翔んでよ!カタリナ!

今日は人類史上最も長い寿命を持った、美しい飛行艇のお話です。


『コンソリーデーテッド PBYー5A カタリナ』

1935年(昭和10年)初飛行という大変古い飛行艇です。

全長19.5メートル、全幅31.7メートル 全備重量19.5t 乗員9名(通常)

エンジンは出力1,200馬力の空冷プロペラエンジン2基で、最高速度は

何と時速295km。巡航速度(通常の飛行速度)は時速200km。

航続距離4,300km。新幹線より遅い飛行機なのです。


この飛行機の一番凄い所は、実用航空機として歴史上、

最も長く使われているという事です。

初飛行から実に65年を経過した21世紀に入っても、改良されながら

製造されている飛行機はカタリナだけです。


もともと軍用飛行艇として設計されたカタリナは、第二次大戦中は連合軍側の

長距離索敵機、対潜哨戒機、救難機として実用化されました。

速度こそ遅いものの、抜群の飛行安定性を誇り、離着水も他の飛行艇と比べて

遥かにやり易く、操縦し易い。大きさの割りには小回りが利く。

その上、巡航速度であれば24時間連続滞空できるという足の長さは、

長距離索敵機、対潜哨戒機、救難機として、まさにうってつけでした。


有名なミッドウェイ海戦で日本軍を発見したのはカタリナですし、

ビスマルク追撃戦で、見失われたビスマルクを再び発見したのもカタリナです。

潜水艦にとっては恐るべき空の天敵で、レーダーで潜水艦を発見すると、

確実な攻撃でこれを撃沈しました。

海没した飛行機や、沈没した船の周りで漂う将兵のすぐ傍に着水して、

その命を救うのもカタリナの任務であり、海に漂う兵士にとっては

まさしく天使の様に見えたはずです。


大型で速度の遅いカタリナは、敵の戦闘機に捕まれば、確実に撃墜されて

しまう飛行機でしたが、戦争中は地味ながら非常に重要な任務を着実にこなし、

連合軍にとってはなくてはならない飛行機でした。


戦後もその役目は色褪せません。

森林火災の消火や人命救助機、輸送機としてカタリナは活躍します。

カナダやロシアの様な広大な森林をカバーするにはヘリコプターでは

足が短すぎます。(航続性能が足りない)

カタリナであれば、その長い航続距離を生かして飛行可能だし、

少し広い沼や池があれば、そこに着水出来ます。

傍に飛行場がなくても沼や池があれば、物資の輸送も可能。

2tまでなら輸送出来ます。

またカタリナは水陸両用なので、手近に飛行場があれば着陸も普通に出来ます。

(ちゃんと飛行場着陸用の車輪を持っています)

海難事故の場合も、ヘリコプターでは距離的に無理な所でもカタリナなら

急行出来ます。着水出来ます。


そんな訳で、21世紀になってもカタリナは活躍を続けています。

スピードこそ遅いけれど、海にも陸にも降りられるし、

長く飛ぶ上に操縦性や安定性は抜群、信頼性も高い。

そして価格もとても安い。

それに乗ったパイロットによれば、その乗り心地は

『今のジェット機なんか比較にならない』くらい良いそうです。


他の誰かが出来ない事が出来る事こそ、長く愛される秘訣だと、

彼女は私達に教えてくれます。


最後に。一番最初は軍用機だったとは思えないくらい、

優雅で美しい飛行機です。

『実用化されたあらゆる飛行機の中で、最も愛され、優雅で美しい』

という彼女の評判は、写真を見るとわかりますね。

私達もかくありたいものです。

アニメのコトブキ飛行隊を見た事がありますが、

いつかカタリナをテーマにしたアニメの原作を書いてみたいと

思う、私なのでありました…。

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