しいですから…。

それにそもそも高水準の利益を出している企業なら、

こんな馬鹿みたいな金利の社債なんて発行しないでしょう。

ここから想像出来るのは、【自転車操業】という熟語しかない様に思います。

なので、株とか投資をやっている方々は、中国の社債の金利状況を見ておくと

良いと思います。現在の状況でもかなり危険。既に十分な利益を上げたのなら、

一旦撤退して様子見…が正解の様な気がしますね…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る