作家とプレイヤー。

オリジナルバンドで良く起こる問題のひとつに、

作家とプレイヤーの対立があります。

今日はそれについて書いてみたいと思います。


新曲が出来て、それをバンドでプレイする場合、

大きく分けて作家には二通りのタイプがあります。

ひとつは各楽器のパートのアレンジのイメージが大雑把で、

各パートのアレンジは、基本的には各楽器の担当者に任せ、

自分のイメージに合わない所を修正するタイプ。

大半はこのタイプですが、無論、自分で作った曲なので、

頭の中にその曲のイメージがそれなりにあります。

(歌詞に関してもそういう物がある事が多い。)

ちなみにもうひとつのタイプは、各パートのアレンジも最初からきっちり

決めるタイプです。このタイプは珍しいのですが、大抵マルチプレイヤー

で、色々な楽器が出来て、音楽に精通している人に多いタイプです。

プレイヤーにはきちんと決めた通りの演奏を求める完全主義者ですね。


さて、前者のタイプでいざ新曲のセッションを始めると、当たり前ですが、

各自の感性の違いから、当然色々な違いが表面化してきます。

一番良いのは、作り手が思っていた以上にアレンジが上手く行くケース。

これならまったく問題ありません。嬉々としてセッションが進むはずです。

問題はそうでなかったケースです。

ギターやキーボード、ベースやドラムのアレンジが、作り手のイメージから

かなりかけ離れ、作り手が不満を持つ場合です。

技術的に出来る出来ないという部分はここでは置くとして、

(この問題だけなら、単に練習すれば解決する。)

問題は感性の違いが出てきた場合です。


作り手はレゲエリズムでやりたいのに、ドラムは16ビートにしたいとか、

作り手はアコースティックなサウンドにしたいのに、ギターはやたらと

歪んだ音が使いたいとか。

作り手はキーボードはほんの僅か、気持ち程度、但し効果的に使いたいのに、

キーボーディスとは初めから最後までキーボードを入れたいとか。

この手の話は書き出すとキリがないので、この程度にするとして、

ここで皆さんならどうするでしょうか?


作り手は基本的に自分の頭の中にある曲のイメージを実現したい。

プレイヤーはその曲で、自分のイメージ通りでプレイしたい。

これが時折深刻な対立になる事がままあります。

深刻に対立するのは、お互い本気である証拠なので、ある意味歓迎すべき

点もなくはないのですが、感情的になると、あまり良い事にはなりません。


解決法のひとつこうした場合のルールを明確化する事です。

1.多数決で決める。

2.作家の意見優先。

3.プレイヤーの意見優先。


私のバンドの場合はルールははっきり決めていました。

この場合は2の方法。つまり、作家の意見優先です。

ヒットした曲のアレンジの多くは、大抵作家の意見を優先して作られ、

第三者がその曲のアレンジを別にやって、オリジナルのアイデアを

超える事は非常に難しい・・・というのは、音楽業界で長年言われている

事実です。ビートルズやクィーンの曲を別アレンジして録音するとして、

原曲以上の出来にするのは非常に難しい仕事だと思いませんか?

作家には曲全体のイメージが見え、パートのバランスも大ハズレ

していない事が多いけれど、プレイヤーのそれは、曲の1面しか見ていない

事が多いということかも知れません。


木を見て森を見ずという諺がありますが、それと相通ずる物があります。

一度でも曲を作るという行為にトライすると、この当たりの気持ちはわかる

はずなのですが、プレイヤーの多くは自分では曲を作らずに、

言いたい放題というのは、良く見られる現象だと思います。

皆さんのバンドではどう解決されているでしょうか?

前にも書きましたが、根本的に解決する為には、自分で曲を書く事です。

自分の感性に完全に適合する作家なんて世の中にはまず居ないと思うのが

妥当です。5割合えば十分でしょう。最後は自分でやるしかない。

このあたりの感覚を磨かないと、オリジナルバンドを長く続けるのは

困難な事に様に思えるのですが、如何でしょうか?

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