群論。

ここでいう群論は数学をテーマにした内容ではありません。

普通人間は単独では成長も生活も出来ないので、

好む好まないに関わらず、何らかの群に所属する事になります。


そもそもこの世に生を受けて生活する事自体、

懲役とか労役の一種と判断するのであれば、

自分がどの様な群の一員になるのか、事前に予想して、

事に挑んだり出来るのでしょうか?


この世を地獄と定義するにしても、

その上と下のレベルには天地の差があり、

途方もない辛苦から、殆ど辛苦など伴わない物まで様々です。


またこの世界は老若男女様々な人が住んでおり、

環境が悪くても、人間関係の良さによってそれが緩和される

事もあるでしょうし、環境が良くても、人間関係に

煩わさせられる事もあるでしょう。


常に同じ状態が維持される保証はどこにもありません。

非常に良くない環境に放り込まれれば、

明日をも知れぬ運命に常に翻弄される事になります。

中々どうしてかなり厳しい状況であり、

環境によっては健全に成長する事など、

そう簡単に出来るものではありません。


アフリカの貧しい国や、中国奥地の貧村の、

その中でも更に貧しい環境に生まれたとするなら、

その上父親も母親もごくつぶしの出来そこないで、

到底尊敬に値しない様な人物だとしたら?

それでも私は健全に生きていけるでしょうか?

いや、今の私では、それは絶対に無理だと断言出来てしまいます。


人生の最大のテーマが、

『理由はともかく最後まで生き抜く事』

にあるとするならば、

こんな環境に放り込まれた時、

皆さんは一体どういう態度を取るでしょうか?


私なら生きる為には手段を選ばない。

今日の食事を得る為に犯罪行為も厭わない。

あれこれ言ってくる偽善者にはこう言ってやるでしょう。

『じゃあ、あなたがやってみなさいよ。

あなたは私と同じ環境で、生き残れるのですか?』


乗るバスがいかなるバスであっても、

その中での態度は本人が決めるものだと言った所で、

あまりに酷いバスでは、荒むなという方が無理だったりします。

犬や猫も、虐待されれば人間不信になるのです。

結局の所、個人でどうにもならない部分が、

世の中には間違いなくあります。


所で、群であるならば、何らかの組織形態を持つのが普通だと思います。

群その物がピンキリであってもです。

結局の所、その長は、群に所属する人間の成長を助ける役目を

負っている事になります。

小さい単位では家族、大きな単位では国家。

それらの長は群に所属する者の成長に対して責任を負うことになります。

為政者は大きな意味で大勢の子ども達の父親であり、

母親であると言えるのかも知れません。

そうした地位に就く事が運命ならば、

その群の人々が、人生で合理的選択が出来る様に努力しなくてはなりません。

もっとも、そう言った自覚を持っている為政者は多くはないと思いますが…。


苦しい環境であっても望みを捨てず、

常日頃何がしかの情報や技術、知識を得る努力を怠らず、

機会がくれば全力で前進し、着実な改善と成長を進める事。

言うは易く、行うは難し。


易き環境にあっても感謝を忘れず、

苦しい人々を救う事に努力する。

言うは易く、行うは難し。


順境は人を駄目にし、

厳しすぎる逆境は人を荒ませる。

適度に厳しく、適度に楽しく。

けれどそんな環境は中々ありません。

そんな中で日本は、

かなり合理的に努力が報われる国であり、

私達はそもそも日本に生まれた事を感謝すべきでしょう。


この全ての世界の中にある膨大な群。

その中であなたの参加した群はいかなるものでしょうか?

小さなものから中程度のもの、大きなもの。

その中で生き残ると共に、必要な成果を上げる。

くれぐれも焦らず、悲観的にならず、

悪い事よりも、良い事に焦点を当てる様にしましょう。

失敗や嫌な事は極力忘れる様にして、

日々の出来事を前向きに捉えましょう。

時にはお酒を飲むのもよしとし、

美味しい物を食べて、

神と自然と仲間に感謝しましょう。

あなたのユーモアや明るさで、

あなたの所属する群を少しでも楽しくしましょう。


あれもない、これも駄目だと思って暮らすには、

この世はあまりにも厳しい。

結局群論はシンプルなものです。

所詮人は一人では生きれない。

群の中でもって生きるしかない。

出来れば貢献したいものです。

あなたの私の所属する群に。

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