脳科学における幸福の研究。

脳科学の分野では、長年に渡って人間の幸福感を高める為の

研究が行われている事を皆さんご存知でしょうか?

1970年代から研究が行われているそうなので、

既に50年近い歴史があります。

その研究の中で分かって来た事を今日は書いてみたいと思います。


まず人間の幸福感を高める為には、脳の島皮質(とうひしつ)の

活性化が重要なのだそうです。この部位の活性が高い人ほど

幸福感に満ちているのだとか…。

では具体的にどうすればこの部位が活性化するのか?

それについてカナダのトロント大学の研究結果は以下の通りだそうです。


その①AWE経験をする。

このAWE経験というのは、例えば雄大な自然がある場所に行ったり、

星が輝く満天の夜空を見上げるなどして、自分という個の小ささ、

ちっぽけさを実感する事だそうです。

満天の夜空を見つめ、宇宙の雄大さを実感し、宇宙と比較すると

人間が如何に小さな存在なのか…それを実感しながら想う時、

人のエゴは小さくなり、自分だけの為ではなく、

他人の為に、世の中の為にという気持ちが意識するしないに関わらず高まる…

こういう状態の時、島皮質は非常に活発に働いているそうです。


ただ、都会のど真ん中なんかで生活していると、

中々そういう環境に出かける事は出来ませんよね?その場合は、

大きな画面のテレビ等で、雄大な自然や宇宙の動画をゆっくりと

リラックスしながら見る…そういうやり方でも代用できるそうです。


その②AWE経験をして気持ちをリフレッシュしたら、

今度は実際に利他的な行為をする。

その際に重要なのは、見返りを求めてはいけない事だそうです。

利他的…自分ではなく、他人の為を思って行動する…

気持ちの落ち込んだ同僚を居酒屋に誘って愚痴を聞いてあげるとかでも良いし、

家の近所の清掃とかても良いし、車で道を譲ってあげるとか、

そういった簡単な事で構いません。そういう行為で島皮質は活性化し、

またドーパミンも放出されるので、

人間の幸福感を高める方向に大きく作用するそうです。


その③ポジティブシンキングを実践する…。

前向きな思考を実践するという事ですが、

色々辛くて厳しい現実が目の前にあると、

人は中々前向きになる事が出来ません。

脳科学の研究では、前向きになる為に

以下の様な方法を推奨しているそうです。


ひとつは過去の成功体験を思い出す事。

小さな事でも良い、過去に上手く行った成功体験を思い出し、その時の

状況を頭に思い浮かべる事によって、人の思考は前向きになるそうです。


もうひとつは、毎日の生活の中で、小さな事で良いから、

上手く行った事、良かった事を探し、自分を褒めてあげる事。

料理が上手くいったとか、今日はめったに会えない

近所の猫ちゃんに会えたとか、

仕事で取引先からお礼を言われたとかで構いません。


島皮質が活性化すると、人は未来視が出来る様になるそうです。

これは未来透視とかではなく、自分がこうありたいと思う

未来を非常に近くに感じる事だそうです。

こうありたいという未来の理想を、遠くのものではなく、

近くにあるものとして実感できる。常により良い未来の夢とともにある。

人の幸福とは、常に今、そして未来へと繋がる夢なのかも知れません。


私が面白いなあと思ったのは、人は自分の事ばかり考えていたのでは、

幸せにはなれない…脳科学の研究においてそれが明確になって

来ているという事です。私が私が私が…では駄目なのですね。


太陽系の惑星の動きをある法則に基づいて音符化し、

それを実際の音として出してみると、非常に美しい、

調和のあるハーモニーを奏でるそうです。

水星は高いピッコロの様な音を出し、

木星は重厚なコントラバスの様な音になるのですが、

全体としては極めて調和のとれた、美しい音楽になる…。


宇宙にある銀河の集団にしても、無秩序に存在している訳ではなく、

その分布を大きな図にすると、銀河の集団が六角形の網の目の様に

繋がっており、まるで沢山の細胞が集まっているかの様に見えます。

肝臓細胞集団の顕微鏡での写真と、宇宙全体の銀河群の構造写真は、

知らない人が見ると見間違う程良く似ている…。

ひとつの細胞はひとつの宇宙として存在する…。

そんな風に思えますよね。


私達は地球という大きな木に生えている葉っぱみたいな

存在なのかも知れません。生まれて成長し、やがて葉は落ちますが、

落ちた葉は土に帰ると木の養分となって、また再び生まれて来る。

となると、となりの葉っぱが気に入らないからと

攻撃するのは意味がありませんね。

なぜなら結局根はみんな同じところに繋がっているのですから。


幸せになるには、まずそんな大きな存在を常にどこかに感じる事なのかも。

私はそれがとても大事な様な気がするのです…。

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