好きこそものの…。

米ミシガン州立大学心理学教授のザック・ハンブリック氏らが発表した

論文によると、「すぐれた音楽家は、その技能を獲得するために必要な

長時間の練習ができるよう遺伝子にプログラムされている」との事です。

850組の一卵性双生児と、二卵性双生児をサンプルに

比較を行った研究によるものだそうで、これを努力遺伝子と呼ぶそうです。

この遺伝子は、音楽以外、スポーツや学問でも同様との事。


白狐姫のギタリスト(女性です)は、身長150㎝。

女の子としても小柄ですが、技術的にはそこらの男性ギタリストには負けません。

巫女姿の小柄なちっちゃな手で超速速弾きを華麗に見せるのは、

白狐姫のライブの花。

彼女曰く、上の兄貴がギタリストだったので、その影響で小学校の頃から

ギターになじんではいたそうですが、本格的にギターの練習を始めたのは

中学校に入ってからだそうです。

ギタリストの彼女にギター上達の秘訣を聞いたところ、一言、

「それはギターの練習を楽しいと思えるかどうかだよ」との事。


彼女曰く、ギターが上手くなる為にはいくつかの段階がある。

段階というか、壁というか、そういったもので、それを越える事で

上手くなっていくものだそうです。

それらの壁は決して低いものではなく、上に行けば行くほど壁は

高くなって、越えるのが難しくなる。

ただこうなる前に一番大事なのは、初心者の最初の壁を越える事だそうです。


良く街の楽器店にギター教室みたいな所があって、私もギターを

やってみようと思い、通い始めたとする。

回数としては週に1回とか2回、レッスン時間は1回1時間とか2時間くらい

でしょうか?こういうペースで練習に通って、家に帰って、

1日15分~30分くらい自分で復習の練習したとします。

でも彼女曰く、これではまず上達しないそうです。

「こんなのでギターが上手くなると思ってるとしたら、

それはギターを舐めている」「ギターは根本的に易しい楽器ではない」

彼女曰く、多くの人がこの段階で挫折してしまうそうです。

自分にはギターの才能がないのだと思ってしまうのだとか。

でも彼女に言わせるとそれは勘違いで、これが誰もがまずぶつかる

初心者の壁なのだそうです。



この壁を越えるのに無論個人差はありますが、

これは努力で越えられる壁。彼女曰く、

「とにかく自分が好きで、弾きたいと思う曲、

それももの凄い高難度の曲ではなくて、 初心者にはちょっと厳しいと

思えるぐらいの曲」がきちんと完全に弾きこなせるまで、

ひたすら集中して練習する事だそうです。

客観的なレベルで言うと、1日に3時間から5時間くらい。

この間は無心でギターに集中して、2~3カ月毎日練習する。

そうして、ある程度のレベル曲を10曲もすらすら弾ける様になれば、

最初の壁は突破した事になるそうです。

後は少しづつ曲のレベルを上げて、耳コピーでレパートリーを増やし、

レパートリーが数十曲になる頃にはアドリブもある程度出来る様になる。

ステージに立って恥ずかしくない程度になって、ライブとかも経験すれば、

次の段階にあがる。ここまでくれば一端のアマチュアギタリスト。

「頭で考えるのではなくて、体が自然に動く」

「ギターを弾く事自体が好き」


白狐姫が使っているスタジオの経営者は自身がギタリストで、

もう50を超えたおじさんですが、その超絶テクニックを聴くと、

誰もが唸ります。白狐姫のギタリストも師匠と呼んで尊敬していますが、

彼曰く、「何、40年もギター弾いてりゃ、

誰でもこのくらいにはなるわな(笑)」


さて、ここまでの話を読んで、みなさん、如何だったでしょうか?

どんな事でも最初は初心者です。そしてどんな事でも尊敬されるレベルに

達するのは簡単な事ではありません。

でも彼女、彼はギターを練習する事が苦しいなんて思った事はないそうです。

「だって楽しいんだもの」「ギター好きだもの」

結局、好きは全ての努力を駆逐する。努力というのはどうしても苦しい、

苦労するという印象がありますが、好きはそういう苦しさ、暗さがありません。

この何かを徹底的に好きになって極めるというのが、遺伝子のなせる業なのか?

それは私にはわかりません。

ただこの彼女のギターに対する話は、全てに通じる話だと私には思えます。


世の中で脚光を浴びている音楽家、芸術家、スポーツマン、学者さん

なんかは、みんな同じような過程を経て来ているのではないかと思います。

人生は何かを極めるには短すぎる。しかし何もなさないとなると長すぎる。

好きこそものの上手なれ。

これらの言葉は言い得て妙です。

という私も熱心にギターを練習し始めている今日この頃。

残念な事にまだ初心者の壁を越えるには至っていませんが…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る