アメリカについて考察してみた。

現在世界を支配しているのは、アメリカである事に異論のある人は

少ないでしょう。何故アメリカがあの様な覇権国になれたのかは、

色々議論のある所ですが、私の想うアメリカは、

長所と短所の非常にはっきりしている、

良い意味でも悪い意味でも分かりやすい国だと思います。


人間と同じで、それぞれの国には長所もあれば短所もあります。

長所のそれが短所を上回っていないと、中々強い国にはなれません。

アメリカが覇権国になれたのは、やはり長所があったからだと思います。


アメリカの長所…

例えばマイクロソフトや半導体のインテルは、

設立当時は本当に小さな会社でした。

世界で初めて半導体による小型演算装置…いわゆるマイクロコンピュータを

作ったインテル、そしてパソコンの基本OSとなるMS DOSを作った

マイクロソフト、この2社は、その製品がIBMのパソコンに

採用される事によって、大きく成長する事が出来た訳です。

この2社の製品は、パソコンの基幹になる非常に重要なパーツであり、

日本の大手企業だったら、アイデアだけ頂戴して自社で設計するとか、

あるいはまだ小さいマイクロソフトやインテルに敵対的な

買収を仕掛けるとか、この両社の基幹を担っている技術者を引き抜くとか、

そういう事をしたのではないかという気がします。


けれどIBMはそれをしませんでした。

他人の優れたアイデアを尊重し、それによって起業するベンチャー精神に

敬意を払う文化が、当時のIBMにはあったからです。

1990年代初め、IBMが創業以来最悪の巨額な赤字に苦しんでいた頃、

マイクロソフトもインテルも巨額の利益を上げる様になっていました。

日本だったら社内で、【なんでマイクロソフトとインテルを

買収しなかったんだ!】と、担当責任者は叩かれていた事でしょう。

それでもIBMは恩着けがましい事は一言も言わず、

この両社の成功を祝福していたそうです。


こういうベンチャーの起業精神を尊重し、

それに敬意を払う文化は、アメリカの持つ大きな長所です。

日本の大手だと、やれ実績がないとか、信用がないからとか言って、

ベンチャー企業をないがしろにする会社が多いのは、非常に残念な事です。

実績や信用なんかをベンチャーに求める事自体がそもそもナンセンスで、

そのアイデアの良さを生かすという発想の方が大事なはずです。

21世紀に入ってからも大きくなったベンチャーの多くがアメリカ発というのは、

決して偶然ではないと思います。GAFAはどれも起業当時は小さな会社だったし、

あれと同じアイデアを思い付いた個人は、他の国にもきっと居たと私は

思いますが、大きくなれたのはベンチャーに適した土壌がアメリカに

あったからだと言えるでしょう。


もうひとつアメリカの大きな長所は、リーダーの選び方ですね。

太平洋戦争時代、アメリカ海軍は、

アーネスト・キングという人物を抜擢し、大西洋、太平洋を含む、

全合衆国艦隊の指揮を一任します。

この人物、少し調べるとわかりますが、いわゆるセクハラ魔王で、

海軍士官の奥さんや娘にすぐ手を出す事から、

それまでは閑職に回されていました。女癖の大変悪い人物だったのです。

性格も傲岸不遜で我がままそのもの。

日本だったら絶対出世しないタイプの人ですね。


アメリカ海軍が彼を抜擢した理由はたったのひとつ。

【あいつは戦争には強い!】。

要するにアメリカという国は、適所適材という人事配置をする上で、

満点を求めようとはしないという事です。

短所より長所を生かすというか、多少問題があってもそれには眼を

つむり、長所を生かすという事をまず考える。

さらに面白いのは、日本との戦争が終わるとキングはすぐに解任され、

閑職に回されたという事ですね。用が済めばお払い箱にした訳です。

このあたりの割り切りの良さ、合理性というのは、

中々日本人には真似が出来ない部分だと思います。


多種多様な人種や文化の交じり合うアメリカでは、リーダーを選ぶ際、

人格よりもまず能力と優れたリーダーシップを求める。

また多様な価値観のぶつかる文化圏では、意思決定の為に

徹底的な議論を尊ぶ。自らの意見をぶつける場所が会議なのであり、

会議の場で発言しない者は無能だと考える。

お偉いさんが延々自説の講釈をする様な、無駄な会議が多い

日本とは、この点も大きく異なります。


アメリカは色々な人種、民族が集まって、合理的に狩りをする

集団であり、日本は農耕文化を中心とした社会で、年長者を大事にし、

個々の優劣よりも全体の結束を重視する集団なのでしょう。


今の様に科学技術が急速に躍進する時代に、

どちらの文化が合っているのか、これは実績を見るとわかりますよね。

日本にはGAFAは生まれなったし、ホリエモンの様な起業家は、

粗さがしされて潰されてしまう様な土壌が、今でも存在しています。

成功者を称賛するよりも、成り上がり者を妬み、叩く。

実績のないベンチャーのアイデアをすぐ盗む。

大手のトヨタやパナソニックまでそんな事をしている様では、

アメリカを追い越す事は到底出来ないと思います。

パナソニックがマネシタ電器と言われているのは有名ですし、

トヨタが大きくなる過程で、中小企業から様々な有力技術を無断で

盗んだのも良く知られる事実です。


ただ徹底した競争社会であるアメリカは、能力のある人には

素晴らしい環境ですが、普通の人、弱い人には非常に厳しい世界です。

凄まじい競争社会で脱落した人を上手く救済するシステムがないと、

世の中は荒んでしまいます。誰しも強い訳ではないし、

強者もいつまでも強者でいられるはずもない。

世界一の経済大国でありながら、平均的なアメリカ人の年収は、

平均的な日本人よりも少なく、犯罪もかなり多く、寿命は短い。

貯蓄も少なく、借金は多く、医療システムは崩壊しています。

人種差別も根深く存在し、消えてはいません。

これが進むと国としての求心力がなくなってしまいます。


このあたりのバランスは難しいものがありますが、

こうした観点に立ってアメリカを見ると、私達の様な凡人の場合は、

日本の方が良い環境だと言えるのかもしれません。

日本の長所は、アメリカとは真逆な部分にあったりします。

その内、日本の長所と短所に関しても書いてみたいと思う私なのでした…。

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