第2話「再会」

ブリブリブリッ


妹「ふぅ。外出中に突然お腹が痛くなるなんて。何か悪いものでも食べたんですかね?」


妹「この歳になってこんな公園のトイレを使うことになるなんて思いもしなかったですけど、なかなか風情があっていいじゃあないですか」


妹「さて、出すもの出しましたしそろそろ……ん?」スカッ


カラーン


妹「あっ、紙が無い……」


妹「ちょっとぉ! 誰かいませんか!? 紙が無いんですけども!」ドンドンドンッ


紙「」スッ


妹「届いたようですね。助けを求める声が」


妹「使わせていただきます!」パシィッ


ジャーッ


妹「いやぁ、助かりましたよ。お礼を述べさせていただきます」ガチャッ


妹「って、あなたは……」


彼女「よかった、やっぱり妹ちゃんだった。大丈夫?」



シーンッ


妹「なるほど、私の跡を尾けていたわけですか」


彼女「しないよそんなこと……」


妹「ではまったくの偶然と。それはそれはなんとも。昨日の今日でこんな再会を果たすなんてぇ、世の中狭いじゃあないですか」


彼女「あ、えっと、そう、その昨日のことなんだけど……」


妹「不本意ですが、どうやら借りを作ってしまったようですね。……お礼だけは言いますよ。ありがとうございます」


彼女「あ、ううん。そんな、借りだなんて……」


彼女「それで、昨日のことなんだけどね」


妹「はい、なんですか? 兄さんと別れたくなったというのなら私から伝えておきますよ」


彼女「ごめんね。妹ちゃん、嫉妬しちゃったんだよね……?」


妹「は……?」



妹「どういう意味でしょう?」


彼女「大好きなお兄さんを盗られると思ったから、あえてああいうことしたのかなって」


妹「あんまりレベルの低い人を我が家に迎え入れたくないだけです」


彼女「でも……」


妹「はいはい、そういうことなので。私の考えは変わりませんしこの話は終わりです」


妹「それに、私が兄さんの事を好きかどうかは置いておいて、自分なりにそこまで察しがついているのでしたら身を引けばいいのでは?」


彼女「え、それはダメ……」


妹「思ったよりしぶとそうですねこの人」


彼女「うん、そうかも……」エヘヘ


妹(なんなんでしょうこの人)



「おーい! 彼女さーん!」タッタッタッ


妹「あ、この声は……」


俺「ごめーん! 遅れちゃって! 妹の奴が今日も家でごちゃごちゃうるさくてさぁ!」ズザァッ


彼女「ううん。私もさっき来たところだから大丈夫だよ」


俺「あ、そう? まあでも申し訳……って、おいこのカスぅ! なんでお前がいるんだよ!? また彼女さんに迷惑かけてるんじゃあねぇだろうなぁ!?」グイーッ


妹「離してください! 私を何だと思ってるんですか! ただ買い物の途中にそこで会っただけですよ! 兄さんこそ今私のこと遅刻の言い訳に使ったでしょう!」


俺「さ、さっさと帰れお前は! さっさと!」シッシッ


彼女「あ、待って。まだ妹ちゃんと話したいことがあるの」



俺「え、話? こいつに?」


妹「何ですか? 私からは何もありませんけど」


彼女「私は、妹ちゃんと仲良くなりたい」


妹「……」


彼女「お兄さんと付き合っている私のこと、嫌っているのはわかるけど……私に気持ちだけ知っていてほしいの」


妹「……」


俺「だってさ、妹。彼女さんはお前の働いた無礼なんて気にしていない。許してくれるって言ってるんだよ。優しい子だろ?」


妹「まぁ……なんというか、そうですね」ポリポリ


妹「……ふぅ。ちょっとこの空気、なんだか私が駄々をこねる子供みたいになってるじゃないですか」


妹「わかりましたよ。これからも兄さんの事お願いしますよ。私も少しやりすぎました。反省しますよ」


俺「おお……」


妹「なぁんて、言う訳ないんですよ!」ダッ


俺「お前……っ!!!」



妹「私に恥をかかせておいて、ただで済むとは思わないでほしいですね!」バシュウッ


彼女「妹ちゃんが、跳んだ」


妹「自慢の跳び蹴りです! これで死んでくださいっ!」グワアッ


彼女「きゃっ」


俺「妹のヤロー! とうとう実力行使ってわけか! 彼女さん逃げて! こいつヤバい!」


妹「無理ですね! こんなすっとろそうな女に対応できるわけ……!」グワアッ


脚「」パシィッ


妹「なっ! えっ!? 片手で受け止め……ッ!」グワンッ


フワッストンッ


妹「優しく着地……」


彼女「ふぅ……よかった、上手くいった。怪我はない?」


妹「……」パクパク


俺「彼女さーん! 大丈夫ー!? この後のデートは行けるー!?」ダッ


彼女「……ごめんね。今日はなんだか疲れちゃった。また別の日でもいいかな……? 今はゆっくりと身体を休めたい……」


俺「あっ、そ、そうだよね! ごめんね! こいつにはまたキツく言っておくから!」


彼女「ううん、それは別にいいんだけど……それじゃあ近いうちに」クルッ


ツカツカツカ


シーンッ


俺「まったくもう! お前はァ!」


妹「……兄さん、あの人は武闘派ですか?」


俺「ああ」


妹「肯定するんですか」

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【SS】妹「兄さん、彼女作ったんですか?」 俺「ああ」 文月 景冬 @Fuzukie

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