異世界と現実世界を比較してみた。

カクヨムで発表される小説は、かなりの割合がいわゆる異世界物です。

多くの場合、主人公が異世界に転生して、チート…いわゆる特殊な能力を

与えられ、大活躍するというお話ですね。


大まかに分けると能力系…これは魔法の様な特殊且つ強力な力で活躍。

それと知識系…異世界で現代の進んだ知識を活用してのし上がる物。

それかその両方…と言った感じでしょうか?


あと、場の設定も多くの場合はロールプレイングゲームに出て来る様な世界。

街並みは中世ヨーロッパの町の様な感じで、職業ギルドが存在し、

多種多様な知的生命体が存在する。

エルフとかドワーフとか魔人とかドラゴンとかその類ですね。


技術的にもほぼ中世~近世のヨーロッパ的なもの。

内燃機関が存在しないケースが大半なので、産業革命以前の世界ですね。

軍事技術的には火縄銃とか弓、槍とか剣。

移動手段も馬とか馬車。


実際問題として考えると、

中世/近世的なヨーロッパの世界というのは、

下水もなければ汚物は垂れ流し状態だし、

伝染病や寄生虫に溢れています。

医学技術も極めて低水準ですし、内燃機関が存在しないから、

発電も出来ません。灯りはランプとかそういうものになります。

ガスも水道もなく、お風呂に入る習慣も存在しません。

まきを燃やして食事を作るのも物凄く大変です。

こういう良くない点は全て魔法で解決すると仮定して、

チートな技術を使いまくる事で英雄になり、

異性の素晴らしいパートナーも出来て、

主人公は幸せに暮らしましたというオチだと、

まるで日本昔話の様ですね。


さて、実際に生きているこの現実世界と比較した場合はどうでしょう。

まず現実世界を見渡すと、異世界と同じ様にチートな能力を持つ

人々が実際に存在しています。

特に学術系とスポーツ系は顕著です。

物凄く頭が良いとか、芸術系の才能があるとか、

プロスポーツで活躍するというのは、

生まれつき持っているものがある程度ないと実現は難しい。

容姿も才能のひとつなら、これも生まれつきの部分が大きい。

財閥や政治家の子供に生まれるとかの家柄もチートとみなすなら、

そういう両親の元に生まれる事もチートです。

今の安倍首相もチートな家系に生まれて成功している訳ですね。


チートな力というものは、本人の努力以前に生まれつき

与えられているもの、これは異世界転生ものと同じという事です。

そして異世界にはそうしたチートな能力がない、大勢の普通の人達が

存在する様に、私達もチートな能力のない、普通の人として

現在の世界に存在しています。

それから、この現実世界には本当に様々な人種が存在し、

文化も違えば、同じ国でなければ言葉も通じません。

宇宙人が見たら、様々な知的生命体がいると思っても不思議ではありません。

つまり現実の世界と異世界に、科学技術以外は大きな差はないという事です。


私達が異世界物を愛するのは、その世界を愛しているというよりも、

寧ろチートな能力で成功したいという、心の願望を成就してくれる

お話として愛している訳です。

 

異世界には王様や貴族が存在している事が多いので、

身分制の厳しい、封建社会の様に見えます。

こういう世界は家柄が物をいうので、多少の才能があっても

上に上がる事が非常に難しい。いや、家柄がないと多分無理です。

そもそも義務教育があるかどうかも怪しい。

内燃機関がない、電気もないので、水道もないし、ガスもない。

生活は想像以上に不便なはずです。

魔法も現代のインフラには遠く及びません。


こう考えると、この日本の現実世界は、異世界よりかなり自由で、

可能性があると思いませんか?異世界物を読んで楽しむ事は良いと思いますが、

実は現実世界だって、心の持ちようで楽しめるのではないかと思うのですよ。


異世界はチートをもっていないと這い上がる事が難しい世界ですが、

この現代日本というのは、チートがなくても何とかなる可能性がある。

やり方によっては後天的にチートを得る事だって出来る。

実は一般的な異世界より、ずっと良い世界だと思うのです。


こうやってカクヨムにエッセイを出したりするのも、

異世界だったら無理ですしね…。

さあ、一緒に冒険を始めようではありませんか!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る