【SS】妹「兄さん、彼女作ったんですか?」 俺「ああ」
文月 景冬
第1話「拒絶」
俺「実はそうなんだよ。誰から聞いたのか知らんが」
妹「おめでとうございます。よかったじゃないですか」
俺「ありがとうな。ホント俺には勿体ないくらい可愛い子でさ。もう幸せ絶頂だよ」
妹「へぇ、それはそれは。兄さんが幸せそうだと私まで嬉しくなりますよ」
俺「でへへ」
妹「それで、私にはいつ紹介してくれるんですか?」
俺「あ、やっぱ結構気になる感じ? 俺の初めての彼女だもんな」
妹「はい、それにもしかしたら私の姉になるかもしれない人ですし」
俺「お前っ、気が早いっつーの!」テレテレ
妹「兄さんの様子を見ていたらもう2人の熱々っぷりが想像できますもん」
俺「そうか~! わかっちゃうか~やっぱ!」
俺「でさぁ、なんか言いにくいんだけど、実は元々今日お前に紹介するつもりだったんだ」
妹「え? そうなんですか?」
俺「うん。で、今もう外で待ってもらってるんだよね」
妹「凄い偶然もあったものですね。早速会わせてくださいよ」
俺「ああ。おーい、入ってきてー!」
ガチャッ
彼女「はじめまして妹ちゃん。私、お兄さんとお付き……」
妹「ぶっさ」
俺「は!?」
★
妹「なんですかこの人。めちゃくちゃブサイクじゃないですか」
彼女「え……? え……?」オロオロ
俺「おい! お前ふざけんなよ!」
妹「ふざけてませんよ。兄さん、これは親不孝ってものです」
俺「ご、ごめんね彼女さん! こいついつもはこういう冗談言わないんだけど……」
彼女「う、ううん……私は別に……」
妹「スタイルもあんまり良くないですよね。私より背も低いし胸も小さいし」
俺「お前もう一旦黙ってろ!」
★
妹「いや、でも、なんと言っていいか……」
妹「この人の存在はもちろん有罪ですけど、これは兄さんもおかしいですよ。わざわざこんな人を選ぶなんて」
俺「はぁ!?」
妹「だってそうでしょう? 身近に私みたいな女がいて目が肥えているはずなのに。もしかしてB専なんですか?」
俺「やめろ! 彼女さん可愛いだろが!」
俺「彼女さん! 本当に気にしないで! こいつ今おかしいから!」
彼女「あ、あはは……嫌われちゃった……かな?」ウルッ
俺「うわ、涙目になってる! 妹! 謝れよ!」
妹「おまけに弱虫のウジウジナメクジ女とは」
俺「いい加減にしろ!」ブンッ
バチィンッ
妹「……」ヒリヒリ
俺「あ……」
★
妹「……」ヒリヒリ
俺「わ、悪い……いや、ついカッとなって……」
彼女「わ、私……き、今日はとりあえず帰るね……」グスッ
俺「あ……」
ガチャッバタンッ
妹「……」ヒリヒリ
俺「……」
俺「いや、でもお前が悪いよ」
妹「まあ、そうでしょうね」
★
俺「え、なんでお前あんなことしたの?」
妹「ついカッとなったので」
俺「そう……」
俺「初顔合わせであんなことになってこれからどうすりゃいいんだよ……」
妹「別れればいいじゃないですか」
俺「もう俺にはわかんねぇよお前が……」
妹「え、だって完全に私に遠く及ばない系の女だったじゃないですか」
俺「その基準俺別に採用してねぇよ」
★
妹「まあ、兄さんに彼女はまだ早かったってことですね」
俺「その結論おかしいだろ」
妹「次の彼女を連れて来る時はもっと考えてからにしてくださいよ。わけわかんないの連れて来たらどうにかしてくれますから」
妹「いや、そもそも告白されたら一度私を通してください。立ち合います」
俺「なんでお前に見定められなきゃいけねえんだよ」
俺「それにそもそも俺はまだ彼女さんと別れてない」
妹「ふん。どうですかね、涙目逃走したんですよ? もう終わったに決まってます」
妹「念のため表に塩撒いておきますから」パッパッ
俺「お前なぁ……」
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