日本の未来について想う…。
アメリカの著名な投資家、ジム・ロジャースはその著書の最新刊で、
日本の未来を徹底的にこき下ろしています。
曰く、志ある日本人は、出来る限り早く日本を離れるべきだと…。
日本が崩壊する理由について、彼は非常に単純にこう述べています。
ひとつは少子高齢化による人口減少とそれに伴う経済停滞。
もうひとつは日本の持つ多額の借金。1,000兆円にも上る国の債務の増加。
この理解の程度がいかにもアメリカ人らしい単純な内容なので、
これがアメリカ有数の投資家の理解力かと思うと、なんだかなぁ~と
思ったりするのですが、今日はそれについての白狐的見解を話して
みたいと思います。
まずその①少子高齢化。
これはもう、間違いなく訪れます。最新の推計だと、
日本は西暦2048年には65歳以上の人口が全体の30%を超え、
14歳以下の若年層の人口は現在の約1,500万人から1,000万人に減り、
全体の人口も1億を切る見通しになっています。
これは人口動態と計算式で簡単に導けるので、
現状の見込が何かで大きく変わらない限り、間違いなく訪れる未来ですね。
ジム・ロジャースは、この問題を解決するには移民しかなく、
それに消極的な日本からは社会の活力が失われると述べています…。
経済学的に考えると、移民が増加し、
それで人口が増えれば経済が活性化するというのは間違っています。
そうなる為には移民して来た人々に十分な仕事と衣食住があり、
それで正常な経済活動をして貰う事が必要なのですが、
その様なものが準備出来ないのであれば、それは単純な貧困層の増加に過ぎず、
治安の悪化に伴う物流の停滞や、発展性に乏しい政府支出の増大を招き、
経済の活性化どころかマイナスに働きます。
では、今後日本でこういった移民の人達向けの仕事が
増加するかというと、その可能性はさほど大きくありません。
なぜならAI技術の進化にともない、仕事の大幅な効率化が進むからです。
単純な仕事は増えるどこかむしろ減少するでしょう。
老年人口の増加によって、それをケアする為の単純労働としての
仕事の増加は考えられますが、それ以外の仕事の減少と
相殺されるでしょうから、極端に大きく増えるとは思えません。
土木、建築、運送業や一般的な小売や小規模な飲食業等の人手不足は、
まず国が各種免許の取得等、余計な規制を乱発し過ぎている事、
そもそも労働に見合わない賃金しか支払っていない事、小規模な企業が
乱立し過ぎている等、体制的、制度的な問題が多く、これを解決する事が
優先でしょう。上手く整理出来ればかなり改善するはずです。
なので、仕事もないのに移民を受け入れるのは、マイナスにしかなりませんね。
少子高齢化の中で経済の活力を上げるには、他国に先駆けて
国を徹底的に高度に技術化し、差別化し、付加価値を上げて、
それが出来ない他国との差をあける…これが最も利口な方法論です。
なので日本はAI化等、より一層の技術強国を目指した方が、
未来はずっと明るくなると思います。
第2の産業革命を起こすと言えば良いでしょうか?
移民の増加による多様性が、経済の活力を生むという事を
おっしゃられる方も多い様なのですが、私はそれには賛成しません。
なぜなら日本よりも多民族が入り乱れ、
多様性に溢れている国家は世界にいくらでもありますが、
その様な国の大半は上手くいっていないからです。
多様性が単純に増加すれば良いと言うものではないのですね。
国家の根本は、同じ価値観と文化と言語を共有する人達による
共同安全保障体制です。同じ価値観も文化も言語も持っていない人が
多数存在するとどうなるか…。世界はその失敗例に満ち溢れています。
次にその②
日本政府の借金額がマスコミで事ある事に取り上げられ、
日本は世界最大の借金大国であるなどという論理が巷に満ちていますが、
この人達は企業会計で言う所のB/S(貸借対照表/バランスシート)と、
P/L(損益計算書/プロフィット・ロス)の概念を理解していないかの様です。
日本国の財政事情を理解するには、日本をひとつの会社に例え、
日本国株式会社のB/SとP/Lを読込む必要があります。
B/Sで見るなら、日本は資産と資本/負債のバランスが取れており、
優良資産の多さから、債務超過には程遠い存在である事がわかります。
この会社は借金が多いからと言って、それに十分見合う資産がある
のであれば、誰も心配しませんよね?
それと、日本の借金は約95%が日本国民に対するものです。
日本株式会社の従業員である日本人からお金を借りている訳で、
その借金分のほぼ全てを、従業員が債権という形で、
資産として保有している事になります。
この従業員はほぼ全員死ぬまで日本国の社員な訳で、
国家と国民を合わせた場合、日本の対外債務はほぼ存在しない事になります。
日本の通貨である円が、世界の兌換紙幣として通用する理由がここにあります。
頭の良い人はちゃんと理解している訳ですね。
次に日本のP/Lですが、日本は毎年天文学的な額(何兆、何十兆円)の
経常収支の黒字を計上しています。経常収支は企業で言う経常利益にあたり、
単純に日本株式会社がその年いくら儲けたかという目安になります。
よくマスコミが貿易収支に関して、それで黒字とか赤字とか話題に
していますが、これは収支項目のひとつに過ぎません。貿易収支が黒字でも、
他の収支で赤字、トータルの経常収支が赤字だと国として儲けたとは
言えない訳です。
また日本は世界最大の純債権国であり、その債権総額は
現在500兆円近くの巨額になっています。
単純に考えると、日本は世界最大の銀行として
世界中に莫大な金額を貸し付けており、
その利子収入だけでも膨大な額に上るという事ですね。
世界の主要国のB/SとP/Lを比較すると、日本は極めて優良であり、
天文学的な対外債務を持つアメリカ人にどうこう言われる筋合いはないのです。
マスコミは財務省とグルになって、日本は借金が多くて高齢化している、
だから増税しなくてはならないという論調の所が多いですが、
どこからかお金が出ているのかもしれませんね。
こういう、高校生レベルの知識すらない人がマスコミを
牛耳っているのは日本の良くない点です。
このエッセイを読むほどの知識のある皆様は、
騙される事は絶対にないと思いますが…。
これから10年、20年の間に世界は大きく変化していく事は
間違いないと思いますが、私は日本に関してはそう心配していません。
きっと世界があっと驚くような技術を生み出し、
少子高齢化を乗り越える模範となるはずです。
次の世紀を迎えても、世界の主要国であり続けるでしょう。
2千年以上もの間、単一国家と王朝を維持した先祖に、
今の日本人は負けていないと…私は思うからです。
何よりもこれからの時代は単純な人口の多寡ではなく、
国家としての本当の総合力が問われる。
言語、文化、知性、勤勉、好奇心、慈愛、公正、公平、先進性…。
これらを総合的に見た時、主要先進国で日本に勝る国家は、
そうそうないと私は思うのです…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます