2020年…金融から見た世界経済に想う。

世の中の経済の状態を金融用語で単純に表すと、

インフレーション/デフレーション/スタグフレーション

の3つに分類されます。

①インフレは…物の価値が上がる状態。

②デフレは…物の価値が下がる状態。

③スタグフレーションはその国の発行通貨の

国際信任が低下している状態です。


①を起こすには金利を下げる。

要は貨幣を増発し、貨幣価値を落とす訳です。

②は逆を行い、更に増税等で市場からお金を回収する。

③は要するに貿易相手国がその国の通貨価値を信用していない…。

国内ではデフレが起きて物が売れていないのに、

通貨が信任されないので、貨幣価値が低下して輸入品の

価格は上がり、原材料が高騰して物価が上がる…という事ですね。


金融政策で経済成長を遂げる為には、適度なインフレが必要です。

物価上昇分だけ物の生産を増やしても、それは釣り合いますので、

理論上では、その分だけ生産量を増やす…つまり売上を上げる事が出来ます。

生産が増える事で増収や新規の雇用が生まれ、

それは更なる経済発展に繋がる訳ですね。


適度なインフレ…インフレが年率2%から5%程度で安定している国は、

大抵経済成長率も高くなります。

生産物が国内で余剰になれば、海外に輸出する事も出来ます。

貨幣価値が下がる分、借金も目減りします。

但しあくまで適度でなければ駄目です。

物価が上がり過ぎれば、国民の持つ貨幣の財産価値が大幅に目減りしますので、

生活が成り立たなくなります。貨幣価値が落ちすぎると国に信任も低下します。

一番酷いケースは有名なジンバブエのハイパーインフレですね。


日本経済は失われた20年とか良く言われますが、

この失敗の理由は経済拡大の為の良いインフレを起こす事が

出来なかった事にあります。

その根本原因は、アクセルとブレーキを同時に踏んだ事…。


物価を上げる為には、世の中に出回るお金の量を増やす必要が

あるので、大抵中央銀行が金利を低く誘導し、

市中でお金が借りやすい様にします。日銀もこれをやっていますね…。

ただ問題なのは、金利が安くなっても、お金を主に借りているのが

大口の機関投資家で、彼らの多くは借りたお金を別の債権や株式に投資し、

得た利益は同じく債権や株式に再投資するか、内部留保にする…。

これでは市中にお金が出回りません。


私が失敗だと思うのは、市中の金利を下げてお金を借りやすくしたのに、

同時に多額の増税をした事ですね。

増税で購買意欲が落ち、商品が売れないので、

メーカーは新規投資をしません。なのでお金も借りません。

そもそも売上が上がらないのだから、

雇用を増やすとか給料を上げると言う発想にもならないですよね。

雇用が増えず給料も上がらないから、庶民は物を買わない。

買わないから売れない、売れないから給料が上がらないという、

典型的なデフレの悪循環に陥った訳です。

少子化の原因も一番はこれでしょう。

日本のGDPの7割近くは内需ですので、これは深刻です。


そもそも税収とは、国家のGDPの何パーセントかを、

言い方は悪いですが、要は政府がピンハネする制度ですので、

GDPが増えなければ増収にはなりません。

増税すれば一時的に増えるかもしれませんが、

これは国全体のGDPの低下を招くので、

将来的な減収に繋がります。

このあたりの匙加減で国家の経済成長というのは

大きく変わってくるのですが、日本の場合は匙加減に誤りがあった…

という事なのでしょう。増税に固執し過ぎた感があります。

増税するより国の売上…GDPを上げる方向に舵を取るべきだったのです。


ところで、アメリカの某統計機関が推定した、

2020年末の全世界の借金の総額は、日本円に直すと約6景円…

60,000兆円という途方もない金額だそうです。

これは地球全体のGDPの8年分に相当するのだとか。


で、この借金が返せるかどうかですが、端的に言って絶望的です。

特に一番借金が多い…これは中国とアメリカですが、両国とも

経済政策は日本の真逆を極端に行った…減税やら投資促進策を

次から次へと打った結果、国民が身の丈に合わない買物をして

膨大な借金を作った…。

その結果、企業で言えば債務超過と呼ばれる状況に陥っています。

両国とも推定で、官民合わせて10,000兆円を越える借金があるそうですから、

こんなもの、金利だけで国家の収入を全てつぎ込んでも全然足りません。

この両国はアクセルしか踏まない国で、どこかに間違いなく

激突すると思います。


それで今の借金まみれのアメリカが何をしているかと言うと、

FRBという組織が市中にあるあらゆる債権や株式を買いまくって、

その代金は輪転機でドルを印刷して支払う…通貨の大増発です。

現在のアメリカは政府債務の累計だけで約2,900兆円あるそうですから、

もはや細かい事なんてどうでも良い…逝きつくとこまで逝け状態なのです…。

このまま行くと、2020年内にFRBがアメリカの総資産の50%近くを

保有するのではないかと言われています。

さらにコロナ渦での景気悪化を防ぐ為に100兆円規模で経済

対策を打つと言っていますから、いったいこれからどうするのか…。


過去の事例を見れば、おおよそ見当が付きます。

インフレを起こせば良い…。それもかなり極端な…。

戦争に負けた大日本帝国は、敗戦時天文学的な借金を

持っていました。とても当時の日本では返せない、

現在のアメリカに近い状態だったのです。


では日本が何をしたかと言うと、通貨の大幅な切り下げ…

例えばそれまで1,000円の価値があった国債を1円の価値にする…。

こうすれば確かに国の借金はなくなります。

国家というものは会社の様に倒産はしない代わり、

そのツケは国民に跳ね返るのです。


国民にとっては1,000万円あった貯金が1万円になる訳で、

普通の国なら大暴動とか内戦が起きると思いますが、

日本人の偉い所は、これを耐え忍んで国を復興させた事です。

今の私達はこの事を殆ど知りませんが、先祖の地獄の苦しみと

懸命の努力を忘れてはいけないと思います。


果たして今の中国やアメリカにそれが出来るのか…?

私にはそうは思えません。今のアメリカの株高は、

単純にFRBが市中の株を買いまくっているからに過ぎません。

この様な異常な状態がいつまでも続く事は理屈ではあり得ない…。

個人的に株とか債権をお持ちであれば、今の内に

全額清算して換金しておく事を私はお薦めしたいと思います…。

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