日本神教の本質。

世界には大小合わせてどのくらいの宗教が存在するのでしょう。

土着も含めると種類だけで何千/何万の類だと思います。

その中で大きな勢力を持っているのは、キリスト教/イスラム教/仏教の3つ

(ヒンズー教は多神教なので、今回は割愛します)。

いわゆる3大宗教ですが、無論この3つの宗教も、多数の宗派に

別れているので、一筋縄ではいきません。


マイナーですが政治的影響力のあるユダヤ教もあります。

これら、現在世界で力を持っている宗教の共通点を上げるとすると、

それらは全て一神教だという事です。

そうして世界の宗教を端に発する争いの原点もここにあります。


一神教の神様は、その言葉通りひとりしかいません。

つまり、他の神様が入れる余地がないと言う事です。

殆どの宗教の始まりは、記録も定かでない遠い昔の

分厚いベールの中にあり、今更真実がどうなのかなどという説明を

求める方がナンセンスというものです。

あなたがそう信じるのであれば、そうなのかもしれない。

それ以上でもそれ以下でもありません。


一神教は、その神以外は存在を認めません。

これは他の宗教を信じる者の価値観を認めない事を意味します。

だから争う。

『お前の信じる神は存在しない。』

などと言われても、そもそもそれぞれの神の存在根拠など

科学的に証明出来る訳もなく、この様な議論は堂々めぐりに

なるだけで、結論など出る訳がありません。

だから延々と争うわけです。

それが証拠にトルコは未だにEUには入れません。

彼らがイスラム教徒だからです。

今日も神の名の元に数多くのテロが発生し、

大勢の罪のない人々が命を落としています。

いったい、これは何なのでしょう?


さて、世界有数の経済大国であり、長い歴史を持つ日本は、

実はこの3大宗教のいずれにも染まっていません。

良く日本人は無宗教だと言いますが、本当にそうなのでしょうか?

いいえ、私はそうは思いません。

本当に無宗教で真っ白なら、逆に何にでも染まるはずです。

日本は別に3大宗教の布教を政治的に禁止したりもしていません。

だけど結局3大宗教のどれも多数派にはならなかったし、

恐らくこれから未来もならないと私は思います。


多分、日本人は心のどこかでこれらの一神教を、

『うさん臭い』と思っています。

誰も彼もやけに厳格で意地っ張りで、

焼き餅焼きで、血が通っていない裁判官みたいに思うのです。

そんなものより、日本古来の神様の方が、ずっとやさしく、

人間的で、血の繋がった親の様に思えるのではないでしょうか。


日本の神様は、ヨーロッパでいうと、ギリシアの神様に似ておられます。

全く完璧ではなく、美点もあるが欠点もあり、盗みもすれば、

浮気もするし、嫌になれば引籠るし、酒も飲む。そう実に人間的です。

八百万の神と言って、そうした神様が八百万人もいらっしゃる事に

なっています。

ここまで沢山いらっしゃるのだから、多少増えた所で、誰も気にしません。

他の宗教の神様が来たって、どの神様も怒ったりはしないのです。


この日本の神様には、他の宗教には必ずある経典もありません。

これも多分日本の神様の知恵なのでしょう。

大体、分厚い経典なぞ作った暁には、

その解釈をめぐって争いが起きるに決まっています。

世界の宗教の大半は、多数の宗派に別れ、多くは争いますが、

これは基本、経典の解釈の違いによるものです。

文章は過激に解釈も出来れば穏やかに解釈も出来ます。

その内文を作った本人が全く意図しない様な解釈をする輩が出るのがお約束。

だから日本の神様は経典なんか作らず、3つ事だけしか教えません。


人を愛する事。

自然を愛する事。

先祖に感謝する事。


シンプルな美しい教えであり、シンプルな解釈しか出来ない短い言葉です。

ややこしい経典なんかなくても、確かにこれで十分でしょう。


誰がどの宗教を敬おうともそれは自由です。

ですが、自分の信じる物を他人が信じないからと言って、

攻撃するのはどういう事でしょう?

ひたすら終わりの見えない堂々巡りの議論を何千年も重ねるのは、

意味がある事なのでしょうか?

世界に誇る多神教、八百万の神様と天皇制を日本人は誇りとし、

このシステムを作った先祖に感謝すべきでしょう。


ちなみに現在の天皇家は、天照大神の直系の子孫にあたります。

つまり日本は、神様の末裔を国家元首と仰いでいる事になります。

日本にも過去多くの内乱が起こりました。

そしてその多くで最後は天皇陛下に裁断を仰いでいます。

陛下が【やめなさい】と言ったらやめる。それは理屈ではない。

太平洋戦争の時もそうです。戦争継続強硬派と終戦派で最後まで結論が出ず、

最後は昭和の天皇陛下の御聖断により戦争を終わらせました。

陛下がやめよと言ったらやめる。これが日本人であり、

日本の持つ大きな長所です。

他の国ではこれが出来ない。だから血みどろの戦いが長く続いて

大きな犠牲が出る。不幸の連鎖が更なる憎しみを作り上げ、更なる戦いを呼ぶ。

太平洋戦争終結の日を敗戦の日とは言わず、

終戦の日という理由がここにあります。当時の日本はその気になれば、

それこそ何百万人かのアメリカ兵を道連れに、玉砕する事も出来ました。

まだ負けた訳ではないと考える人が大勢いたのです。

しかし、陛下がやめなさいと言われたのでやめた。

ゆえに敗戦ではなく、終戦なのです。


この様な安全弁となるシステムが世界にあれば、

世界の争いはもっと減るに違いありません。

そうはいかないのがこの世界の悲しい所ですが、

唯一例外的な安全弁、日本の神様と天皇家の長い歴史は、

もっと誇られてしかるべきだと思います。

結局人は、上に心から怖れ多いという者を頂かないと暴走する。

だから神様の子孫を日本人はずっと大事にしてきた。

そういう事なのでしょう。


ちなみにアインシュタインは、生前来日した帰りにこう言い残したそうです。


世界は戦うだけ戦い、争うだけ争う。

その内、指先ひとつで何万人も殺せる武器だって出来るだろう。

そうしていつの日か、我々に争いに疲れ果てる日が訪れる。

その時こそ我々が真の盟主を仰ぐ時だ。

しかしその盟主は、力や権力を拠り所にする者であってはならない。

その盟主は、重き血の伝統と権威に基づく、深き信頼に立つ者でなければならぬ。

世界の歴史はアジアに始まり、アジアに帰る。

我々はアジアの高峰、日本に立ち戻らなくてはならない。

我々は神に感謝する。

神が日本という国を残してくれた事に。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る